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台湾の政治経済(2007年以降)

関連ページ;台湾の政治経済(2006年以前

Taiwan's Fragile Success Story(2015-12-16)

TW 10-1, 台湾の2010/2Qの成長率は前年同期比12.57%増(2010-8-21)


25-02.台湾の09/4Qの成長率は9.22%の驚異的回復(2010-2-23)


25-01.台湾の馬総統の支持率低下の一途(10年1月15日)

24-6.台湾の09年3Qの成長率は-1.29%と大幅改善(09年11月27日)

24-5.台湾の09年2Qの成長率は+20.69%と急回復、いや実は-7.54%でした(09年8月20日)


⇒台湾の09年6月の輸出受注は大幅に改善(09年7月24日)

24-4.台湾の6月の輸出は-30.4%、回復の兆し見えず(09年7月7日)

24-3,台湾の09年5月の失業率は最高水準(09年6月23日)


24-2.台湾の09年1Qの成長率はー10.24%(09年5月21日)

23-4.台湾、08/4Qの成長率は-8.36%輸出-19.8%が響く(09年2月19日)

24-1.台湾の09年1月の輸出は前年比-44.1%(09年2月9日)


23-3.台湾、08/3Qの成長率はマイナス1.02%、4Qも不振(08年11月23日)

23-2.台湾の08年1Qの成長率は6.06%と輸出と投資で好調(08年5月30日)

23.台湾は公定歩合引0.125%アップで3.5%に(08年3月28日)

22-3.台湾の07年の成長率は5.7%と好調、輸出主導(08年2月23日)

22-2.台湾の07年2Qの成長率は5.07%と好調(07年8月24日)

22-1.台湾の07年1Qの成長率は4.15%とやや改善(07年5月25日)

21.馬英九、国民党主席を辞任、2008年の総統選挙には出馬の意向(07年2月13日)

20. 台湾の07年の輸出は伸び は大幅に鈍化の予想(07年1月25日)

19.台湾政府が不振の中華銀行の経営権を取得(07年1月8日)

18. 国民党党営企業は赤字で、資産が大いに目減りした?(06年8月24日)


18. 国民党党営企業は赤字で、資産が大いに目減りした?(06年8月24日)

世界で最もお金持といわれる台湾の国民党は過去10年間の投資の失敗により42.7億NT$=新台湾ドル(約150億円)の損失を蒙ったと発表した。

国民党は2000年に民進党の陳水扁が総統に選ばれるまで、戦後一貫して台湾を支配し、その間膨大な資金を蓄積し、多くの国民党党営企業が存在し、内外に積極的に投資をおこない利益をあげてきたと見られている。

ところが、国民党のいうところによると1996年から党営企業の業績が芳しくなく、ここ10年間で上に述べたような赤字を累積した。その結果、国民党の純資産はピーク時(1998年)の918億NT$(3,250億円)から277億新台湾ドル(980億円)へと減少してしまったという。

特に、李登輝総統時代(1988年~2000年)の間に投資の失敗により、資産が大いに目減りしたということである。また、国民党は土地や建物などの多くは合法的に取得したものであり、それらの多くは国民党員の退職金や年金基金に使ったとしている。

国民党の資産は台湾の住民から蒋介石以下の国民党幹部が「搾取」したものであるというのが民進党をはじめ、多くの台湾人の言い分であり、国民党の資産は台湾政府に帰属させるべきだというのが民進党の主張である。

今回、国民党が発表した数字についてもその信憑性について疑念を持つ人は少なくない。この資産問題は国民党にとっては「対中国政策」とともにアキレス腱であることは間違いない。

(台北タイムズ、インターネット版、8月24日付け参照)

 

19.台湾政府が不振の中華銀行の経営権を取得(07年1月8日)

台湾政府は経営不振に陥っている力覇亜太企業集団(Rebar Asia Pacific Group)の中華銀行(Chinese Bank=大陸とは無関係)の経営権を取得し、同銀行の取締役の外国への出国を禁止し、個人資産の凍結を行う措置をとった。

台湾政府の中央存保(Central Deposit Insurance Corp)は中華銀行の経営権を1月5日(金)夜12時に剥奪・取得した。動向に対する「取り付け騒ぎ」が起こっており、1月5日(金)だけで、150億新台湾ドル(約550億円)の預金が引き出された。

同グループはホテル、デパート、繊維会社などを所有している。中華銀行は全島に35の支店を有するが預金シェアーは1%未満の小規模な金融機関である。

以前から赤字経営で今回の取り付け騒動でいっそうの資金繰り難に陥った中国力覇(China Rebar Co.) と嘉新食品化繊(Chia Hsin Food & Synthetic Fiber Co.)の2社は台湾地方裁判所に会社更生法ほ申請を行った。

また、国営の合作金庫銀行(Taiwan Cooperative Bank)と民間の国泰世華銀行(Cathay United Bank)は資金難に陥っている力華票券(Great Chinese Bills Finance Corp)を1月7日(日)に経営権を取得する台湾金融監視委員会の施俊吉(Shih Jun-ji)i委員長は語った。同時に預金者の預金は保護されていると国民に平静を呼びかけた。

力華票券は力覇亜太企業集団が70%の株式を保有する同グループの金融機関であるが17億新台湾ドル(約62億円)の資金ショートを1月7日現在起こしていた。

台湾中央銀行の彭淮南(Pern Fai-nan)総裁は今回の事件は個別の問題であり、他の金融機関に波及することはないと語った。

台湾経済は全体的には比較的好調に推移していると見られているが、個々には問題を抱えた企業が存在することが今回の事件で表面化した。特に小なりといえども金融機関が破綻し取り付け騒ぎが起こるというようなことはやはり異常である。

 

20. 台湾の07年の輸出は伸び は大幅に鈍化の予想(07年1月25日)

台湾政府、行政院経済部によれば2006年の「輸出受注額」は2005年に比べ16.74増加し、2,993億1000万ドルに達した。 このように昨年は輸出が順調に伸び、台湾経済の成長を支えてきたが、12月に至り突如調子がおかしくなった。

06年12月の輸出受注額は263.9億ドルと前年同月比7.32%とそれまでの10%台から目だって鈍化したのである。06年10月は272.9億ドル、11月は272.2億ドルであった。

また。06年12月の工業生産も17ヶ月ぶりに1.72%のマイナスになった。半導体の最大手のTSMC(台湾セミ・コンダクター)社は12月の売り上げは前年同月比18.4%落ち、フラット・パネルの最大手Chi Mei Optoelectronics社も19%減少したとしている。

