●きっかけ |
仕事の世界最速のドライブの開発も一段落し、ストレスの頂点に達したとき、なんとなく目に入ったのが、何年か前にジャンクで買った太陽電池。十数センチ角のその多結晶モジュールは多結晶独特の表面模様と色合いで私の心を見ているだけでも穏やかというかリラックスさせてくれます。(…変なのかなぁ?)
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当時は太陽電池でニッカドなんか充電してたなぁ〜なんで昔に思いをはせながら太陽電池をしみじみと眺めていたら、沸沸とやる気(…と言うか何と言うか…)が止まらなくなっていました(笑)。
←これね。表面の模様が見えるかな? |
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「とにかく太陽電池で電気を貯めてみよう。」
最初は、こんな簡単な考えでした。大体1〜2万ぐらい出せば、簡単なものができるだろう、と気楽に考え早速行動開始です。まずは知識を貯めねばとネットで検索&情報収集です。みんなどんな感じで太陽発電してるのか?という事から調べはじめました。
調べてみると普通個人で太陽電池発電というと、大概3〜4KWの太陽電池パネルをもち電気会社に発電した電気を売る、といった方式が多く費用も200〜400万コースが主でした。…高いじゃん!っていうか全然手がでないじゃん(泣)。当然、そんな高価なシステムは構築できるわけがないので、でもうちょっと電気会社も関係なく自宅で完結できる「独立型」のシステムにすることに決めました。
独立型は「太陽電池」→「バッテリー」→「インバーター」→100Vってのが基本的なシステムです。実際にはバッテリーの充電&放電管理のコントローラーを作るOR買わなければなりませんが…
貧乏&思いつきの実行ゆえに予算が乏しく、大した物は買えません。
初期の計画では
太陽電池 → 大きなものは高いので小さなサイズ。
バッテリー → ディープサイクルバッテリーが高いので車のバッテリー。
インバーター → 正弦波タイプの物がいいが高いので矩形波タイプのもの。
充放電コントローラー → 高機能&大容量の物は高いので最低限&小容量のもの。
てな具合を踏まえつつ購入を開始。
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●太陽電池 |
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とりあえず、まずは太陽電池を購入。
貧乏なのでなるべく安い太陽電池にしたいのだが、外に設置をすることを考え、表面は強化ガラスのものと言う事で選定。外といっても屋根の上ではなく窓の手すりに設置予定なので大きさもある程度小さいものに。電圧は12Vで(バッテリー1個ですむから(笑))
この条件でチョイスしたのはシーメンス社の単結晶ウェハーを使ったTMG−500というモジュールです。
一枚あたり9W(18V×0.5A)の出力です。
店によって値段が大きく違います。実際には私も最初は2枚を12000円(1枚単価)で買ったのですが(これでも結構安い店だった。)、もっと安い店を見つけ(10000円)、もう1枚買っちゃいました(笑)。(結局3枚パネルで予算を大きくオーバー(汗))
ウェハーは値段の割には製造コストの高い単結晶です。製造は海外なのでアルミフレームや
シリコンコーティング(防水)などの全体的な作りはダイナミックです(笑)。(大雑把って事ね(笑)) |
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さて、この3枚のパネルの出力は1日あたりどのくらい発電するか考える事にします。
1枚で9(W)×3(枚)=27(W)
で、1日あたり4時間発電できると考え(これはかなりいい条件)
27(Wh)×4(h)=108(Wh)
しかし、そもそもそんなに効率よく発電できるわけもなく、この半分ぐらいがいいところと考え、
108(Wh)÷2=54(Wh)
ぐらいと考える事にしました。(結構いいかげん…(笑)。)
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●バッテリーと充放電コントローラー |
「独立型」の発電システムでは、必ず発電した電気を貯めておくバッテリーが必要となります。
さて、毎日、もしかすると発電できない日もあると考えれば深充放電可能なディープサイクル充電用のバッテリーが欲しくなります。
色々インターネットで調べてみると、やはりディープサイクルバッテリーは高い。大体定価販売が多い。値引きしてあったとしてもそんなに引かれていないし、引かれてあっても送料とかが高く大体同じ値段になる。
そんな中でようやく見つけたのがACデルコのボイジャーM27Fバッテリー。ボートとかに使われるらしく、釣具屋さんで売っているとの事。大体100Ahで1万ちょっと。
…これはお買い得だ! 心は一気にこのバッテリーに傾く。しかし、ここでちょっと引っかかるものを見つけた。このバッテリー充電終了電圧が高いのだ。他バッテリーは大体14.4Vぐらいが充電終了電圧なのだが、どうもこのバッテリーは16Vぐらいあるらしい。これには困った。なにが困ったかと言うと充放電コントローラーなのだ。安いやつ(とは言っても1万もする代物)なので充電終了電圧の可変ができない。せいぜい密閉型と非密閉型の区別をつけるぐらい。
充放電コントローラーを自作していればこんな事はなかったのだが、勢いで太陽電池と一緒に購入して
しまっている以上、これを使わなければならない!
