トップに戻る


スペイン政府は国営銀行バンキア(BANKIA)に90億ユーロ注入(2012-5-24)

スペインの10年物国債入札で利率は6%を上回る。IMFの支援情勢(2012-4-17)

スペインの財政赤字は2011年8%超、12年のユーロの規律守れず(2012-3-3)

スペインも政権交代ーそれでも雨は広野に降り続ける(2011-11-22)


スペインでは11月20日(日)の選挙で8年間政権にあった社会党が敗れ右派の国民(民衆・)党(Popular Party)が地滑り的な勝利をおさめ政権に就くことになった。今スペインは失業率が20%を超えている。ユーロ圏の中では最も失業率が高い国になってしまった。2011年末には失業率は23.5%に達した特に若年層(18~25歳)の失業率は50%を超えている。

表1 ユーロ諸国の失業率(%)

ドイツ オランダ フランス イタリー スペイン ポルトガル ギリシャ
00 8.0 3.0 9.0 10.1 11.1 4.5 n.a
01 7.9 2.6 8.3 9.1 10.4 4.6 n.a
02 8.7 3.1 8.6 8.6 11.1 5.7 n.a
03 9.8 4.1 9.0 8.4 11.1 7.1 n.a
04 10.5 5.1 9.2 8.0 10.6 7.5 10.5
05 11.2 5.3 9.3 7.7 9.2 8.6 9.9
06 10.2 4.3 9.2 6.8 8.5 8.6 8.9
07 8.8 3.6 8.4 6.1 8.3 8.9 8.3
08 7.6 3.1 7.8 6.8 11.4 8.5 7.7
09 7.7 3.7 9.5 7.8 18.0 10.6 9.4
10 7.0 4.5 9.8 8.4 20.1 12.0
12.5
11/1Q 6.4 4.3 9.7 8.1 20.6 12.4 15.7
11/2Q 6.2 4.2 9.7 8.0 20.8 12.6 16.1


経済成長率も2008年に0.9%に落ち込み2009年、2010年と連続してマイナスである。2008年アキノレーマン・ショック以降立ち直れずに今日に至っている。それはギリシャ、イタリー、ポルトガルとみな同じである。共通して言えることはこれら4か国は製造業が弱く、貿易赤字が2004年ごろから急拡大したということである。

第2表 ユーロ諸国のGDP実質成長率(%)

ドイツ オランダ フランス イタリー スペイン ポルトガル ギリシャ
00 3.3 4.0 3.9 3.9 5.0 3.9
01 1.6 2.0 1.8 1.7 3.6 2.0 4.2
02 0 0.1 0.9 0.5 2.7 0.7 3.4
03 -0.4 0.3 0.9 0.1 3.1 -0.9 5.9
04 0.7 2.0 2.3 1.4 3.3 1.6 4.4
05 0.8 2.2 1.9 0.8 3.6 0.8 2.3
06 3.9 3.5 2.7 2.1 4.0 1.4 5.2
07 3.4 3.9 2.2 1.4 3.6 2.4 4.3
08 0.8 1.8 -0.2 -1.3 0.9 0.0 1.0
09 -2.7 -3.5 -2.6 -7.0 -3.7 -2.5 -2.3
10 2.1 1.6 1.4 -0.4 -0.1 1.3 -4.4
11/1Q 1.3 0.8 0.9 0.1 0.4 -0.6 0.2
11/2Q 0.1 0.1 0.0 0.3 0.2 0.0 n.a.


つまり、経済成長率の低下とともに失業率が急上昇したのである。ザパテ-ロ前首相は真面目な人柄であり、レーマン・ショックとともに貿易赤字を減らし財政を立て直せというEU本部の指令を忠実に実行した結果こうなったのである。貿易収支は下の第3表に見るように見事に減った。

ザパテーロ首相は2008年のレーマン・ショック後に15%の予算削減、15%の賃金・年金カットを強行し、国内経済は一挙に不況に突入してしまった

スペインについてはユーロ導入後に投機マネーが流入し、不動産バブルが起こり、それがパンクして銀行が不良債権を多く抱えたという説明がなされている。その時スペインに背局的に融資を行っていたのがドイツの銀行であった。

バブル崩壊だけがスペイン経済の停滞をの原因とは言えない。産業構造上の要因、すなわち製造業の弱体の要因のほうか大きいと考えられる。

債務残高はGDP比61.0%でさほど多いとはいえない。イタリーは118.4%に達している。貿易赤字も下の第3表にみるように209年から激減している。それだけ「引き締めの効果」はあったといえる。そのかわり、国内経済は死んでしまったのである。「病気は直ったが患者は死んだ」のである。

スペインはなぜか財政赤字を周辺国から問題視されてきた。社会党政権であるということによって不必要にたたかれたフシもある。ドイツもフランスも右派政権である。財政赤字は2009年は11.1%あった。これはレーマン・ショック後の不況も影響した。2010年には赤字は9.2%であった。2011年は赤字を6%にまで下げるべく努力していた。しかし、国内経済の不振は続き目標達成は困難であり、一層の引き締めがさらに事態を悪化させ失業者の急増につながった。

2011年11月の選挙で国民党はこれといった経済回復のシナリオを提示することなく、選挙で楽勝してしまった。国民が「現状打破」を政権交代に求めたのである。政権が交代しても新たな展望が開けるはずもない。スペインに降る雨は晴れ間を見ることなく長期に続くことになろう。

