横田順彌


横田順彌ことヨコジュンを最近知った人はきっと、「明治時代の冒険SFを書いたり、明治時代のことを題材にしたエッセイなんかを書いてる人」というイメージが強いでしょう。
といっても、ヨコジュンのこと自体知ってる人はそんなにいないかもしれませんが…。
最初にヨコジュンの小説を読んだのは確か中学時代だったような気がする。近所の本屋にたまたま在った本が”謎の宇宙人UFO”というハチャハチャSFだった。

現代の日本人はきっとハチャハチャSFなんてものは知らないだろう。そして、それはとってももったいないことだ。
どのぐらいもったいないかというと、宝くじ売り場で宝くじを20枚買おうとしたら、その前に寄った薬局でたいして使うわけでもないのに珍しさから耳で測る体温計を買ってしまい、予想以上に高かったことから、お金がなくなってしまい、宝くじを20枚買えずに15枚だけ買って、後で宝くじの発表を新聞で見たら、買えなかった5枚の中に一等および前後賞のあたりくじがあり、あまりの事に新聞をびりびりに破いてしまった後、その新聞はまだ何にも読んでないことに気づき仕方なく駅売りの新聞を買い直してしまうぐらいにもったいないことだ。

閑話休題。
そしてこの本がきっかけで、ヨコジュンの小説にはまってしまいました。
何にはまったって、あまりのくだらなさにはまってしまった。
どのくらいくだらないかというと、宝くじ売り場で…、いや、今回はよしておこう。

何がくだらないって、おっぱい型のUFOがやって来たり、ゴミが原因で宇宙戦争になったり、とても普通の思考回路ではこんな小説は書けないと思った。
そしてヨコジュンの小説探しが始まった。
当時は現在みたいにインターネットで作品一覧を調べることなんてできず、また、その作家が書いた作品を調べる手段なんて知らなかったし、田舎に住んでる関係で周りに本屋がたくさんあるわけではなかったが、とにかく本屋をあっちこち探し回った。
ある程度の作品は手に入るんだけど、なかなか全作品をそろえることはできなかった。ちなみに、当時は金もあんまりなかったから余計に買えなかったってのもあるけど…。
それでも、それなりに作品を集めてのめりこむように読む日々が続いた。

で、それから10年ぐらい経ったある日のことだった。ふと本屋でヨコジュンの新刊を見つけた。
それが、”火星人類の逆襲”だった。そしてそれを読んでヨコジュン2度目のビックリだった。
なぜって、あまりにもまじめなもんだったから…。
確かにその前にもまじめ路線の小説をいくつか書いていたが、今までとはちょっと違うなにか意気込み見たいなものを感じてしまった。
そしてその後、ハチャハチャSFはだんだん減り、いつのまにか明治冒険SF小説作家になってしまった(やっと書きたいものを書けるようになったというのが正解?)。
あ〜あの頃が懐かしい…。

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