コピアポイデス/Copiapoides(イスラヤ属)
この球は実は「砂王女」として、埼玉サボテンクラブの例会で競り落としてきたイスラヤ属のサボテンです。 でも知っている方なら分かると思いますが、砂王女は刺座の綿毛が豊富で、その姿には特徴がありますから違うことは明らかです。 そこでこれは何かと言うことなんですが、仙太郎はこの球を見たとたんに、かつて仙太郎が高校生時代に神戸の住吉におられた万元さんが原産地で採集してこられ、仙太郎に3本も譲って下さった「コピアポイデス(Copiapoides)」に違いないと直感しました。 稜数が多く、刺座の綿毛がほとんど無く、新刺が赤くて美しい、中刺も縁刺も同じ長さで密生した灰黒色の直刺。灰緑色の艶のない肌色。まさにあのときに見たコピアポイデスにうり二つだからです。 とは言っても、イスラヤ属の各品種は姿形がよく似ており、品種の区分けがなかなか困難ですので、思い違いはあるかも知れません。 イスラヤは内地球ならば過湿にさえ気をつければ特別栽培が困難ではないのですが、原産地球はコピアポアの黒王丸などと同じく、極端に乾燥したチリーのアンデス山脈の西側斜面に自生するサボテンで、水をなかなか吸い上げない弱い根を持つ原産地球ではその栽培は困難を極めました。 例えうまく発根しても、その後一旦根を失うと殆ど発根しないのです。 でもこの球は安心なことに、実は接ぎ木苗です。 関東では接ぎ木苗の評価は低いですから、競りの価格もさっぱり上がることなく、だから仙太郎でも競り落とせたという訳ですね。 この球を見ていると、二重鉢などで苦労して原産地球を栽培していた高校生時代の事を思い出します。 |
パウシスピナ(イスラヤ属)
これを譲って下さった方が名前が分からないと言うことで、自分なりに砂王女だろうと思い込んでいたのですがその後、イスラヤに詳しい方からパウシスピナに間違いないだろうというご指摘を頂きました。 言われてみると、砂王女はもっと刺が短くて密生しているものが一般的ですから、その通りではないかと思われます。 イスラヤ属はその殆どが小型種で、このパウシスピナもこの大きさがほぼ横方向寸法の最大、接ぎ木をすればあと2センチほどは横に大きくなることもあるのですが、その後は上に伸びて柱サボテンのようになってしまいます。 更には下の刺が脱落して荒れた肌も見せるようになってかなりみすぼらしい姿になってしまう事が多く、だからこの写真の球くらいが一番見栄えがする大きさなんですね。 姿形も地味ですから、これでは大きな標本球をずらりと並べた温室全盛の今の時代に趣味家の元に残しておいてもらえる訳がありません。 と言うことで、最近は殆ど姿を見なくなってしまいましたが、小さいが故に仙太郎のようなフレーム栽培人には嬉しい品種なんです。 仙太郎はもう一つ探しているイスラヤがあります。 姿形はパウシスピナにそっくりで、刺が黒い伊須羅玉という品種です。 新刺が透明感のある黒刺で、大変美しい種類なのですが、サボテン趣味を再開して以来今まで全く見つけることが出来ません。 もしある所を知っている方が居られましたら、是非教えてm(_ _;)m |
<ひとくち栽培メモ> 自生地から想像するに、コピアポアの黒王丸に準じた栽培が良いのではないかと思います。 極端に乾燥した原産地では根は浅く地表をはうように張っており、夜間の降露を吸って生きていると聞いたことがあります。 事実、過湿には弱い傾向がありますから、それにさえ気をつけて栽培すれば、あとはさほど栽培が困難と言うことはないようです。 ただ、植え替えはなるべくしないか、植え替えても根はなるべく残してあげる方が良いみたいです。 いったん根が無くなると、発根させるのに大儀するのです。 黒王丸同様、夏の蒸し暑さにはあまり強くなさそうで、夏の間だけでも温室やフレームから出して、風の通る軒下にでも置いてあげるのが良さそうです。 強光線には強く、日焼けしない程度の薄い遮光で栽培するとご機嫌が良いようです。 |