しかたなく、安い買い物ではない(私にとっては(笑))のでとりあえず高いが安心を買うという意味で他のを探す事にしました。(とほほ…)
(実は後日談でよくよくコントローラー発売元にメールで確認したところ、大丈夫!という御返事をいただきました…が!、すでにその時には手元にSEB−35があったのでした(笑))
ディープサイクルバッテリーを製造している日本のメーカーで多くの店で取り扱いのある物という条件でGSのMytyEBシリーズがよさそうです。バッテリーの結構ラインナップも多いです。
さて、ここでも悩みました。このMytyEBシリーズ、シールドタイプのSEBシリーズもあるんですよねぇ… 別に傾けたりするわけではないですが、なんとなくメンテナンスフリーの密閉型のバッテリーの方が安心感があります。一応中に入っているのは硫酸ですからねぇ…
私的なポイントでの比較はこんな感じです。
○EBシリーズ
SEBシリーズより寿命が長い。(大体100サイクル程度)
価格がEBシリーズより安い。
非密閉形。(傾けると危険)
電解液のメンテナンスが必要。
ボディーがホワイト(半透明)と青の絶妙なコントラスト(笑)。
○SEBシリーズ
EBシリーズに比べ寿命が短い。
価格がEBシリーズより高い。
密閉形。(傾けても平気。)
電解液のメンテナンスが必要ない。
ボディーがブラック!
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予算の関係上バッテリーに使える金額は2万。
この予算で購入できるのはEBシリーズではEB50、SEBシリーズではSEB35です。
容量をとるか密閉形をとるか、選択の分かれ道です(笑)。
悩んだあげく普通は容量をとるところを、あえてシールドタイプのSEB35を
チョイスしました。
届いてみてびっくり。意外と外見に似合わず重いです(笑)。いや、本当に重いんですよ。自動車用バッテリーの同サイズ(外見)と比べてもハッキリとわかります。
単三電池を比較用に置いてみました(笑)。このバッテリーのシリーズで一番ちっちゃなタイプのバッテリーです。
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一応、それでいいかの簡単な計算をしてみます。
太陽電池の所でも書きましたが太陽電池の発電量は54Wぐらい。
12V35Ahのバッテリーなので容量は
12(V)×35(Ah)=420(Wh)
太陽電池の発電量とバッテリーの容量をみると、毎日バッテリーの容量の15%ぐらいを充電→放電→充電…とすると考えられるのでSEB35で充分かも、と判断しました。
一応ディープサイクルバッテリーなので、80%までの容量減までと考えると、
80(%)÷15(%)=5(日)
5日ぐらい太陽電池発電量がなくても消費電力が1日あたり54Wぐらいならばなんとかなりそうです。それに一回で15%の充放電ならば寿命が極端に減ることもないだろうし。
…倒れてもOKってのが一番心を動かされた要因であるが…(笑)。
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これが充放電コントローラー。
太陽電池、バッテリー、負荷をつなぐ端子がありシステム全体をコントロールする。充電時にはちゃんとバッテリーの温度特性も配慮し温度センサーが内蔵されており充電電圧を補正します。ちなみに、密閉型と非密閉型の切り替え端子もついてました。
放電側についてもバッテリーの電圧&電流監視でバッテリーの容量低下時には負荷を切り離します。
よくできてますね(笑)。 |
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●設置&運用 |
さて、いよいよ太陽電池パネルの設置です。アルミ材やパイプなどでちゃんと台を作るのが面倒でイレクターパイプを使って台を作りました。このイレクターパイプ、結構便利で何かとお世話になっているものです。実は太陽電池パネルもロックタイ(結束バンド)を使って止めています。結構便利なんですよねぇ。 |
