10B 多花玉B型
Gymnocalyciumu multiflorum Br.&R Type B
写真の球の栽培者 山名利三郎氏
伊丹1)によって古来型として記載されたもので、古くから愛倍されている型である。肌色は碧緑、稜はアゴ状のコブに分かれる6)。
小苗のうちから強大な刺を有し、刺の基部は紅色を呈し、金鯱に似た黄金色のやや透明な太い針状で少し扁平な刺が肌にそって伸びる。
1本は下向きに、2〜3本宛が左右に出る。長さ3cm位。アレオレの間隔はA型に比べてやや離れている。
花は白に近いピンク色4)で、径3〜4cm、体型10cm以上にならないと開花しない。どちらかと言えば長円形に育つ。径12〜15cm、稜数10〜15稜、肌色がやや黄味がかって梨地のものもある。
1961年度の輸入原産地球は大体このタイプのものと思われるが、中には比較的刺の細いものもあった。
大部分の球は到着時大分傷んでいたので、生き残ったものが本来の姿を現すのは2、3年先になるが、我々の標本室では少し刺落ちした様である。原産地球の見事な写真が外国文献3)に見られるが、男性的な感じのもので、A型と比べて栽培すると良いであろう。ブリットンとローズ4)はペン画と写真を載せているがこのタイプと思われる。写真のもの(アルゼンチン、カタマルカ州採集品)は刺が立っていて、G.
monvilleiのペン画と似ている。
産地はブラジル、ウルグアイ、パラグアイ、アルゼンチンに分布していると記されているが、このタイプはDr.Rose
によって1915年、コルドバ州(アルゼンチン)にて採集されたと記されている4)。
伊藤5)は新刺は濃褐色(基部黄金色)であるが、後には淡灰褐色か淡藤色になると記載しているが、他にこの様な記載は見当たらない。ペン画であるために刺や稜の感じがはっきりつかめないのが残念である。
参考文献
1)Kakteen und Andere Sukkulenten,11,4号表紙写真(1960)
2)Br.& R. ;The Cactaceae,V,159,Plate ][,(1922)
3)伊藤芳夫;サボテン図説,176頁,(1957)
4)J Borg;Cacti,299,(1951)
岸 密晴;カクタスノート
大阪サボテンクラブ会報,No,21,1頁 (1961)
Backeberg;Die Cactaceae,V,1748(1959)