たった1ヶ月の現象をことさらに大きく取り上げる必要性もないように思えるのであるが、台湾政府は07年の輸出見通しについて慎重な見方に傾いてきている。

経済部は米国への伸びは鈍るであろうが、他地域への輸出が増え、10%程度の伸びは期待できるとやや楽観的な見方をしている。

しかし、予算・会計・統計部では06年の輸出の伸びが12.5%増だったが07年は6.1%に鈍化するであろうときびしい見通しを発表している。

台湾の半導体やエレクトロニクス関連の輸出は世界全体の需要動向を敏感に反映しており、2007年はかなり厳しいものになる可能性がある。

(http://wwww.chainapost.com.tw/ 1月25日参照)

 

21.馬英九、国民党主席を辞任、2008年の総統選挙には出馬の意向(07年2月13日)

台湾の最大野党の国民党の馬英九主席は台北市長時代に1,100万新台湾ドル(3,300万米ドル相当)異常を横領したとされ、起訴されることとなった。それに伴い馬英九氏は国民党主席を直ちに辞任し、同時に2008年に予定されている台湾総統選挙には立候補することを宣言した。

台湾高等検察庁は「馬英九は1998年~2006年の台湾市長時代に、送金手続きを必要としない特別基金を不正に着服した容疑で起訴する」と表明した。

もし有罪になれば馬氏は7年以内の禁固刑に処せられる。

馬氏は次期総統選挙の最有力候補と見られていたが、党主席を辞任すればおそらく国民党の支持は得られない可能性があり、独立候補となる。

 

22. 2007年の台湾経済

22-1.台湾の07年1Qの成長率は4.15%とやや改善(07年5月25日)

台湾の07年1Q(1~3月)の成長率は4.15%と06年4Qの4.04%に比べやや改善された。(台湾行政院は今回GDPの数値を全面的に修正している。)

06年 4Qは農業が10.63%も成長したが、今Qは0.96%と大幅に鈍化した。

製造業は4.45%と前Qの3.26%に比べやや改善されたとはいえ依然として低い水準である。2006年の製造業の7.23%であった。

建設部門は5.52%の伸びを示し、比較的好調であるがこれは高速鉄道関連の工事であり、やがって終わってしまう。

サービス部門は平均で4.17%の伸びである。ホテル・飲食店5.52%、商業5.43%など概して好調である。運輸・通信が3.06%と低くなっているのは台湾では携帯電話などの普及が一巡したためであると考えられる。政府関係が0.92%と極端に低調である。

国内総支出でみると平均の伸び率4.15%を上回っている項目は公共部門資本形成(高速鉄道建設など)のが22.93%、輸出が6.26%のみである。民間消費が2.27%と3番目である。

06年4Qには11.04%の伸びを示した民間設備投資が今Qは0.97%にまで鈍化している。これは半導体関連の投資が落ち込んでいることを示している。輸出動向によっては回復する可能性もあるが今のところ余りパットしない。

輸入の伸びが3.07%と鈍化しているのは投資と消費の不振を物語っている。(表22-1-3参照)

台湾経済全体として「極端に悪くはないが良くもない」という状態がしばらく続くであろう。

 

22-2.台湾の07年2Qの成長率は5.07%と好調(07年8月24日)

台湾の07年2Q(4~6月)の成長率は1Qの4.18%にくらべ5.07%とかなり改善された。

特に民間部門の投資が12.5%と大きく伸びた点が注目される。これは半導体関連企業の投資が活発であったためである。

台北ー高雄間の高速鉄道工事完了により、公共投資は1Qの21.9%から2Qは0.87%へと大きく鈍化した。

民間消費は台湾経済の約3分の2を占めるが、1Qの2.10%から2Qの2.61%へとやや改善されたが、依然として低迷している。これは個人消費ローンの引き締めも影響しているという。

輸出は実質ベースでは4.62%とさほどの伸びではないが、輸出受注はきわめて旺盛で07年7月は297.2億ドルと前年同月比15.19%も増加している。

製造業は1Qの4.94%から2Qは7.61%へと上昇した。いうまでもなく輸出の好調に対応するものである。

建設部門は1Qの5.52%から2Qは6.20%と比較的好調である。民間設備投資の好調に対応した伸びである。

サービス部門は平均で4.15%の伸びと平凡な伸び率である。これは個人消費の低調と対応している。

 

22-3.台湾の07年の成長率は5.7%と好調、輸出主導(08年2月23日)

台湾の07年4Q(10~12月)の成長率は3Qの6.86%にくらべやや低下したものの6.39%と 好調を維持した。部門別にみると断然突出しているのは製造業の14.90%という異常とも言える伸びである。これは3Qの11.35%をも上回る数字である。

製造業の好調を支えたものは輸出の12.89%という高い伸び率である。

台湾経済の特徴として07年に入ってから「金融部門」の成長率が急上昇している点である。06年の伸び率がわずかに1.22%であったのに対し、07年4Qは前年同期比12.6%、07年平均でも7.91%と異常に伸び率が上昇している。台湾の金融業界に何か異変が起こったのであろうか?(私には原因がよく分かりません。)

4Qの数字として気になるのは固定資本形成がマイナス1.59%に落ち込んだといことである。民間投資は-2.4%であるが、これは06年4Qの+10.87%という異常ともいえる高い伸びの反動とも考えられる。

全体的には輸出の好調とそれに伴う製造業の好調にもかかわらず、それが賃金の上昇や個人消費の増加にあまりつながっていない。政府支出も抑制されており、好況感が国民レベルには感じられていない様子が窺える。それが議会選挙における与党民進党の大敗に影響したという点も指摘されよう。

07年通年では5.70の成長であり、06年の4.89%をカナリ上回った。製造業は10.12%という2桁成長である。輸出の8.83%という高い伸びのおかげである。それに反し内需はサッパリである。こういう経済の片寄りは好ましい姿ではない。

企業業績は好調だが家計はあまり良くなっていない様子がマクロ指標からは窺える。

08年は4.4%という成長見通しを出しているが、これは米国をはじめ世界市場が不振に陥るという見方に立ったものであるが、台湾企業はハイテク産業がリードしており、これくらいの数字は実現可能であろう。

 

