光琳玉/原産地球(ギムノカリキウム属)

昭和30年代のサボテンブームは言い換えるとギムノブームでもあり、コピアポア、エリオシケ、マツカナ、メロカクタスなどの南米西部ものブームでもあったのです。
その後すっかり人気が落ちてしまった品種が多いギムノの中にあって、当時から人気が低下しない数少ない品種の一つが光琳玉ではないかと思います。
これはおそらく村主さんを始め、この品種を愛する人達の並々ならぬ改良努力の結果、太く、長く、巻くような素晴らしい刺を持った光琳玉がいっぱい世の中に出現したからではないかと思います。

原産地の光琳玉には有名な話があります。
それは、この品種を発見したドイツの業者(ウィンター商会)が欲深にも原産地にあった光琳玉を全部掘り尽くし、種子を取るための300本を除いて残りを全部処分したというものです。
確かに昭和30年代、天平丸は原産地球がどんどん入って来ましたが、光琳玉は1本も入って来なくて、この話はもしかすると本当かも知れないと思われたものでした。
それが今ではご存知の通り、別の群落が発見されて原産地球も少量ながら入って来るようになりました。
しっかり生き残っていてくれたんだと思うと感無量のものがあります。

上の写真の球は数年前にワシントン条約付属書2類の許可証付きで輸入されて来た原産地球です。
多くの手続きを経てやっとたどり着いて来たのですから大切にしなくてはなりません。
太いゴボウ根が付いているので写真に撮ってみました。




昔のタイプの光琳玉(ギムノカリキウム属/実生30年以上)

当時、改良が行われる前のドイツからの輸入種子による、実生から40年以上経過した殆ど原種タイプと思われる光琳玉が今でもわが家にいます。
現在の光琳玉と比較すると刺が貧相なのが分かるでしょうか。
でも、昔はこれが光琳玉の普通の姿だったのです。
普通に接している今の光琳玉が、いかに改良の進んだ姿であるかが分かると思います。
ただ、原産地球に接することが出来るようになって少し気になるのは、これら当時の種子による光琳玉は本当に光琳玉だけから採種された種子なんだろうかと言うことです。
なぜなら、原産地球はどれも長い刺が密生し、このような刺の出方をする光琳玉を見たことがないからです。
群落が違うための個体差なのか、或いは大量の種子を得るために他の、例えば魔天竜なども交配相手として利用していたのか、今ではちょっと気になるところです。

 


光琳玉(ギムノカリキウム属)

ギムノ命さんからすばらしい光琳玉が贈られました。
いわゆる村主光琳玉と言われるタイプから選別されたもののようですが、ご覧のように原産地球の光琳玉よりも刺が太いのですから大したものです。
ここ40年ほどのうちに日本国内の光琳玉は本当に素晴らしい姿に変貌して来ました。

 


光琳玉(ギムノカリキウム属)

こちらは刺が肌に添って巻くタイプの光琳玉です。
刺色に栗毛色が混じり、肌色が濃い灰色系ですが、実はこれ、肌の色と刺の色だけは伊丹さんが日本で最初に花を咲かせたあの有名な光琳玉に瓜二つなのです。
狂刺的な雰囲気はまるで無い、端正なたたずまいの光琳玉ですが、くつろいでゆっくり見ていられるというか、仙太郎が特に好きなタイプのひとつです。

 


光琳玉/原産地球(ギムノカリキウム属)

新しい輸入の光琳玉です。
今年に入り、CITES 2類の許可証つきでまた光琳玉の原産地球がわずかながら入って来ました。
今回の光琳玉もコロニーに特徴があり、ご覧のようにこれまでになく扁平で、比較的短い刺が肌にぴったり添って派手さが全くない特徴的な姿をしています。
光琳玉にも実に様々なタイプが存在するものだなあと思いました。


光琳玉(ギムノカリキウム属)

銘品展の競りで、かつて伊丹さんのフレームで見たものとそっくりの、栗毛色の太刺が横にうねって巻いて、濃い肌色をした光琳玉があるのを見つけました。
おまけに太刺も袖ヶ浦接ぎでキメラ化した太刺ではなく、龍神木接ぎで出ている刺です。
そう言えば伊丹さんの光琳玉も低い龍神木接ぎでした。
あまり値が上がらなかったので落札してきました。
持ち帰って改めて見てみると、見れば見るほど伊丹さんの光琳玉に似ているので大いに満足しています。



<ひとくち栽培メモ>

天平丸と同様に高山性のギムノです。
栽培は天平丸に準じて良いと思います。
太いゴボウ根がありますから深鉢を使用するのが良いと思います。
根が太い故に比較的根腐れもし易いのですが、ただし天平丸ほどには扱いにくくない感じがあります。
天平丸と同様に成長点が黒くなって成長が停止してしまうことがあるのですが、ホワイトさんが教えて下さったボロン水溶液を与えると確かに回復効果があるように感じます。