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←3枚のパネルを45度ぐらいの角度をつけて固定。これを使われなくなった藤棚に南向きに乗っけて固定。 |
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このシステムにかかったお金です… |
品名 |
単価 |
個数 |
小計 |
太陽電池 |
11000円 |
×3 |
33000円 |
バッテリー |
23000円 |
×1 |
23000円 |
充放電コントローラー |
10000円 |
×1 |
10000円 |
小物(DC−ACインバータなど) |
10000円 |
×1 |
10000円 |
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合計 |
76000円 |
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…冷静にまとめて見るとえらいかかっていますね(汗)。 こんなにかかってしまうとは…やはり太陽電池で電気を貯め使うのは初期投資がかかります。本気で普段使う電気を太陽電池で補おうとしたら、やっぱり200〜300万覚悟しなければなりませんね…
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←バッテリー、コントローラーなどを炭バケツ(ホームセンターで購入。)に収納。発泡スチロールでバッテリーの周りを囲み、ぐらつかないように。
電流計、電圧計は太陽電池の充電電圧、電流を監視。大体普通の晴れの日で電圧は13V、電流は1.2Aぐらいを指しています。 |
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さて、肝心の運用です。この太陽電池でバッテリーに貯めた電気で夜になると4Wの蛍光灯が朝まで点いています。時々電子ピアノの電源も矩形波インバータ経由で稼動させていますが問題なく動いています。今の所はこの二つぐらいでしょうか。
今回この思いつきから始めた太陽電池で電気をつくる過程で思った事があります。
○電気会社から買っている電気は安い。
○太陽電池発電はお金がないとできない。
これはね〜 本当にそう思いました。普段何気なく使っている電気ですが、個人でその電力を調達するのにかかる金額はえらいことです。太陽電池の場合、かかった初期費用を回収するとしても何十年という間そのシステムを稼動させないと回収できません。あと、やっぱり太陽電池も値段が高いです。シリコンを使っている事や強化ガラス、アルミフレームなど高そうな素材を使っているとはいえ高く感じられます。(素人だからそう思えるのかもしれませんが(笑))。
やっぱり、趣味で電気を作って使ってると割り切らないと、この程度の投資金額では元はとれません(笑)。
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●今後の野望 |
でもね(笑)。やんなきゃよかった〜みたいな事を書いてきましたが、心の中では次のステップを考えていたりなんかするんです。
夏になると夜はやっぱり寝苦しく扇風機をつけっぱなしで寝るんですよねぇ〜その電力を太陽電池で作れないかなぁ〜なんて思っています。100Vのモーターを動かすんで正弦波インバータも必要になりますね。
下記が野望リストです。
○常夜灯のLED化。(蛍光灯ですが、白色LEDを使用し低消費電力化を)
○インバータの正弦波タイプへの変更。(やっぱインバータ機器を使いたいですね〜)
○太陽電池の発電量UP。(ま、100Whぐらいのがほしいなぁ〜)
○バッテリーの大容量化。(やっぱ容量がものを言いますから)
…みんな金のかかるものばかりで我が家の大蔵省の許可を取るのは大変そうです。っていうか実現できないかもしれません(笑)。実現できたら随時UPしていきますんでその時は見てやってください。 |
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