あんまりだ、と思った。今まで見たことないような激情を恭弥が見せた。そのきっかけは、あの場にいた弟分でもなく、家庭教師でもなく。弟分の部下、右腕である男のせいだろう。
恭弥とは知り合ってから短いこともあってそんなに顔を合わせる機会も多くはなかったし、たまにリボーンとの繋ぎをしたり電話する事があったくらいでそんなに深くは知らない間柄だが、それでも恭弥のことは多少なりともわかるつもりだ。このところ電話を掛けても繋がらなかったこと、どこか考え込んでいるように見えること、その原因は今日はっきりとしたわけだ。
「説明してもらうぜ、スモーキンボム」
イタリア時代の通り名を知る身としては随分大人しくなったように見えていたが、どうも日本でもやんちゃしてたようじゃねぇか。
「……てめぇに話すことはねぇよ」
「俺にはそうかもしれないけどな、ツナやリボーンには話さなきゃならないことがあるんじゃねぇのか?」
リボーンから預けられた恭弥を、大事な弟子だと思っている俺だって十分聞く権利はあるだろうが、この場はより強い手を打つ必要があるだろう。にしても、この反応はちょっと硬質すぎやしないか?
「あいつは俺の弟子だから、な」
おっと、睨みやがった。どうやらこの辺が引っかかってるらしい。とすれば俺が口を出せば状況は悪化しそうだ。ここはツナに任せるべき、かもな。