兜−1/白い兜(アストロフィツム属)

最近の兜は本当に白点が大きく、白い姿に変わって来ましたね。
こんなの昔だったら幾らしたか分かりません。
勿論、大量に入って来ていた原産地球にだってこんなのはまずありませんでした。
品種改良の賜物といえるでしょう。
これは埼玉の岩田さんから譲られた兜で、白さが特に目立つタイプの一つで、ISWという名称があるようです。
スーパーとミラクルの区別さえままならぬ仙太郎には良く分かりませんが、この兜はじつはミラクル兜の血が濃いんだそうです。
兜ばかり並べている方が居られますが、こんな兜ならたとえ狭いフレームでも、いくつ置いても良いと思えてきます。




兜−2/白い兜3種(アストロフィツム属)

これらも白さが特に際だつタイプです。
これも岩田さんから分けて頂いたものですが、大の兜好きの栽培家による長い改良のくり返しによって、最近ではこのような真っ白タイプの兜が随分見られるようになって来たのは本当に喜ばしいことです。
白点が多いぶんだけ、普通の兜よりも少し光線を強くする方が良いのかも知れません。


兜−3/ロイヤルスーパー(アストロフィツム属)

ロイヤルスーパーという名称はどうも一般的なものではなく、スーパー兜と瑠璃兜の交配によって作出された中から特に面白い形質を持つものに対して岩田さんが命名されたもののようです。
ご覧のように、スーパー兜の中でも特に白点が連なって巨大化する形質と、岩田さんの瑠璃兜特有の青色が混じる独特の濃い肌色が強いコントラストを形作っていて、なかなか見飽きしない鑑賞価値の高さを持っています。
まだ現存数が少なく、固定化は少し先のことかも知れませんが、これからもっと普及して買い求めやすい価格になり、兜好きなら誰でも手に入れる事が出来るようになると、兜のコレクションの幅がより広がって楽しいものになるでしょうね。


兜−4/テキサス兜(アストロフィツム属)

昭和時代の輸入兜の中にたまに白点が大きくて目立つ兜が混じっていました。これを他とは区別してテキサス兜と呼んでいました。
おそらくテキサス州から来る兜の中にそのようなタイプが多かったんでしょうね。
白点は大きかったですが、体に点在する小白点の方は今の兜ほど目立ちませんでした。
伊丹さんがドリーム兜と呼んで栽培しておられた球もテキサス兜の一種だったと聞いています。
この球はテキサス兜の姿を彷彿とさせるので、わが家でテキサス兜と呼んで育てているものです。
今では殆ど見向きもされないタイプなんでしょうけれどね。

兜−5/瑠璃兜(アストロフィツム属)

岩田さんから譲られた瑠璃兜ですが、青みがかった深い色合いの肌色が魅力的な瑠璃兜です。
瑠璃兜はれっきとした原産地球があるのですが、今現在国内で流通している瑠璃兜は殆ど兜と、碧瑠璃鸞鳳玉、或いは群鳳玉などとの交配から生まれた園芸改良種と言われています。
そのせいか、雑種強精と言うか、同じ環境で栽培してもどうも通常の兜よりも根が丈夫のような気がします。
栽培技術がまだまだ未熟な時代に1センチばかりの小苗をいっぱい買い求めた時、普通の兜は根腐れで殆ど失ってしまったのに、瑠璃兜は殆ど生き残っていたという経験があります。
瑠璃兜は肌が魅力の兜として、兜群像の中にちりばめておくとなかなか映える良い品種だと思います。

 

兜−5/兜錦(アストロフィツム属)

兜錦は最近は本当に安くなって来ましたね。
この株のように斑周りの良い兜錦だと、昭和のあのころだったら万札が10枚くらい必要でした。当時の貧乏学生やサラリーマンに買える物ではなかったのです。
だからどうしても昭和世代の我ら古狐達はそのころのノスタルジーで、今でも兜錦には目がない傾向があり、サボテン会の競りに競ってくる参加メンバーは同年代が多い感じがしますね。
だから仙太郎のフレームでも、しばらく居なくなっても、寂しくなってまたどこかから買って来てしまうんです。

<ひとくち栽培メモ>
兜ほどよく普及しているにもかかわらず、栽培が簡単でないサボテンも珍しいと思います。
兜は春から秋までずっと花を咲かせ続けるという特徴があります。
これは原産地を何度も訪れてその分布と生態を観察されている村主さんによると、体も根も柔らかくて腐り易いが故の兜自身の自衛策なのだそうです。
腐り易いから次々と花を咲かせて種をばらまいて子孫存続に努めるというわけです。
体が柔らかいのは、乾期は体を縮めて土中に潜るのが目的ではないかと想像します。原産地の写真を見ると他のサボテンによく見られる木陰などには生えておらず、結構露天に生えていることが多いようですが、潜るという手段を持つからそのようなことが出来るのではないかと感じます。
つまり兜は基本的にかなり根の弱いサボテンです。
球体も柔らかくて背が低いですから、赤腐れが入るとすぐに成長点まで達してしまってまず助かりません。
根が弱いにも関わらず、水は大好きと来ていますから実に困ったちゃんなのです。
培養土は水はけに特に気を遣い、その代わりに水やりの頻度は多くして、適度の湿り気が培養土に長く保たれている状態にすることが理想ではないかと思います。

更に、実生からの太根は特に弱いですから、実生苗のうちから毎年植え替えをし、その際に根本から根をちょん切って、生える根を比較的固い細根だけにするのが根腐れを防ぐ秘訣だそうで、この方法を岩田さんに教わって以来、兜を失うことが大幅に減りました。

比較的高温と湿度を好みますから、あまり通風を計り過ぎるとコチコチになってしまう傾向がありますが、順調に育てると寿命は20年程度だそうですが、フレームのコチコチ栽培をすると寿命は経験的に40年位あるようです。