EU本部あるいはドイツなどのいうことを工業弱国が真面目に聞いて実行すればこうなるのである。だからザパテイロ氏は選挙で負けてもテレビで見る限り実にサバサバした顔をしていた。おそらく原因と結果についてきちんとして理解し、こうなることはわっかていたのであろう。そもそもユーロ圏などに参加したからこうなったのである。それは社会党やザパテイロ氏の責任ではない。

”The rain in Spain stays mainly in the plain." 国民党が政権をとっても広野の雨が止むわけではない。ユーロ危機について多くの論者が多くのことを語っているが共通した病状についての分析があまりに少ない。ユーロ体制の欠陥や「自由貿易体制」の欠陥について話が及ぶことをみんなで避けているのである。「風を引いて熱が出たら患者を冷たい水をはったバス・タブに突っ込め」といった療法ばかりである。スペインはおかげで肺炎になってしまった。

スペインはアルゼンチンを見習うほかなさそうである。

第3表 スペインの貿易収支(100万ユーロ)

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
商品輸出(FOB) 115,769 117,522 127,162 158,049 185,209 196,580 220,696 264,053 284,721 228,704 252,958
商品輸入(FOB) 152,856 152,039 161,795 203,205 251,939 281,784 325,318 389,291 411,334 287,660 315,247
貿易収支 -37,087 -34,517 -34,633 -45,156 -66,730 -85,204 -104,622 -125,238 -126,613 -58,956 -62,289
サービス:Credit 52,453 55,651 60,247 74,308 86,078 94,663 106,665 128,148 143,813 123,085 123,874
サービス:Debit 33,171 35,182 38,712 47,951 59,188 67,129 78,588 96,492 105,594 87,389 87,172
総合貿易収支 -17,805 -14,048 -13,098 -18,799 -39,840 -57,670 -76,545 -93,582 -88,394 -23,260 -25,587

資料:IFS

スペインの財政赤字は2011年8%超、ユーロの規律守れず(2012-3-3)

スペインは昨年末右派の国民党政権に代わったばかりだが、2011年の財政赤字は8%を超えると発表した。前政権の予想では6%程度とみていたが、比較的強い自治権を持つ地方政府の赤字が想定以上の大きさで、国全体の赤字は拡大した。地方政府は地域経済を活性化すると称して、囚人が誰も入っていない刑務所や、飛行機が来ない空港を作るなどかなり放漫な財政支出を行ってきたと指弾されている。

国民党政権は2012年の予算で支出を89億ユーロ(約8,900億円)削減した。さらに公務員の削減や政党助成金のカットなどを織り込んだ。一方、60億ユーロの増税を目指している。ただし、消費税は引き上げないといっている。しかし、2012年の財政赤字はGDPの5.8%に達すると政府は公言しており、当初EUとの間で取り決めたとされる4.4%を早くも達成できない見通しである。

経済状態は2011年4Qから目立って悪化しており、それが2012年前半も続き、輸出も不振なことから失業者もさらに増加するとみている。現在の失業率は22.8%に達し、約500万人が失業中である。

スペインの銀行がかあけている不動産投資がらみの不良債権は1,750億€(約18.7兆円)に上るといわれている。

ユーロ圏は財政赤字をGDPの3.0%(当初は0.5%としていたがどこも守れそうもないので3.0%に変えた)にすべしという取り決めを行ったが、とうてい守れそうもない。イタリーやギリシャも同様な傾向にある。

(結局2012年の財政赤字は-5.3%)に収めることで、決着)⇒2012-3-13

EUは3月12日夜、スペイン政府が申請した2012年の財政赤字計画5.8%に対し、すったもんだの末5.3%とする妥協案で決着した。無理なものは無理なのであるが、これでもスペインの経済は少しもよくならないであろう。引き締め政策で経済がよくなった非輸出国は存在しない。どこかで緩めていかなければ内需に依存する国は回復のきっかけをつかめない。

2011年の赤字はEurostatによれば913億€でGDPの8.5%に達している。


スペインの10年物国債入札で利率は6%を上回る。IMFの支援情勢(2012-4-17)


スペインは2012年4月16日に10年物国債の入札を行ったが、ドイツなどからの支援が得られず、利率が6.06%と危険水域の6%を上回った。先に行われたイタリア国債はは5.56%とこれまた高い金利水準となった。ユーロは下げ続けており1.30ドル/ユーロ前後まで落ち込んでいる。

スペインのハイメ・ガルシア(Jaime Garcia-Legas)副経済相はECBを訪問し、「介入」を要請したがECBはそれを拒否している。これはもちろんドイツの差し金とみられる。ECBの理事で表だって反対しているのはオランダのクラース(Klaas Knot)氏である。要するにドイツとオランダはイタリーやスペインの窮状を救うつもりはないということである。

仕方なしに、スペインはIMFに助けを求める羽目になるが、IMFでは米国がユーロ救済融資に強く反対している。IMFは現在の融資可能資金は4,000億ドルしかなく、増資しなければユーロ圏への融資は容易ではない。中国と日本はIMFの増資を行う意向があるが、米国の反対を無視するわけにはいかない。


スペイン政府は国営銀行バンキア(BANKIA)に90億ユーロ注入(2012-5-24)


スペイン政府は先に国有化したスペイン第3の銀行バンキアに対し、90億ユーロの公的資金を投入する。これは法令にしたがって71億ユーロの引当金に加え19億ユーロのバッファー資金が必要なためであるとデギンドス経済相は述べている。

スペインの銀行再建基金(FROB)は12年5月9日親会社のBFAを公的管理下においてBANKIAを国有化したばかりである。

スペインの銀行は不動産投資への貸し付けが多く、そのため不良債権を1,840億ユーロも抱えているといわれている。