表22-1-1、台湾の実質経済成長率(2001年価格、部門別、%)新SNAによる

 2005  2006  2007 06/3Q 06/4Q 07/1Q 07/2Q 07/3Q 07/4Q
実質GDP 4.16 4.89 5.70 5.34 4.07 4.19 5.24 6.86 6.39
農林水産業 -8.07 6.09 -2.91 13.41 12.68 -0.82 4.21 1.68 -13.92
製造業 6.96 7.51 10.12 8.73 3.63 5.19 8.33 11.35 14.90
電気・ガス 5.71 3.32 2.58 4.81 2.83 4.97 2.82 2.47 0.41
建設業 1.20 6.68 3.38 10.61 6.68 4.25 5.05 2.34 1.98
サービス業  3.53 3.93 4.33 3.77 4.07 3.95 4.14 5.38 3.87
うち運輸・通信 4.18 4.17 2.49 4.23 3.84 2.56 2.63 2.46 2.32
  金融 1.54 1.22 7.91 -1.58 2.08 5.14 5.97 12.60 8.09
  ホテル・飲食 6.65 6.03 2.74 5.70 9.18 4.69 5.57 1.04 0.73
  商業  6.85 6.21 5.47 6.83 5.36 4.89 4.58 6.25 6.10

 

表22-1-2、台湾の実質国内総支出(2001年価格、%)新SNAによる

 2005     2006     2006    06/3Q 06/4Q 07/1Q 07/2Q 07/3Q 07/4Q
実質GDP 4.16 4.89 5.70 5.34 4.07 4.19 5.24 6.86 6.39
民間消費 2.99 1.76 2.61 0.76 2.43 2.12 2.57 3.61 2.15
政府消費 1.08 -0.41 0.80 -0.04 0.02 -0.24 0.03 1.66 1.48
総固定資本形成 1.19 0.62 2.39 3.98 3.18 0.78 6.03 4.49 -1.59
 民間 0.31 2.96 3.39 6.49 10.87 1.43 8.55 5.84 -2.40
 公共 16.20 -7.48 3.88 -1.88 -6.05 20.89 1.82 0.66 -0.76
 政府 -1.92 -6.20 -3.91 -5.24 -9.17 -13.03 -6.84 -0.80 1.62
輸出 7.62 10.37 8.83 12.81 2.95 6.38 4.73 11.06 12.89
輸入 3.77 5.16 3.96 6.05 1.05 -0.45 2.39 7.33 6.29

資料;行政院2008年2月22日発表。

 

23.08年の台湾経済

23-1.台湾は公定歩合引0.125%アップで3.5%に(08年3月28日)

台湾の中央銀行は3月27日(木)に公定歩合を0.125%引き上げ、3.5%にすると発表した。これで15四半期連続での引き上げになるという。 これは6年来の高水準である。

米国を中心として世界的に金利引下げムードになる中で台湾と韓国がいずれも公定歩合3.5%で頑張ると言う姿になっている。タイも今のところ公定歩合引き下げはおこなっていないが、中央銀行には景気浮揚策として金利引き下げ圧力が強まっている。 それにしてもいまどき、金利を引き上げる国があるのは驚きである。

台湾では銀行に外貨保有率5%を義務付けていたが、それを0.125%に引き下げると言う。それによって民間銀行の経営負担を軽減する狙いがあると見られる。

彭淮南(Pern Fai-nan)総裁は「台湾の消費者物価は08年前半は3.2%上昇が見込まれており、3.5%の金利は中立的な金利であると言えよう。」と述べており、今後さらに引き上げるかどうかについては言明を避けた。

台湾としては経済成長が07年4Qが6.39%と好調であり、インフレのみが懸念材料であるという方針で金利を決めているものと思われる。今回もいわば「余裕の金利引き上げ」と見るべきであろう。これによって台湾ドルが強くなって輸出に悪影響を及ぼすかどうかなどはまるで気にしていないようだ。

日本のように細かいことを財界や学者がゴチャゴチャいって大勢を誤るようなことがないように日銀は主体性をもって金融政策をおこなっていくべきであろう。米国の金利が下がってきて日米金利差が縮小してきた。次の金利引き上げのタイミングに動くべきチャンスが到来したともいえよう。

08年に入ってからの対米ドル為替レート

  1米ドル=新台湾ドル 1米ドル=日本円
1月2日 32.45 111.57
2月1日 32.06 106.33
3月3日 31.10 102.96
3月27日 30.16 99.54

 

23-2.台湾の08年1Qの成長率は6.06%と輸出と投資で好調(08年5月30日)

台湾の08年1Q(1~3月)の成長率は6.06%と07年4Qの6.50%を下回ったものの依然好調である。成長をリードしているのは輸出(11.4%)に支えられた製造業 であり、11.88%と2桁の伸び率を維持している。ただし、07年4Qの15.56%と比べるとやや鈍化した。

07年に目だった「金融部門」の成長率(07年で7.91%)は今Qは3.99%に鈍化した。

一方、07年は不振だった建設部門は07年4Qの0.41%から08/1Qは5.50%へと飛躍した。これは民間投資の回復によるものである。

民間投資は07/4Qは-2.59%であったが08年1Qは6.66%の伸びであった。これは中国への投資警戒感が台湾企業にも出てきており、台湾企業はベトナムなど東南アジアに投資先を振返る一方、一部には台湾本土への復帰も見られる。

個人消費は相変らず低調であり、08年1Qは2.05%の伸びであり、07年4Qの1.89%と変わり映えしない。輸出や製造業の好調が個人の収入や家計の所得にまで反映されていないものと思われる。

輸入は9.0%とやや高い伸びとなったが、資本財の増加によるものであり、これは民間設備投資の伸びを反映したものである。

消費者物価上昇率は3.58%と高めである。

 
23-3.台湾、08/3Qの成長率ははマイナス1.02%、4Qも不振(08年11月23日)


台湾経済は08年1Qは6.25%、2Qは4.35%とやや鈍化したが、3Q(7~9月期)は-1.02%とマイナス成長となり、大きな衝撃が走っている。4Qも-1.73%と引き続きマイナスが続くという予想を行政院はしている。

08年3月に国民党の馬英九氏が総統選挙で勝利し、これから台-中関係の改善・強化により台湾経済はますます大発展を遂げると大見得を切ったが、実際はマイナス成長となってしまった。

2008年の通年では1.87%となる見通しである。ITバブルのはじけた2001年は-2.17%であった。

08年3Qの動向は;農業+1.80%、工業-0.44%、うち製造業は+0.03%、サービス部門は-1.36%、うち金融関係は-7.98%であった。

要は米国のサブ・プライム・ローン問題をキッカケに、台湾のコンピューター関連、半導体などが輸出不振、価格低落の影響を受け、個人消費(-2%)や設備投資(-11.5%)も不振におちいり、マイナス成長になったということに尽きる。ちょうど2001~2年のITバブルの崩壊時に状況は似ている。

馬政権に対する失望感が急速に高まっている。陳水扁前総統を公金(機密費)使い込み容疑で逮捕したが、昔の国民党政権(李登輝よりも前)を知っている人々にとっては、「国民党がいまさらそんなことを言えた義理か」という反発もあるという。

馬政権は消費拡大政策として、国民1人当たり、3,600新台湾ドル(約1万円)の「買い物クーポン)」を配布することにしたという。どこかで聞いた話だが、さて効果のほどは?

