「ん、ん…っく…」
 いま、俺の下では雲雀が声を殺しながら、それでも感じ入る姿を隠さずに晒している。
「夢、じゃ…ねぇよ、な」
 抱えた脚が、突き上げる度に跳ね上がる。弱いところは明らかで、捏ねるようにしてやればびくびくと足先を震わせた。けれど、アルコールのせいかどこか意識がふわふわとして、現実味が足りない。試しに頬をつねろうにも、生憎両手は忙しい。
「…んぁっ!」
 雲雀が体を跳ねさせ、堪えきれず声を上げた。
「ここ、な」
 俺のすることに雲雀が反応する。それがただ嬉しくて、同じように奥へと突き上げる。嬉しい? いや、何を考えている。
「っ…ん、ん…ッ!」
 頭の下の枕にしがみついて、髪を振り乱して、それでも声を出すまいとしている雲雀に口付けてやれば、吐息を口の中に逃がすように深く招かれる。
「んぅ…、ふ」
 口の端から溢れた唾液が肌を伝うのを舐めあげてやる。ついでに目についた耳を舌先で愛撫してやると、きゅっと締め付けられた。その甘美な誘惑に誘われるままに幾度となく繰り返してやれば、背に腕が回される。
「…ヒバリ」
 自分の腕の中にいる男を、確かめるように呼ぶ。
「……っ、ん」
 肩口に額が擦り付けられる。それだけの動作で雲雀の余裕のなさがわかって、それをしていることが自分なのだと思ったら堪らなかった。
 もっと、見たい。乱して、自分にしか見せたことのないような雲雀を暴きたい。
「なぁ、もっと見せろよ」
 耳、頬、顎、唇を舐めて熱に揺らいだ瞳を覗く。漆黒に吸い込まれるように唇を重ねると、かちりと歯を立てられた。
「んぁ、は…あ、んん…ッ!」
 シーツに押し付けるようにして、壊れちまうんじゃないかってくらいにぐちゃぐちゃに突き立てる。ローションをたっぷり使われた内部は抵抗もなくて、それでもきゅうきゅうと心地よい締め付けに加えて、熱いくらいになっている雲雀の体温が欲を吐き出させようと煽ってくる。
「…ヒバリ、ヒバリ…っ」
 冷たさを感じるほど無表情だった雲雀が、今は自分と同じく欲に溺れてとろけた瞳をしている。それをさせているのは自分だ。格好をつけようとしようが何より、男として、征服欲を満たされるのは確かだ。
「…なぁ、中…いい、か?」
 正直限界が近かった。直接粘膜が擦れ合う刺激は途方もなくて、暴発しないように堪えるのがぎりぎりだった。
「……っん…」
 頷いたかどうかは見えない。けれど背中に手が回されたのを同意と取って、そのまま追い込んでいく。
「ふ、う、…ん、ぁく…っ」
「…はぁ、は…っ」
 もう、融けそうに熱い。首筋と背中に痛みを感じた瞬間、視界が白く弾けた。
「ひ、ぃあ、…──ッ!」
「、く……ッ!」
 どくんどくんと脈動するように雲雀の中に放つと、同時に弾けた雲雀の白濁で下腹部が汚れた。
 汗やらなにやらでぐちゃぐちゃになって、それがどうしようもなく心地良くて、そのまま雲雀に体重を預ける形で余韻を堪能していた。