ギガンテア?→もしかするとトリコルニス変種ギガンテウス?
(ディスコカクタス属)

ディスコカクタスが初めて来日したのは昭和三十年代の中頃で、日本ではかなり新しくお目見えした種属です。
殆どはブラジル産で、メロカクタスと同様に寒さに弱く、寒がらせると春からの成長が止まったり、良くても成長開始が夏過ぎてからと言う状況になったりします。
夜開性のサボテンで、従って花色は夜開性には多い、白い大輪が多いようです。

この球は通称「ギガンテア」として今、広く流通しているディスコカクタスですが、この名称、実は少々怪しいのです。
まず、属名がディスコカクタスであるならば、種名はギガンテウス(giganteus)となる筈ですが、詳細さでは有名なバッケベルグの分類集を見てもそのような種の記載は見あたりません。
ギガンテウスであるとしても、このような名前は通常は何かの種の変種に付けられることが多く、単独種のギガンテウスという品種名もあまり聞いたことがありません。
昭和三十年代に輸入球で入って来たディスコカクタスの中に、Discocactus tricornis var. giganteus (トリコルニス変種ギガンテウス)という球がありました。
もしかするとギガンテアはこの球の子孫なのかも知れないのですが、tricornis v giganteus は稜の丸い感じのする球が多かったので、全体に稜が立っている感じのする球が多いギガンテアのイメージにはあまり合いません。
でも、刺の色は赤っぽい感じのしたトリコルニスに対して、ギガンテアと呼ばれる球は黒という違いはあっても、刺の姿形は輸入球で入ってきたトリコルニスに似ている感じはしますから、その近縁種であることは間違いないようです。

因みに、このトリコルニスというディスコは仙太郎には非常に思い入れのあるサボテンです。
なんと言ってもその荒々しい強大な刺は今でも強烈な印象として記憶に染みついています。
この球の写真がシャボテン誌に掲載された時は比較的大きい球と思っていたのですが、後に実物を見た印象は「思ったより小さいなあ」と言うものでした。
直径は8センチくらいで、このページに載せているギガンテアと殆ど変わらない大きさだったのです。
変種のギガンテウスもせいぜい10センチばかりの球でしたでしょうか。
でも、今、仙界で見るギガンテアは20センチを超えそうな巨大な球まであります。
園芸改良の賜なのか、あるいは仙太郎が知らないうちにそのような品種が輸入されていたのか。未だもって仙太郎には謎の多い品種なのです。


トリコルニス/原産地球(ディスコカクタス属)
(シャボテン誌67号に掲載された写真)




2006年12月3日:追加情報

埼玉サボテンクラブの例会で、ディスコカクタスに詳しい方から情報をいただきました。
それによると、ギガンテアと呼んでいるディスコは略してそう呼んでいるだけで、正式には品種名をトリコルニス変種ギガンテアと呼ぶのだそうです。
ですから、今ギガンテアと呼んでいるディスコは、かつてのトリコルニス変種ギガンテウスに間違いないようです。
ただいつ頃から黒刺になったのか、もしかすると園芸的に選別が進んだ結果そうなったのかも知れません。

更に、本日はホワイトさんの温室で、かつての輸入球のトリコルニスを彷彿とさせる球に出会いましたので、写真を撮らせていただきました。
球体はあまり大きくならず、新刺からしばらくは太い赤刺で、後にあるところから白濁してざらざらの刺になるんですが、その雰囲気がよく出ているんです。
仙太郎も今度、こんな球を探してみたいと思いますが、ホワイトさんも積極的に繁殖を試みておられるようですから、将来が楽しみです。


トリコルニス?(ディスコカクタス属)



トリコルニス変種ギガンテウス(ディスコカクタス属)

ディスコカクタスをしばらく栽培してみて、仙太郎が悟ったことがあります。
それは、仙太郎のフレーム栽培では、ディスコカクタスは冬の寒さによって成長が止まり気味で、上手に栽培出来ないと言うことです。
そこで、小苗から育て上げるのをあきらめ、開花年齢に達して花座が出ているものを求めることに方針変更しました。
ディスコカクタスはメロカクタスと同様、成球になると花座が出来、それ以上は殆ど大きくならないのです。
そんなことを考えていた折、丁度いつもお世話になっている山川さんがギガンテウスの刺の姿が整った成球をオークションに出品しておられるのに出くわしました。
競り落として、送られてきた球を見ると、思っていた通りの素晴らしい標本球でした。
送られてきた時に既につぼみが付いており、その数日後の夜にフレームの中を覗いてみると、フレームの中がレモンの香りに満ちていました。
ディスコカクタスのような夜開性の花は、虫に見つけてもらえるように良い香りがするものが多いんですね。
暗闇で撮ってみた開花写真も載せておきますが、なんだかピント合わせに失敗していますねf(^-^;)

 


 

<ひとくち栽培メモ>

冬の寒さに弱く、フレーム栽培ではなかなかやっかいな品種です。
ブラジル原産で、一年を通じて暖かい地域の産だからだそうです。
メロカクタスに似ていると考えればよいでしょうね。
寒さに遭わせなければ、根も比較的丈夫で、水やりにもあまり気を遣う必要はなく、栽培は容易なのだそうです。