鉄冠(快竜丸)(ギムノカリキウム属)

やっと水を吸い上げて元気に刺を出し始めました(2003年8月)

関西に行った際、昔のタイプの鉄冠を見つけたので入手して来ました。

鉄冠は戦前に入って来た偏球形タイプのGym. bodenbenderianumに命名された和名で、ほぼ同時に「快」竜丸という和名も別の場所で命名されたようですが、根岸栄さんなどの研究によって、先に命名されたからとして鉄冠が最終的に採用されたようです。
ところが実際の流通では快竜丸という名称も使われ続け、更には戦後入って来た扁平で刺が肌に添うタイプにも同じ「快」竜丸が使われたために、話がややこしくなってしまいました。
結局戦前に入って来たタイプのbodenbenderianumが鉄冠、戦後入って来たタイプのbodenbenderianumが「怪」竜丸に落ち着いたと聞いていますが、今でも戦後入った扁平タイプに「快」竜丸という名称が使われている場合があります。
「怪」と言う字は如何にも怪しい感じがしますから、戦後に入ったタイプに「快」の字を宛ててあげても良いような気もしますが、一度ギムノ愛好会で検討してみたいものです。

現在、鉄冠と呼ばれる個体が多数流通していてますが、この写真のタイプとは異なっています。
聞くところによると愛知の五十鈴園が普及させたタイプだそうです。
もともと鉄冠と命名された個体はこの写真の球のように肌がかなり粗目で、刺は比較的太く、かつ出始めは上に向かって出た刺が途中から横に広がるために結果として根本から湾曲た形で伸び、怪竜丸系の中では比較的豪壮な雰囲気を持つ個体が多い品種です。
基本的に鳳頭との差はあまりなく、ですから鳳頭に統合しても良いのかも知れませんが、刺座の綿毛が後まで残って全体に上品さを感じさせる鳳頭に対し、綿毛が早いうちに脱落して粗野な雰囲気を持つ鉄冠を鳳頭とは区別して栽培して来た歴史がありますので、仙太郎もこの経緯に添って鉄冠を区別して残して行きたいと考えています。


鉄冠(快竜丸)(ギムノカリキウム属)

優型ギムノを守る会会報に掲載され、菴田さんの温室でも見たことがある、刺が肌から浮いて湾曲し、肌色が艶のない灰緑色の典型的な古典型の鉄冠を最近2本たて続けに見つけました。
こちらはそのうちの小さい方の株で、刺もどちらかと言えば小さめの個体ですが、刺が肌から浮いて湾曲すると共に、肌色も鳳頭系には多い鶯色ではなく、灰緑色という、鉄冠には多い特徴をよく備えています。
日焼けして弱っている上に根がかなり老化し、根ぐされの跡も多数見られるという厳しい状況でしたので、根本から根切りして再発根さていましたが、最近やっと根を出したようで球体が膨らみ始め、新刺を伸ばし始めたのでほっとしています。


鉄冠(快竜丸)(ギムノカリキウム属)

2本見つけた鉄冠のうちの大きい方の株です。
こちらはごく最近入手したものですが、菴田さんの元で見た鉄冠と刺の色や曲がり方、疣の出方や肌色共にそっくりの個体です。
上記の鉄冠と花の時期が合えば是非交配してかつての古典的な鉄冠を再現し、普及させたいと思っています。

<ひとくち栽培メモ>
43怪竜丸と殆ど同じ栽培方法で良いと思いますが、鉄冠特有の渋い肌色を保つためには怪竜丸系の中では若干日差しは強めが良いように感じます。