詳しい統計表が出次第、詳細につき検討する。


23-4.台湾、08/4Qの成長率は-8.36%、輸出-19.8%が響く(09年2月19日)

台湾経済は輸出に支えられて08/2Qまでは比較的好調に推移してきたが08/3Qから失速した。

輸出の好調に支えられて、製造業も」08/2Qまでは高い伸びを示していたが、3Qには伸びがほぼゼロとなり、4Qには前年同期比-21.7%という大きな落ち込みとなった。

民間の設備投資は08/2Qから-9.9%と大きな落ち込みをみせた。既に台湾の企業家はこの段階から「景気後退」を予想していたと見られる。

08年9月から始まった、本格的なサブプライム・ローンの破綻危機に先行する形で「不況の萌芽」が存在したと見るべきであろう。

現在の世界不況はサブプライム・ローン不況だけでなく、それまでの世界的なバブル傾向のトガメが出てきていると見るべきであろう。

また、民間消費についてだが、台湾といえども前年同期比で3%増くらいが上限なのである。インドネシアやフィリピンが5%も比較的長期に伸びるなどということはおよそありえないことなのである。

表23-1-1、台湾の実質経済成長率(2001年価格、部門別、%)

2007 2008 08/1Q 08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q
農水林業 -1.9 -1.4 6.3 -5.8 -2.0 6.9 -2.66
製造業 10.4 -1.0 12.2 9.3 0.1 -21.9 -28.63
電・ガ・水 1.9 -1.0 5.2 3.8 -5.5 -5.7 -9.59
建設 3.2 -2.6 3.4 1.4 -1.8 -12.8 -18.95
サービス 4.3 0.8 4.4 3.2 -1.4 -3.2
-2.76
 商業 5.4 0.8 6.9 6.4 -1.2 -7.7 -6.29
 ホテル・飲食 2.6 -2.8 2.4 -0.7 -6.2 -5.7 -2.76
 運輸通信 2.2 1.0 3.2 2.1 -1.0 -0.9
-2.00
 金融 8.2 -1.8 4.1 -0.7 -8.0 -2.7
-4.53
 不動産 4.6 2.4 4.3 4.5 1.4 -0.5
1.69
 科技専 11.3 3.1 8.3 8.3 2.6 -3.7
-3.33
 教育 2.5 2.6 2.3 2.5 1.9 1.9
1.90
 医療保険 3.6 3.1 2.9 2.8 2.7 3.4. 4.66
 政府 -0.6 0.7 0.0 0.4 0.9 1.6 1.90
国内総生産 5.7 0.1 6.3 4.6 -1.1 -8.6
-10.24


表23-1-2、台湾の実質国内総支出(2001年価格、%)

2007 2008 08/1Q 08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q
民間消費 2.3 -0.3 2.1 0.5 -2.1 -1.7 -1.41
政府消費 0.9 1.2 1.3 -0.2 1.2 2.2 3.68
固定資本形成 1.9 -10.8 3.7 -8.0 -11.8 -22.6 -33.80
民間 3.3 -13.5 3.9 -9.9 -12.8 -31.5 -41.00
公営 1.4 -3.6 6.5 4.7 -9.4 -6.4 -26.13
政府 -5.3 0.3 0.1 -1.0 -7.6 8.0 13.29
輸出(含サ) 8.8 -0.2 12.7 9.9 -0.6 -19.2 -27.15
輸入(含サ) 3.8 -4.3 9.6 0.2 -2.6 -21.4 -30.92
国内総支出 5.7 0.1 6.3 4.6 -1.1 -8.6
-10.24



24.2009年の台湾の経済

24-1.台湾の09年1月の輸出は前年比-44.1%(09年2月9日)

台湾の輸出は08年10月頃から著しく落ち始め、08年12月は前年同月比-41.9%であった。今年に入ってもさらに悪化し、1月の輸出は123.7億ドルと全円同月比-44.1%となった。このような大幅な現象は過去に記録がないという。

財務省関係者の話では09年上期はこのような状況が続き、回復過程にはいるのは09年下期になってからであろうとみている。

特に中国と香港向けは37.1億ドルと-58.6%と最大の落ち込みとなった。ヨーロッパ向けは17.2億ドルと-32.6%となった。

一方輸入もお菊減少しており、09年1月は89.7億ドルであり、-56.5%であった。その結果貿易黒字は34億ドルと08年12月の18.6億ドルに比べ増加しているという。(WSJ,09年2月9日電子版参照)

しかし、輸出の落ちは生産活動の落ちに直結し、失業率は今後急速に高まっていくものと思われる。


24-2.台湾の09年1Qの成長率はー10.24%(09年5月21日)

台湾経済は08/3Qからマイナス成長になり、08/4Qは-8.6%と大きく失速したが、09/1Qは-10.24%とさらに悪化した。

輸出が08/3Qからマイナスに転じ、08/4Q=-19.2%がさらに09/1Qには-27.15%と大きく落ち込んだ。それにともない製造業が08/3Qには伸びがほぼゼロとなり、4Qには前年同期比-21.9%と大きく沈み、09/1Qにはさらに-28.63%という大きな落ち込みとなった。

輸出依存型の台湾経済は全産業部門がサービス業の一部を除き、マイナス成長となった。

民間消費は09/1Q=-1.41%とさほどの減少ではないが、民間設備投資は08/4Q=-31.5%から09/1Q=-41.00%という未曾有の大きな落ち込みをみせた。政府投資を積極的におこなっているが到底追いつかない。

台湾政府の見通しでは、09/3Qまでマイナス成長は続き、プラスに転じるのは4Qからだとみている。

台湾経済は中国の需要動向に大きく左右されているが、すでにボトム・アウトしつつあることは間違いないようである。最近の株価をみると、台湾の株式市場は明らかに活気を取り戻しつつある。

5月21日に昨年9月はじめの水準にまで戻っている。一方、日本はいつまでもグズグズしている(表3参照)。この差は一体何なのだろうか?

