何度携帯に連絡を入れようとしても、通じなかった。こんなことは今まで一度だってなかった。
 半年の間、金が絡んでいるとはいえ続いてきた関係だ。終わるにしたってあまりにも突然すぎるし、理由もわからない。それに、前回の彼の言葉は嘘には聞こえなかった。
 告げられた名前。鳥の名だ。
 苗字か名前かの問いに、次があれば教えないこともないと匂わされた。
「……ヒバリ」
 まだ、呼んですらいないというのに。
 無常に沈黙を保つ携帯を睨み付けて、また煙草に火を点けた。