ベッドに転がって濃厚なキスを繰り返せば、酸素が足りなくなる頃には全身の力が抜けていた。どうも、雲雀は巧いようだ。
「……ゴムとローション、そこな」
もう観念した。どうにでもなれと思いながらサイドテーブルを示すと雲雀がそこに手を伸ばす。やっぱりする気か。
「脱いで」
目をやれば雲雀はいつの間にか下を全部脱いでいて、シャツの隙間から半勃ちの性器が見える。あんまり直視したいものでもないから目蓋を閉じていれば、焦れたのか脱がしに掛かられた。もう、マグロで勘弁してくれ。恥ずかしさで死にそうだ。
ズボンも剥かれ、シャツも全開にされた胸元に唇らしき感触がある。こんな平地に何の用があるかは知らないが、物好きなやつめ。多分、キスマークが残された。どこか冷静になってる思考とは別に、体は触られることに素直に反応しちまっている。雲雀の手管のせいか、なんなのか。
ぴちゃりと液体の音がした。けれど体に濡れた感覚はない。目を開ける勇気なんてないが、待っていればローションにまみれた手に性器を握られた。哀しいかな、そこは見事に立ち上がっている。
「…っ、ん」
待て。
思わぬ感触に目を開ければ、今にも雲雀の体に飲み込まれそうになっているその現場が見えた。
そっちか!なんて安心していいのかなんなのか、見ているうちに俺はすっかり雲雀を犯していた。ゴムは使われなかった。つまり、生の感覚がダイレクトに伝わってきている。これは、かなりまずい。
「寝てて、いいよ。勝手にするから」
雲雀が笑う。けれどどこか苦しそうだ。それもそうか、男なんだから、入れるはずのないものを突っ込まれているんであって、苦しくはないはずはない。
「寝て、ねぇよ」
それにしたってどうしたことか、興奮は冷めやらず。お互い視線を交えながら、どっちが先に行動を起こすか監視しているようだ。
「じゃあ……見て、なよ」
俺の上に馬乗りになった雲雀が、後ろに手をついてシャツをたくし上げる。結合部分が丸見えだ。ローションは大分使ったらしく、雲雀が腰を動かし始めると波打つシーツの上でボトルが軽く揺れた。
「ん…ッ」
濡れた音が繰り返される合間に、シャツの裾をくわえた雲雀の口から声が漏れる。噛み殺し切れないそれに、情欲が掻き立てられる。
「ンぅ…ッ?!」
腰を突き上げると、予測していなかったのか大きく身を仰け反らせた。けれど、腰に手を添えてやればタイミングを合わせるように体を揺らして悦に入った表情を見せる。
「…ん、…はぁ…っ」
すでにローションだけじゃなく俺自身の先走りでぐちゃぐちゃになっている内部を擦るように突き上げると、堪えきれなかったのか雲雀の口からシャツの端が外れた。肌を隠すようなそれを捲って、現れた白い肌に溜め息が零れる。
食い付きたい、そう思った。