表24-1-1、台湾の実質経済成長率(2001年価格、部門別、%)

2007 2008 08/1Q 08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q
農水林業 -1.9 -1.4 6.3 -5.8 -2.0 6.9 -2.66
製造業 10.4 -1.0 12.2 9.3 0.1 -21.9 -28.63
電・ガ・水 1.9 -1.0 5.2 3.8 -5.5 -5.7 -9.59
建設 3.2 -2.6 3.4 1.4 -1.8 -12.8 -18.95
サービス 4.3 0.8 4.4 3.2 -1.4 -3.2
-2.76
 商業 5.4 0.8 6.9 6.4 -1.2 -7.7 -6.29
 ホテル・飲食 2.6 -2.8 2.4 -0.7 -6.2 -5.7 -2.76
 運輸通信 2.2 1.0 3.2 2.1 -1.0 -0.9
-2.00
 金融 8.2 -1.8 4.1 -0.7 -8.0 -2.7
-4.53
 不動産 4.6 2.4 4.3 4.5 1.4 -0.5
1.69
 科技専 11.3 3.1 8.3 8.3 2.6 -3.7
-3.33
 教育 2.5 2.6 2.3 2.5 1.9 1.9
1.90
 医療保険 3.6 3.1 2.9 2.8 2.7 3.4. 4.66
 政府 -0.6 0.7 0.0 0.4 0.9 1.6 1.90
国内総生産 5.7 0.1 6.3 4.6 -1.1 -8.6
-10.24


表24-1-2、台湾の実質国内総支出(2001年価格、%)

2007 2008 08/1Q 08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q
民間消費 2.3 -0.3 2.1 0.5 -2.1 -1.7 -1.41
政府消費 0.9 1.2 1.3 -0.2 1.2 2.2 3.68
固定資本形成 1.9 -10.8 3.7 -8.0 -11.8 -22.6 -33.80
民間 3.3 -13.5 3.9 -9.9 -12.8 -31.5 -41.00
公営 1.4 -3.6 6.5 4.7 -9.4 -6.4 -26.13
政府 -5.3 0.3 0.1 -1.0 -7.6 8.0 13.29
輸出(含サ) 8.8 -0.2 12.7 9.9 -0.6 -19.2 -27.15
輸入(含サ) 3.8 -4.3 9.6 0.2 -2.6 -21.4 -30.92
国内総支出 5.7 0.1 6.3 4.6 -1.1 -8.6
-10.24

表24-1-3、台湾と日本の株価水準の比較

台湾 日経
08年9月1日 6,813.1 12,834.18
09年1月初 4,591.2 8,859.56
4月1日 5,314.5 8,351.91
5月1日 5,992.6 8,977.37
5月19日 6,655.6 9,290.29
5月21日 6,718.8 9,264.15


24-3,台湾の09年5月の失業率は最高水準(09年6月23日)

台湾経済は最近になって液晶パネルや電子部品や石油化学製品が中国向けを中心に輸出受注が好転しつつあるというやや明るいニュースも見えてきたが,パソコンなど依然低迷を続けているものが少なくない。

台湾行政院主計処の発表によれば09年5月の失業率は0.06%上がり5.82%、実数で633千人と1978年に統計をとり始めて以来最高の水準になったという。

さらに、これから新規学卒者が約140千人労働市場に新規参入するため、事態は深刻であるという。

台湾政府としては昨年10月以来95千人の新規雇用をおこなったが、失業者の増加ペースには追いついていない。

台湾の09年4月の標準名目賃金は1ヶ月当たり35,797新台湾ドル(約10万円)であり、08年4月に比べ2.56%下がっているという。

このような状況の下では個人消費が増えるはずもなく、台湾経済の回復はひたすら輸出の回復を待つほかなさそうである。(09年6月23日、Taipei Times 電子版参照)

国民党馬英九総統も大変な時期に政権に就いたものである。このような事態が続けば民進党たたきなどやっていると国民の反感を買うおそれがある。


24-4.台湾の6月の輸出は-30.4%、回復の兆し見えず(09年7月7日)

台湾の09年6月の輸出は169.5億ドルと5月の161.7億ドルに比べ4.8%増加したものの、前年同期比では30.4%のマイナスと昨年9月以来10ヶ月連続のマイナスになった。

中国と香港向けの輸出は70.6億ドル(09年5月は101.2億ドル)と-30.2%であった。ヨーロッパ向けは17.2億ドルで前年同月(28.0億ドル)比-38.6%、米国向けは18.7億ドルと前同月(26.3億ドル)比-28.9%であった。

品目別にはエレクトロニクス関連が45.8億ドルと前年同月(55.4億ドル)比-17.3%と落ち込みが比較的少ない。この編はやや明るい材料と見てよいであろう。

輸入は6月は151.9億ドルと前年同月比33.5%マイナスであり、10億ドルの貿易黒字であった。農産品と産業材料は36.3%減であったが、消費財は7.5%減であった。

台湾の輸出動向が韓国、東南アジアの輸出の先行指標的な役割を果たしている。


⇒台湾の09年6月の輸出受注は大幅に改善(09年7月24日)

台湾の6月の輸出実績は上述のように依然として不振であったが、輸出のの"先行指標”となる「輸出受注」は279.4億ドルと前年同月比-10.9%と大幅に改善された。ちなみに、5月の輸出受注は-20.14%であった。

この「改善」は3ヶ月連続している。台湾の輸出受注は前年の同時期に比べマイナスは続いているというものの大幅に改善されつつあるといってよい。

国別には中国・香港からの受注が-10.49%(5月は-17.65%)、米国からの受注は-8.38%(同5月は-17.35%)、ヨーロッパからの受注は-17.8%(同5月-28.01%)、日本からの受注はプラス2.93%(同5月-14.69%)でであった。

日本からの受注が6月は前年同月比でプラスになったことは驚きだが、小型ノート・パソコンなどの増加が最近目立っている。地域別にはヨーロッパ向けの回復が遅れている。

一方、輸入は「資本設備」に限っていえば、6月の実績は21.8億ドルと、5月の実績の16.6億ドルにくらべ、31.3%も増加し、過去の最高値であった2008年10月の23.5億ドルに迫るものであるという。

