12a 金碧(こんぺき)
Gymnocalyciumu sp.
( Gym. multiflorum var. albispinum ? )
写真の球の栽培者 守口市 庵田知宏氏 直径12cm
最も日本的な品種である。というのは、おそらく外国では多花玉と同一種として扱われるであろうと思われる程度の形態の差を日本人の眼を通して一つの品種として取り扱っている点である。
金碧と称せられるものの一群は我が国以外では特に存在しないと考えられる。
Gymnocalycium multiflorum var. albispinum に対して伊藤1)が金碧という和名を宛てているが、Gym.
multiflorum var. albispinum
は白刺多花玉と言うべきであって、おそらく金碧という名前はもっと異なった選定眼でつけられたものであろう。
金碧という和名は平尾秀一氏が所有しておられた球(シャボテン誌16号に写真が出ている)につけた愛称であるという説もあるが、命名者は紅波園である2)。伊丹3)によれば多花玉A型(ハーゲ型多花玉)の変種で刺が荒々しく、花は白色ということであり、記載の写真も昭和初年頃に輸入された時の標本球が載せられているが、現在これと同様の荒々しいものは
Gym. monvillei
の学名で輸入される球の中に近いものが見られるだけで、戦前から残っている球の中にはこれほど荒れた球は見られない。
金碧と称している球には大別して2系統あり、その一つは平尾氏の球4)5)であり、もう一つはハーゲ型の前記伊丹氏の記載された球並びに清直文氏の所有しておられる球及びその実生苗の清金碧と言われているものである6)。写真の球は清金碧のかき仔である。
刺は黄色で基部に多花玉のような赤味がなく、少し荒れ気味に体に巻きつく様に伸びる。
花は相当大球にならないと咲かないようである。自家受精すると言われている。
参考文献
1)伊藤芳夫;サボテン図説,P176 (1957)
2)光兆園園報;昭和7年2 1日発行,P2,P11