花王丸(エキノカクタス属)

独特の肌色と刺が魅力の渋いサボテンで、昔からファンの多い品種でした。
仙太郎が昭和40年前後に輸入球を買っていた頃は、太平丸類は太平丸と小平丸の区別しかありませんでした。
その後、化石人間を続けている頃にこの花王丸とか翠平丸とかニコリなどの区別が行われたようなのですが、この花王丸も当時は太平丸として売られていました。
但し当時から同じ太平丸という名前でも、花王丸系と北アメリカの太平丸とでは性質がかなり違うことは知られていて、花王丸系は成長も遅く、根もあまり丈夫ではなくて、扱いにくい太平丸として知られていました。
これは岩田さんの実生による実根苗ですが、花王丸の特徴を良く出していて、派手さのない端正なたたずまいを見せていると思います。


<ひとくち栽培メモ>
刺が強く、肌色が渋いので強光線を好みそうですが、実はそうでもなく、ある程度の遮光をしてあげないと日焼けすることがあります。
体型が丸く、放熱のためのひだ(ラジエター)を持たないので体に熱がたまりやすいのだろうと思います。
ですから原産地ではあれほどの白粉を帯びて強光線に耐えているのだろうと想像されます。
輸入球は春の一時期しか成長しないと言う特徴がありました。
国内球の場合はそうでもないようですが、成長だけはとにかく遅いようです。
気長にじっくり育てていく必要があります。
太平丸類の中ではこの花王丸が最も根がデリケートで、過湿による根腐れを起こしやすいように感じます。
親株になると春にピンクの美しい大輪を咲かせます。