6月の製造業の生産実績は前年同月比-11.5%であるが、エレクトロニクス関連は-8.24%と改善を見せている。5月のマイナスは18.42%であった。(WSJ 09年7月23日電子版参照)


24-5.台湾の09年2Qの成長率は+20.69%と急回復、いや実は-7.54%でした(09年8月20日)


マジメなことではピカイチの台湾行政院が09年2Qの経済成長長は20.69%プラスの急激な回復を示したと発表した。しかし、これは09年1Q対比の数字であった。日数などを調整したいわゆる「季節調整後」の数字だという。

台湾政府がこんな意味のない数字を発表したのはおそらく初めてで、日本や韓国のマネをしたのかもしれない。しかし、台湾政府は同時に、従来どおり、前年同期比の数字を発表している。

実際は09/2Qの成長率は前年同期比-7.5%なのである。1Qは-10.13%だったからいくぶん回復したことは事実であるが、今なお深刻な不況下にあるということには変わりはない。にも関わらず+20.69%などという数字を発表することにいかなる意味があるのだろうか。

ちなみに、日本はこの対前Qの数字だけで景気が良くなったとか回復したとかいって政府はハシャギ回っている。日本政府の方が悪質である。恥ずかしい限りである。

輸出が08/3Qからマイナスに転じ、08/4Q=-19.2%がさらに09/1Qには-27.86%と大きく落ち込んだ。09/2Qも-18.36%とさほどの改善は見られない。

それにともない製造業が08/3Qには伸びがほぼゼロとなり、4Qには前年同期比-21.9%と大きく沈み、09/1Qにはさらに-28.63%という大きな落ち込みとなり、2Qは-19.84%と依然としてマイナスである。

輸出依存型の台湾経済は全産業部門がサービス業の一部(不動産、教育、医療など)を除き、マイナス成長が続いている。

民間消費は09/2Qは+0.36%と09/1Q=-1.41%に比べやや回復している。

民間設備投資は09/2Qは-33.35%と不振が続いている。08/4Q=-31.5%から09/1Q=-40.585%という未曾有の大きな落ち込みから脱してはいないが、最近は半導体や液晶パネルが上向いてきている。政府投資を積極的におこなっているが様子は見て取れる。

台湾経済は中国の需要動向に大きく左右されているが、すでにボトム・アウトしつつあることは間違いないようである。輸出受注が6月から上向きに転じている。

表24-5-1、台湾の実質経済成長率(2001年価格、部門別、%)

2007 2008 08/1Q 08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q 09/2Q
農水林業 -1.9 -1.4 6.3 -5.8 -2.0 6.9 -2.66 -3.86
製造業 10.4 -1.0 12.2 9.3 0.1 -21.9 -28.09 -19.84
電・ガ・水 1.9 -1.0 5.2 3.8 -5.5 -5.7 -9.70 -8.33
建設 3.2 -2.6 3.4 1.4 -1.8 -12.8 -18.95 -14.87
サービス 4.3 0.8 4.4 3.2 -1.4 -3.2
-2.81 -2.31
 商業 5.4 0.8 6.9 6.4 -1.2 -7.7 -6.15 -4.89
 ホテル・飲食 2.6 -2.8 2.4 -0.7 -6.2 -5.7 -2.45 0.05
 運輸通信 2.2 1.0 3.2 2.1 -1.0 -0.9
-2.31 -3.36
 金融 8.2 -1.8 4.1 -0.7 -8.0 -2.7
-4.53 -4.16
 不動産 4.6 2.4 4.3 4.5 1.4 -0.5
1.75 1.49
 科技専 11.3 3.1 8.3 8.3 2.6 -3.7
-1.63 1.23
 教育 2.5 2.6 2.3 2.5 1.9 1.9
1.90 1.88
 医療保険 3.6 3.1 2.9 2.8 2.7 3.4. 4.66 4.36
 政府 -0.6 0.7 0.0 0.4 0.9 1.6 1.90 1.14
国内総生産 5.7 0.1 6.3 4.6 -1.1 -8.6
-10.13 -7.54


表24-5-2、台湾の実質国内総支出(2001年価格、%)

2007 2008 08/1Q 08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q 09/2Q
民間消費 2.3 -0.3 2.1 0.5 -2.1 -1.7 -1.59 0.36
政府消費 0.9 1.2 1.3 -0.2 1.2 2.2 3.68 1.49
固定資本形成 1.9 -10.8 3.7 -8.0 -11.8 -22.6 -33.44 -23.67
民間 3.3 -13.5 3.9 -9.9 -12.8 -31.5 -40.58 -33.35
公営 1.4 -3.6 6.5 4.7 -9.4 -6.4 -25.97 4.41
政府 -5.3 0.3 0.1 -1.0 -7.6 8.0 13.31 24.01
輸出(含サ) 8.8 -0.2 12.7 9.9 -0.6 -19.2 -27.86 -18.36
輸入(含サ) 3.8 -4.3 9.6 0.2 -2.6 -21.4 -30.06 -19.44
国内総支出 5.7 0.1 6.3 4.6 -1.1 -8.6
-10.13 -7.54


2009年8月20日、台湾行政院主計処発表


24-6.台湾の09年3Qの成長率は-1.29%と大幅改善(09年11月27日)

台湾行政院が09年3Qの経済成長長は-1.29%と2Qの-6.85%に比べ大幅な改善となた。

台湾政府は前年同期比の数字を堂々と発表している。それに比べ経済大国日本は対前Qの数字だけで景気が良くなったとか回復したとかいって政府はハシャギ回っている。国民を誤魔化すことばかり考えてきた自公政権は終わった。民主党連合d政権は悪い癖のついた役場の改善をお願いしたい。

輸出が09/3Qは-8.52%と2Qの-17.24%に比べ大幅に改善されたのが寄与した。

それにともない製造業が09/3Qには-4.76%と2Qの-16.45%に比べ大幅に改善されている。

民間消費は09/3Qは+2.21%と09/2Q=-0.61%に比べかなり回復している。

民間設備投資は09/3Qは-13.31%と不振が続いているが、2Q=-30.75%から見れば大幅に改善されている。

政府の消費は+3.64%、投資は+25.95%と景気浮揚策がとられている。10月、11月に入り台湾経済は着実に上向いており、賞与を増額する企業も増えている。

表24-6-1、台湾の実質経済成長率(2001年価格、部門別、%)

