天平丸A型(ギムノカリキウム属)
(ハーゲタイプ天平丸)

ハーゲ天平丸と呼ぶ、戦前にドイツのハーゲ商会から輸入されたと言われる有名な天平丸がありました。
刺が少しチョコレート色がかっていて肌色も濃く、刺が優美に下に伸びて渋い味わいのある銘品でした。
伊丹勝吉さんの元にあって、行くたびに涎垂らして見ていたのですが、ある日、伊丹さんがこの天平丸ともう一つの似たタイプの天平丸を交配して種子を取られました。
取れた種子を懇願して頂いてきて、実生して生えた10個ほどの中からたまたま袖ヶ浦に接いであったために生き残ってくれた1本がこの天平丸です。
あのハーゲ商会の天平丸に比べると刺が細いですし、肌色も緑が濃くてあまり似ていませんが、あの遺伝子は確かに入っているはずなので、いつか似た顔つきの天平丸を探してきて戻し交配をと思っているうちにとうとう寿命が尽き、2001年の秋の初めに天国に召されて行きました(T_T)

曲刺天平丸/天平丸マジョール(ギムノカリキウム属)

我が家のサボテン達No,2の天国に召された天平丸に代わり、北海道のmajorさんが贈って下さった天平丸です。
原産地球顔負けのすばらしい体型を保った栽培が行われて来ている事が分かります。
majorさん、こんな貴重なサボテンをどうもありがとう。
前に居た天平丸は戦前の血を引く天平丸。この天平丸は戦後の代表格となった大型種の通称マジョールと呼ばれるものです。
稜数が多くて刺が太く短く肌に張り付くように密に生えるためになかなかの貫禄があり、普通の天平丸とはかなり雰囲気が違って見えます。
通常の天平丸と違って肌色に紫色が入ることが殆ど無く、偏球形まま20センチを越える大型になります。
「優系ギムノを守る会」の解説で、曲刺天平丸となっている天平丸です。
高山性の天平丸と言われ、天平丸系の中では最も機嫌の取りにくいタイプと言われます。
昭和の30年代にかなり大量に入ったのですが、その後さっぱり原産地での行方が分からなくなっており、今では天平丸の中でも最も貴重なものになってしまいました。
再びそのコロニーの発見が待たれます。

でも、曲刺天平丸って変な名前だなあと思われる方が多いのではありませんか。
なぜなら、もともと天平丸は皆、刺が曲がっているものだと思っている方が多いと思うからです。

と言うことで、戦前に入って来ていた天平丸の一つの典型として、当時の原産地球の写真も載せておきます。


天平丸/原産地球(戦前のシャボテン誌掲載の写真)

これは昭和10年頃のシャボテン誌に載った写真です。
体型が偏円にはならずに背が上に伸び、刺はあまり曲がっていないことが分かるでしょう。
これが戦前型天平丸の一つの典型的な姿なんですが、今の天平丸とはかなり様子が違っているのが分かると思います。
これに似たタイプを白仙園あたりで何本か買って来て育てた経験から言うと、現在の天平丸よりも性格は比較的素直な気がします。
根腐れしたり、こじれたりと言うことをあまり経験した記憶がありません。
性質は勲装玉や五大州に近い感じと言えばいいでしょうか。
恐らく今の天平丸よりも標高が低い地域の産ではないのかなと、これは仙太郎の勝手な想像です。
標高が低いとすれば、開発などで絶滅してしまった危険性もなくはないですが、いつか又このタイプが見つからないものかと心待ちにしているのです。

 



原産地球の天平丸−1(ギムノカリキウム属)
左:発根前  右:発根後

原産地球の天平丸−2(ギムノカリキウム属)
左:発根前  右:発根後

原産地球の天平丸−3(ギムノカリキウム属)
左:発根前  右:発根後

2003年から2004年にかけて、少量ながら天平丸の原産地球が入荷しました。
今回入って来た天平丸はB型天平丸などとも呼ばれるいわゆる通常の天平丸で、戦前に入って来た刺の長いA型天平丸や、昭和30年代に入って来た大型種のC型天平丸、いわゆるマジョールなどとは別系統のものです。
刺がA型とC型の中間の長さで、どちらかと言えば新刺が黒いことが多く、大きさもせいぜい15センチ止まりのあまり大きくならないタイプです。
輸入を手がけた業者の方からお話を聞いてみると、今やこれらの原産地球の輸入は大変な手間がかかるようです。
シャボテン誌の谷田亀氏の記事にもあった通り、天平丸はペルーの方まで自生しているほど自生範囲が広くて大量に自生している種類のようですが、基本的にワシントン条約付属書2類の植物ですからCITESと呼ばれる原産国の政府の許可証がなければ輸入することが出来ません。
これが発行されるのに申請から8カ月もかかるそうですから、それこそ手続き開始から現物が到着するまでに1年がかりの仕事になるようです。

