本州のほうは桜が見頃とか。 もしかしたらもう見頃を過ぎたところもあるのかもしれませんねぇ。 高校生のころは桜なんてあまり興味もなく、もし花見をしたとしても食欲が勝っていた時期でもあったので食べるのに忙しかった記憶しかなく、北海道の桜がどんなものなのかじっくり考えたことが無かった気がします。
僕が桜に興味を持ち始めたのは大学生の頃から。 進学の関係で上京した僕を待っていたのは大学の庭に咲き誇った染井吉野だった。 あのときは自分の未来やら新しい生活やらいろんなことを考え、期待に胸躍らせていたときだったのでその桜がとても美しく見えた記憶があるような。
今、自分が一番好きな桜の種類は染井吉野では無い。 うっすらと淡い桃色をうつす染井吉野の下で繰り返されるコンパという名の顔見せや、上下関係をはっきりさせるためだけに行なわれている花見に嫌気がさしていたせいかもしれないなぁ。 嫌な記憶だ。・・・・閑話休題
で、今僕が好きな桜は八重桜なわけです。 八重桜っつーと染井吉野の時期が終わり、辺りが新緑に包み込まれる頃に忘れていたかのように花を咲かせる桜で、どピンク色のフリルを何十にも重ねたような見た目キツイ花を咲かせるため、一般にあまり好まれていないようです。 正直、僕も日中八重桜を見たいなぁとは思わないのですが(笑)。
でも、一度だけ。 たった一度だけ見たあの光景で僕は八重桜に心を奪われたのです。 新月に近い月が傾いた暗い深夜、砧公園で見たあの八重桜に。 その八重桜は一本だけ離れて植えられていて、街灯からもちょっと遠い位置にありました。 弱々しいその街頭の光と、本当にうっすらとしかささない月明かりの下、驚くほど妖艶に咲き乱れる八重桜と、まるでそれを暗に守護しているかのごとくぽつーん、ぽつーんとまばらに座る人たち。 なにかのあやかしに化かされているのではないかと思うような不思議な光景でした。
それからたびたびその八重桜を見に行きましたが、そのような光景に出会うことはありませんでした。 でも、八重桜を見かけるたびに思い出す、あの不思議な空気。 桜の魔力を信じずにはいられません。 あぁ、早く八重桜咲かないかなぁ。 |
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