2007 2008 08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q 09/2Q 09/3Q
農水林業 -2.42 0.55
-0.04 -4.37 7.27 -3.07 -1.75 -5.91
製造業 9.82 0.43 11.00 2.29 -20.52 -22.62 -16.45 -4.76
電・ガ・水 6.57 1.19 5.53 -2.89 -1.59 -6.63 -5.51 3.68
建設 1.53 -5.55 -5.14 -7.03 -8.91 -14.27 -8.50 -4.40
サービス 4.43 0.99 3.91 -1.37 -2.38
-4.13 -3.05 0.91
 商業 5.94 1.16 5.77 -1.05 -5.60 -5.67 -5.01 0.82
 運輸倉庫 4.57 0.46 3.39 -1.96 -1.34
-6.53 -5.31 -2.29
 金融 6.14 -2.20 3.69 -9.81 -6.98 -15.15 -10.41 -3.78
 不動産 5.33 0.96 3.55 -0.43 -0.77
-0.49 -.1.53 4.46
 情報通信 3.64 5.14 7.59 2.21 6.30
1.37 2.18 3.84
 教育 2.65 1.00 1.80 0.90 0.44
2.78 2.43 1.72
 政府 -1.16 0.90 0.25 1.15 1.99. 1.07 1.35 2.72
 その他 4.75 1.36 3.74 -0.54 -1.97 -4.11 -2.04 0.02
国内総生産 5.98 0.73 5.38 -0.80 -7.11
-9.06 -6.85 -1.29


表24-6-2、台湾の実質国内総支出(2001年価格、%)

2007 2008 08/2Q 08/3Q 08/4Q 09/1Q 09/2Q 09/3Q
民間消費 2.08 -0.57 0.65 -2.78 -2.18 -1.96 -0.61 2.21
政府消費 2.09 0.68 1.68 -0.54 0.49 5.03 2.91 3.64
固定資本形成 0.55 -11.17 -9.32 -14.65 -21.85 -29.37 -21.37 -6.17
民間 1.36 -13.78 -11.23 -16.78 -29.49 -35.53 -30.75 -13.31
公営 1.57 -2.38 2.17 -10.69 -6.53 -28.33 5.57 8.37
政府 -4.46 -0.39 -1.84 -3.52 3.91 13.72 22.42 25.95
輸出(含サ) 9.55 0.56 9.12 1.87 -17.93 -26.87
-17.24 -8.52
輸入(含サ) 2.98 -3.12 -0.47 -2.34 -17.94 -33.20 -19.25 -12.61
国内総支出 5.98 0.73 5.38 -0.80 -7.11
-9.06 -6.85 -1.29


2009年11月25日、台湾行政院主計処発表


25-01.台湾の馬総統の支持率低下の一途(10年1月15日)

台湾の与党国民党がこのところの選挙で連敗を続けているが、馬英九総統の支持率も雑誌『遠見』(Global Views)によれば急落しているという。

人気指数は09年12月では23.5%だったものが10年1月には23.2%にまで下がった。
また、総統への「信頼指数」は昨年12月から1.6%下がって36.4%にまでなったという。過去の最高値は09年6月の40.7%であった。

人気が落ちたキッカケは昨年8月の台風の被害の対応のまずさに起因するといわれている。また、豚インフルエンザのワクチン問題でもヘマをやったという。

国民党の議員についても支持率は18%に下がり、不支持率は63.9%にも達している。

国民党支持者の間でも馬総統の「実績」は「期待以下」であると答えた人が71.9%に達し「期待以上」だと答えた人が13%に過ぎない。また、与党国民党の「実績」が「期待以下」だと答えた人が62.4%であるのに対して「期待以上」と答えた人が24.2%にしか過ぎなかった。

この背景としては、行政上の個々のミスが原因であるという見方は皮相的で、国民党と馬総統の対中姿勢に台湾国民の多くが「漠然とした不安」を感じているのではないかという見方がある。

馬総統が「中国との対話」路線を強調し、次々と中国との結びつきを急速に強化しているが、国民の多くはそれを内心不安に思っている人が多いという。

台湾の経済は最早中国との関係無しには成立しない段階に来ているが、共産党の一党独裁下の中国に併合されてはかなわないという感情は台湾人にはかなり根強いものがある。

また、蒋介石が共産党に敗れて、台湾に逃げてきたときも国民党は台湾人に対して残虐行為を繰り返したこともまだ多くの人々の脳裏から離れない。国民党はいつ「台湾人」を中国共産党に売り渡すか分からないという疑念が広範囲に生じつつあるということは言えるであろう。

近く、馬総統がたいした用事もないのに米国に立ち寄り、型どおり「中国共産党」がそれを「非難する」というような動きにあるが、これとて「お芝居」ではないかと勘ぐる向きもあるという。


25-02.台湾の09/4Qの成長率は9.22%の驚異的回復(2010-2-23)

台湾行政院が発表した09年4Qの経済成長長は9.22%と3Q=-0.98%、2Qの-6.85%に比べ大幅な改善となり、一挙にプラスに転じた。2009年通年では-1.87%とマイナスであった。

輸出が09/4Qは+19.06%と3Q=-8.41%と2Q=-17.24%に比べ大幅に改善されたのが寄与した。

それにともない製造業が09/4Qには+25.96%と驚異的な回復を示した。3Q=-4.71%と2Q=-16.45%に比べ大幅に改善されている。

民間消費は09/4Q=6.27%と2Q=+2.21%よりもさらに良くなった。

民間設備投資は09/4Q=8.16%と2Q=-12.02%、2Q=-30.75%から見れば大幅に改善されている。

政府の消費は+3.16%にとどまったが、投資は14.05%と3Q=+25.83%に引き続き景気浮揚策がとられている。

台湾政府は2010年は4.72%の成長を見込んでいる。


TW 10-1, 台湾の2010/2Qの成長率は前年同期比12.53%増(2010-8-21)

台湾行政院が発表した10年2Qの経済成長長は12.53%と1Q=+13.71%に引き続き大幅な成長を遂げた。これは言うまでもなく前年同期比の数字である。このような2ケタ成長になったのは09/1Qおよび2Qが大幅なマイナス成長を記録した反動という要因が大きい。

しかし、輸出が主役であるが、それに引きずられて製造業が33.79%(1Q=42.14%)と大幅な増加を示した。

設備投資も+30.77%(1Q=+29.26%)と活況を呈している。


民間消費は+4.41%(1Q=3.06%)と控えめな伸びである。

台湾政府は2010年下期の伸び率は鈍化するとみているが通年では8.24%の成長を見込んでいる。

表10-1、台湾の実質経済成長率(2001年価格、部門別、%)