この天平丸はこの煩雑な手続きを経てやっと到着してきた少量の中の貴重な球で、本来非常に高いものなので仙太郎のようなビンボーサラリーマンが簡単に買えるようなものではないのですが、今回は皆が選んだ残りものだったので何とか安く手に入れることが出来ました。即ち、入荷した中でもあまり良いタイプではないのですねf(^-^;)
根を切って調べてみると3本とも結構中まで赤ぐされが深く入っていましたから、今回の輸入の中で実際に生き残れる株はそう多くないかも知れません。
昔から輸入球の根はむしり取ったままのひどい状態で入り、それが災いして生き残るものが少なかったのですが、今でも現地の輸出業者の根の扱いは相変わらずのままというわけです。
3株とも絶対に生き伸びさせてあげたいですから、現在は健全な部分まで根切りし、ベンレートを塗って長い乾燥作業に入っています。
ま、胴切り乾燥するには今は絶好な季節というのが幸いでしたね。(2004年2月上旬)

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その後3ヶ月、3本とも発根して元気に刺を伸ばし始めました。
発根前の写真に並べてみました。(2004年4月末)

 


 

天平丸マジョール(ギムノカリキウム属)

2006年の狂仙会に行った際に入手した天平丸ですが、マジョールとしての特徴が非常に良く出ている個体です。
稜数が多くて刺が太く短く、肌から浮かずに球体を覆っていて、肌色も紫色が入らず、つや消しの深緑色をしています。
最近はなかなか見られないタイプですが、貫禄があるので何本か置いておきたいタイプです。

 



天平丸(ギムノカリキウム属)


村主さんからのプレゼント苗ですが、俗に「猫爪」と呼ばれているタイプです。
戦前型の天平丸の一つのタイプですが、付けられた名称から想像すると、入って来たのは戦後かも知れません。
肌色に紫色が入り、球体は凹凸が少なくてつるりとしており、マジョールのように偏球形には育たず、通常は球形に育ちます。
刺は肌から浮いて垂れ下がりますが、いわゆるハーゲ型ほどに長くはありません。
写真の球のように、刺のうちの下の3本が寄り添うように寄っている固体がなぜか多いようです。天平丸の中でもなかなかの優美派ではないかと思います。

 



<ひとくち栽培メモ>
丈夫で育てやすいギムノ類の中にあって、天平丸は光琳玉と並んで癖があって例外的に育てにくいサボテンです。
ギムノカリキウムとしては珍しく、2000メートル以上の高山性の植物だからではないかと考えています。
まず、根が過湿には弱いですから培養土は十分に水はけの良いものが必要です。根が新天地のように細根が密生する出方ではなく、太いゴボウ根が出るからかも知れません。
ですから植木鉢も出来るだけ深鉢を使う方が安全です。
培養土は仙太郎の場合は赤玉土は細粒を使わず、全て小粒を使い、更に培養土の半分は軽石になっています。
暑さは非常に苦手のようで、特に実生小苗は夏の終わりに集団で腐ってしまうのを何度か経験しています。逆に寒さにはかなり強いようですから、成長期の見極めもそれを参考にすると良いと思います。
ここ関東平野では秋の初めから春終わりまでが成長期で、特に真冬に一番太くて綺麗な刺が出て来ます。
このために冬でも10度C以上の温度と、ある程度の湿度を保って成長を止めないようにしないと春からの具合が良くないようです。
夏場は水やりを控えて通風を計り、出来るだけ涼しく過ごさせます。
「優型ギムノを守る会」の「曲刺天平丸」の記事も参考にして下さい。

仙太郎はどうしても残したい大切な個体は昔から接ぎ木で保存してきました。
名人、故伊丹勝吉さんも一部を除いて、天平丸は接ぎ木で保存して居られました(訪問記の写真参照)。
天平丸を正木で立派に育てている方が時々おられますが、これこそ正真正銘の名人だと思いますね。