7 鳳頭(ほうがしら)(命名者:津田宗直1)
Gymnocalyciumu asterium Y.Ito.(1952)
写真の球の栽培者 守口市 庵田知宏氏


有名な品種であるから今更解説も要しないと思われるが、本当に良い標本球は案外少ない。しかし、雑交種は少ないようで2)、古くから作られている球には立派なものが多い。
竜頭、快竜丸A型に似ているが、ずっと気品がある。初めは扁円形であるが次第に偏球形となる。
肌色は青磁色がかった灰緑色で、大球になるに連れて白粉を帯びてくるので白っぽく見える。稜数7〜12、15cm球では22稜にも達する3)。
稜は割合に低く、丸味があり、刺点の下に小さいこぶがある。刺点間は短く、刺は直刺3本が星型に出る。長さ5〜10mm。時に4本又は5本出ることもある。
刺の基部は黒褐色、先端の方は灰褐色である。刺は守殿玉のように肌に添わず、やや浮いているが、快竜丸A型ほどではない。快竜丸に比べて、頂点に綿毛が多く、後々まで残るのが特徴である。
花はうすいピンクと言っても殆ど白に近いピンクで、光沢があり、花底は紫紅色。
花弁は多く30〜40弁。快竜丸の花に比べると非常に大輪で、6〜6.5cm。花弁はややたれれ下がる4)。花筒は円筒状で肌色よりやや濃い色をしている。柱頭は白色、8〜10裂、雄蕊は白黄色、花粉も同じ色である。果実は棍棒状、種子は400〜500で多く、茶褐色のオワン型である。
産地、アルゼンチン、コルドバ州。
伊藤5)によってspegazziniiの命名したEts.stellatus Speg.(和名鳳頭と命名1)より、Gymnocalycium属に移されたが、その時asteriumと言う種名を採用した。asteriumは星型のという意味である。しかし伊藤の記載にはペン画を入れているだけなので、残念ながら挿し絵からは本当の姿を知ることが出来ない。従って学名の上からは鳳頭と守殿玉は同じと言う事になるのだが、現在、G.stellatumに対して守殿玉という和名が当てられ、現に鳳頭とは違った品種が存在している。
Backeberg6)はG.asteriumだけでstellatumは採用していないが、文中Hasseusの記載を引用して、コルドバ州から採って来たG.quehlianum(竜頭)とstellatumとは混同されているようで、stellatumはquehlianumの変種ではないかとも記している。(G.queflianum v.stellatum (Apeg.)Dolg) 又、stellatumuと言う名前は意味深長だとも言っている。fric.のつけたG.occultumは異学名である。(山名利三郎)

参考文献 1)津田宗直;月刊シャボテン、22、16、(昭和11年9月号)
2)平尾秀一;シャボテン、22、3、(1959 Apr.)
3)津田宗直;月刊シャボテン、23、115、(昭和11年10月号)
4)津田宗直;月刊シャボテン、20、口絵写真(昭和11年7月号)
5)伊藤芳夫;サボテン図説、191頁(1957)
6)Backeberg;Die Cactaceae,V,1727(1959)