2C 天平丸C型 (曲刺型)
Gymnocalyium spegazzinii var. major Backbg
=曲刺天平丸(新命名、山名利三郎;サボテン日本 20,16,(1961)
写真の球の栽培者 守口市 庵田知宏氏  径 13 cm 高 10 cm


A型、B型と比べてみると、明らかに別物であるという感じがする。Backeberg11)はこれを一変種として記載した。昭和33年にアルゼンチンより輸入された原産地球によって我々は始めてそのタイプに接することが出来た。今まで通称山堀天平丸と称されていたものである。
肌色は白粉を帯びた青緑色で、刺は7〜9本、錆色がかった暗褐色、又は赤褐色、時にはアメ色のものもあり、爪の如く曲がって隣同志くっつく様に下に向かって伸びる。長さは4cmまでで、中には1cm位の非常に短いタイプもある。刺のアメ色のものは比較的刺が短いようである。刺の曲がり方も写真の球の如く刺の割合に真っ直ぐなものから、賀来12)、竜胆寺3)、山名13)、Backeberg11)らの記載した写真の如くするどくカーブしたものまで、その個体変異が大きい。稜数約20、直径10〜15cm、Borg1)によれば20cmになるという。高さは20cm位になる。稜はB型に比べるとやや高く、アレオーレの下に低いこぶを有する。
産地はアルゼンチン、サルタ州、La Vinaの近くのLerma谷(海抜3500米)で見つけられたと記されている11)。
Backeberg & Kunth ;Kaktus ABC ,p296 (1935)によると、学名は Gym. loricantum Kunth.を採用し、G. spegazzinii Br.& R.をシノニムとし、写真はC型を載せ、別に一変種 G. loricantum var. cachensisBackbg. を記載している。Backebergは後に Die Cactaceae,V,1747,(1959)にてこれを是正し、G. spegazziniiを正式学名とし、var. cachensis を var. major と改めて、C型(Kaktus ABC と同じ写真)を記載している。
今回の大量輸入により、その個体差をいくつか集めることが出来たことは喜ばしい。(山名利三郎)

参考文献
1) J.Borg;The Cacti,p299,写真PlateXLZ (1951)
2) 小貫丑之助;シャボテンの研究,6,11号,8,(昭和10年7月)
3) 竜胆寺雄;シャボテン,p293,(1960)
4) 平尾秀一;原色シャボテン,p178,カラー頁4頁,(1957)
5) 奧 一 ;趣味のサボテン,p123 (1958)
6) 津田宗直;シャボテン,24-5,13,(昭和11年12月)仙人掌栽培法
7) 伊藤芳夫;シャボテン図鑑 参照
8) C.Backeberg;Kaktus ABC ,p289,(1935)
9) 岸 密晴;大阪サボテンクラブ会報、22,1,カクタスノート(1960年3月号)
10) Br.& R.;The Cactaceae V,1746,(1922)
11) Backeberg;Die Cactaceae,V,1746(1959)
12) 賀来得四郎;シャボテン誌,18,13,(1958)
13) 山名利三郎;サボテン日本,20,16,(1961)