蛇竜丸(ギムノカリキウム属)/戦前のタイプ

蛇竜丸も忘れ去られたギムノと言えます。
今でも人気のある海王丸は蛇竜丸の変種ですから、御本家はこの蛇竜丸なのです。
蛇竜丸は戦前に輸入されていたタイプと、現在輸入されるタイプとでは全く違っており、昔の蛇竜丸はこのように刺座の下の疣が大きく突出して来るという特徴があります。
最大18センチくらいまでになると言われていますが、そのくらいの大きさになると更に刺座の下の疣が突出するそうです。
花は海王丸と同じ白ですが、姿形は海王丸とはかなり違っていて、海王丸が殆どないに等しい短い花首であるのに対し、蛇竜丸はご覧のように花首が長く、かつ、花弁も海王丸の丸弁とは違ってこちらは先が尖った剣弁になります。
この蛇竜丸は昭和35年頃に神戸芦屋の白仙園で購入したものですが、白仙園にはこのように戦前から残されているサボテンがいくつかありました。
購入した時は黄色く固まった全くのこじれ株で、我が家に来てからも10年以上固まったままで、これはもう駄目かと思っていたのですが、ある日突然蘇ってきました。
現在輸入される蛇竜丸は殆ど海王丸の顔をしていて、体に丸みがあり、刺がこぶにまとわりついてこれよりずっと小型種です。
当時と今では採取地が全く違うのかも知れません。
もう現存数が極めて少ない個体と思うと、不人気だからと言って、粗末には出来ないギムノです。

蛇竜丸錦(ギムノカリキウム属)

蛇竜丸は今では青物は少なく、このように斑物の方が広く流通しているようです。
寂しい話ですが、青物だと捨てられてしまうけれど、斑入りならばなんとか残してもらえたと言うことではないんでしょうか。
蛇竜丸錦は斑を出すために青物以上に雑交配種が多いと言われていましたから、この蛇竜丸錦もそうかなと思っていたのですが、花が咲いてみると津田さんが言っておられたあの青みがかった萼がついた蛇竜丸特有の白花がちゃんと咲きました。
姿形も蛇竜丸としておかしな所はありませんし、結構まともな蛇竜丸なのかも知れません。

<ひとくち栽培メモ>
ギムノ類の中では弱光線を好むタイプに属します。
根も丈夫で、培養土の配合にもあまり気を遣う必要はありません。
水−分を好み、過湿にも強いですから、水は多めに与えます。