リボーンが今度会わせると言った中学生の名前が、雲雀だということを言うと、獄寺君は驚いたような顔をした。けれど、納得したんだろう。一度大きく呼吸をして、顔を上げた。
「実は……」
獄寺君は、普段以上に眉間に皺を寄せて苦々しそうな顔をしていた。ただ惑っている感じはない。自分の中で気持ちの整理はついているのだろう、躊躇いなく口を開いた。
「ヒバリとは、半年前に初めて会いました。それから何度か会って……ヒバリだと、名前を聞いたのもこの間のことで、他は何も知らないんです。普通の学生とは雰囲気が違うことはわかってたんですが、こちらの世界と関わりがあるとかそういうことは全然聞いてもいません」
「獄寺君も、自分のことは何も教えてなかったんだよね?」
「はい。俺の名前も教えてなくて、お互いのことは携帯の番号しか教え合ってはいませんでした。この辺りでは見かけない制服でしたし、高校生ぐらいかと思ってはいたんですが…」
獄寺君に聞いてわかったとことは、それだけだった。一応裏社会の住人として自分のことを誰かに簡単に教えてはいけないということはわかっていたけれど、好きになった人に打ち明けられないなんて、やっぱりちょっと、辛いだろうに。
「ヒバリさんと会うとき、獄寺君も来てもらう予定だったけど…どうしようか? やっぱり、リボーンに言ってやめてもらう?」
「いえ、10代目の右腕として私情でご迷惑をお掛けするわけにはいきません。それに、ヒバリならわかってくれると思うんです」
そう、このときにもう少し何かができればよかったんだけど。