2007 2008 2009 09/1Q 09/2Q 09/3Q 09/4Q 10/1Q 10/2Q 
農水林業 -2.42 0.55
-3.08 -3.07 -1.75 -6.81 -1.66 -1.29  -3.83 
製造業 9.82 0.43 -4.64 -22.62 -16.45 -4.71 25.42 42.14  33.79 
電・ガ・水 6.57 1.19 -0.28 -6.63 -5.51 4.38 6.37 7.85  5.67 
建設 1.53 -5.55 -6.69 -14.27 -8.50 -4.40 0.28 14.45  10.99 
サービス 4.43 0.94 -0.22 -4.13 -3.05 1.08 4.90 6.33  5.76 
 商業 5.94 1.16 -0.41 -5.67 -5.01 0.82 7.72 7.14  7.57 
 運輸倉庫 4.57 0.46 -2.62 -6.53 -5.31 -2.03 3.12 8.21  7.09 
 金融 6.14 -2.20 -7.03 -15.15 -10.41 -4.38 2.09 8.53  6.05 
 不動産 5.33 0.96 2.12 -0.49 -.1.53 4.58 5.87 5.13  2.07 
 情報通信 3.64 5.14 3.15 1.37 2.18 4.52 5.21 5.16  6.34 
 教育 2.65 1.00 1.84 2.78 2.43 1.61 -0.17 0.49  1.42 
 政府 -1.16 0.90 1.39 1.07 1.35 2.72 -0.08 1.91  1.87 
 その他 4.75 1.36 0.26 -4.11 -2.04 0.82 6.22 9.02  8.48 
国内総生産 5.98 0.73 -1.87 -9.06 -6.85 -0.98 9.06 13.71  12.53 


表24-6-2、台湾の実質国内総支出(2001年価格、%)

2007 2008 2009 09/1Q 09/2Q 09/3Q 09/4Q 10/1Q 10/2Q 
民間消費 2.08 -0.57 1.48 -1.96 -0.61 2.31 5.83
3.06 
4.41
政府消費 2.09 0.68 3.63 5.03 2.91 3.64 3.24
1.78  1.67 
固定資本形成 0.55 -11.17 -11.80 -29.37 -21.37 -5.20 14.38 29.26  30.77 
民間 1.36 -13.78 -11.38 -35.53 -30.75 -12.02 13.15 41.30  37.48 
公営 1.57 -2.38 4.03 -28.33 5.57 7.91 23.01 3.17  32.15 
政府 -4.46 -0.39 18.77 13.72 22.42 25.83 13.59 -8.89  7.10 
輸出(含サ) 9.55 0.56 -9.21 -26.87
-17.24 -8.41 19.54 41.41  34.27 
輸入(含サ) 2.98 -3.12 -13.73 -33.20 -19.25 -12.27 15.88 48.83  34.35 
国内総支出 5.98 0.73 -1.87 -9.06 -6.85 -0.98 9.06 13.71  12.53 


2010年8月19
日、台湾行政院主計処発表




Taiwan's Fragile Success Story(2015-12-16)

Cass R. Sunstein
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By

These days, Americans don’t think a lot about Taiwan. That’s a shame. A thriving democracy in a region with too few of them, Taiwan also faces unique challenges, not least because of its ambiguous legal status and the possibility that it will eventually be absorbed into China -- perhaps by force. Elections next month, which a pro-independence party is expected to win, could mark a turning point. Americans have plenty of reason to pay attention.

I spent a few days last week in Taiwan, giving a series of lectures and also meeting with both the current president, Ma Ying-jeou, and Tsai Ing-wen, who is highly likely to succeed him. I found a country that is one of the world's bright spots. It could easily be taken as a model for others, but its complex relationship with China could ultimately threaten regional stability.

To appreciate the current situation, it’s necessary to understand some history. China's warring factions were unified in 1928 by Chiang Kai-shek, who ruled what he called the Republic of China for nearly twenty years. But in 1949, the Communists, led by Mao Zedong, routed Chiang and his supporters, who fled to Taiwan, declaring it to be the true Republic of China (ROC, as it is often called today). Mao insisted Taiwan was part of China and had no legitimate claim to independence.

From 1949 to 1975, Chiang ran Taiwan in an authoritarian manner (and within Taiwan, he is now widely regarded as a tyrant). The period is called the “White Terror,” a system of one-party rule in which many dissenters were imprisoned or killed.

Martial law continued until 1987. Since that time, there has been a multiparty system, with intense competition between the Kuomintang (KMT) and the Democratic Progressive Party (founded, illegally, in 1986). The KMT's Ma has made public apologies for the abuses and horrors of the White Terror and awarded billions of dollars in compensation.

The major division between the two parties involves continuing but sometimes subtle disputes over the precise relationship with China. The KMT supports closer ties, especially economic ones. While resisting the idea of unification, the KMT also rejects the idea of national independence for Taiwan and continues to endorse a modified form of the “one China” idea. Tsai's party, the DPP, rejects that idea, insisting Taiwan has carved out a distinctive national identity.

The divide has a strong generational component. A substantial percentage of people under the age of 40 strongly support Taiwan’s independence. They see it as having a history and identity of its own. The expected victory of the DPP in next month’s elections attests to the growing electoral power of the younger generation: With each year, the people of Taiwan increasingly see themselves as a separate nation, with its own values and culture.

When we spoke, Ma stressed that Taiwan faces daunting economic challenges. Its ambiguous status (is it a country, or not?) severely complicates entry into the free trade agreements that greatly benefit its Asian competitors. Ma met with Chinese leader Xi Jinping in Singapore last month, the first such meeting since 1949; he sought to manage tensions and promote economic integration.

Tsai disagrees with Ma on many points, but when I spoke with her she also emphasized Taiwan’s economic challenges and the importance of exports to continued economic growth. The journalists and academics I met lamented that China sometimes succeeds in excluding Taiwanese representatives from international events, contending it's not a country.

If Tsai becomes president, she'll have to decide how to navigate the relationship with China while protecting the island's extraordinary achievements, including a robust democratic culture, with an independent judiciary and a high level of political freedom, all created in a remarkably short period after authoritarian rule.

Many Taiwanese believe China poses a genuine and even imminent threat to these achievements. Pointing across the Taiwan Strait to Hong Kong, where Beijing is asserting increasing authority, they want to be able to maintain their hard-won freedom and their distinctive way of life. Taiwan’s 23 million citizens deserve an opportunity to do exactly that.