野蛮人の群がチャーターしたEK-A380機での乗務経験



 これは以下のドバイ中華網の記事の全訳である。中国語でわからない部分は、ネイティヴであるM先生に教えていただいた。記して感謝したい。

空姐说万人土豪团来迪拜包机EEK-A380见闻 [迪拜中华网 2014/04/09]
http://www.dibaichina.com/thread-169018-1-1.html
http://blog.sina.com.cn/s/blog_9e8a92780101f0xy.html


 乗務の合間に同僚の乗務員たちと雑談する。中国の話になると、皆が中国人はびっくりするほどお金持ちだと言う。そんな時、私は薄笑いを浮かべる。笑って、褒めてくれてありがとうと言う。笑って、やっと中国の豊かさを知ったのねと言う。笑って、もう慣れたわと言う。そして謙虚に、しかも驕慢に笑う。

 エミレーツ航空に日本人乗務員は多くない。たまに日本便で日本人乗務員と乗り合わせると、やはり同僚たちは日本談義に興じる。同僚たちは中国について話すのと同じような口調で、日本便はとても秩序があり、乗客は誰も呼び鈴を押して苦情を言ったりしないと言う。また日本の街はきれいで、日本人は情熱的で、日本はとても発達しているとも言う。日本を神の国のように称賛する同僚たちに対して、日本人乗務員もやはり薄笑いを浮かべて「ありがとう」と言う。こんな時、そばで黙って聞いている私は、いつも内心重苦しい嫉妬を感じる。

 日本便への搭乗が難しい理由はふたつある。ひとつ目は、日本政府の規定で海外便には常に6人以上の日本人が乗務しなければならないことだ。このため日本人以外の乗務員が日本便に搭乗できる機会は少ない。ふたつ目は、乗務員たちに日本ファンが多いためだ。彼女たちは日本の秩序、礼節、寿司、街並、整頓を愛し、一度日本便に配属されたら誰も勤務を交替しようとしない。

 中国便に乗るのは容易だ。理由の第一は、600人乗りのA380型機でも、中国人乗務員は一人いればいいためだ。エミレーツ航空が中国便を重視しないわけではなく、中国政府が自国民労働者を保護しないわけでもない。しかし英語ができない中国人乗客には中国人乗務員が接客するしかない。6800元支払って8時間搭乗する客は無料でワインが飲めるのだが、そんなことも知らない客が多いのだ! もうひとつの理由は、シフトの関係で北京便からはずれる外国人乗務員が常にいることだ。こうして北京便に乗るのは難しくない。

 なぜ北京便は人気がないのか。長城や故宮は素晴らしいのだが、中国人乗客の素養が低いため、乗務員の間では中国便は人気がない。同僚の一人は不快な経験を語った。飛行機を降りる際に感謝する客はひとりもおらず、甚だしくは無表情に同僚をにらみつけ“I feel so bad!”と言う客までいたという。

 私はいつも、中国人が全員狗肉を食うのではなく、中国製品も競争力がついて来ており、どこにだって素養の高い人がいれば低い人もいると言い返す。最近、中国のある大企業がチャーター機で大訪問団をUAEに送り込んだ。彼らは三日間にわたり、40軒の居酒屋とアブダビのホラリー公園の貸切を予約した。北京へ出発する前のミーティングで、ドバイから来た副乗務長は、この中国からの特級大観光団が何億ドルも使うだろうから、ドバイの首長たちも非常に重視していると言った。北京からドバイへ向かう便は、この団体で占領された!

 私は暗澹とした! これほど大勢の中国の成金を同僚に見られてしまうとは!

 この中国の成金企業の一行は、私が遭遇した最低最悪の中国人たちだった。

 離陸後、私たちが食事を温め、飲料庫を整理し、配る準備をしていると、早速十数人が呼鈴を押して来た。副乗務長は私たち中国殷乗務員に対応させた。客たちはアメニティの使い方がわからないの、お湯を持って来いの、飯はいつ出てくるんだの言い募った。私は普段、自分でコーヒーを取りに来るドイツ人と飴一個のために呼鈴を押すインド人を比較して、インド人をバカにしている。

 ある母親は子どもが空腹だからすぐ食事を持って来いと言うので、最初に子どもに食事を持ってくると請け合った。ところが母親は四五分ごとに呼鈴を押したり通りかかった私のスカートを引っ張っては、子どもは食後眠らなければならないの、食事をしないと胃痛を起こすのと言い募る。私は食事はまだ温めている最中だから、先にビスケットでも持ってきましょうかと答えた。しかし母親は、とにかく食事をもってこいの一点張りだった。とりあえず毛布を持って来てやり、ゲームのやり方と映画の見方を教えた後に、温めた食事を子どもに持って行くと、今度は「なんで私の分がないのよ!」と文句を言い出した。このババア、あんたのガキが食事をしないと胃痛を起こすと言うから先に持ってきてやったが、あんたは元気溌剌なんだから少しは待ったらどうなの? さらにこのおばさんは厨房に押しかけ、食事が辛すぎると文句を言い、別のメニューと交換するよう要求した。私は「本日は満席で余分なお食事はありません。それにこのメニューはお客様がお選びになったものではありませんか」と答えたが、おばさんはまだどうのこうの文句を言う。ついに副乗務長がぶちぎれて“she can screaming, but there is no extra meal, it is not your fault!”と言い放った。おばさんは席に戻って食事をして、愛する子どもはゲームをしてやっと眠った。

 コーヒーをサービスしながらミルクが必要か聞いていると、後ろ三列の乗客がカップを高く上げてコーヒーを要求した。

 彼らが身につけた高級品に見合う程度に品格が高まることを、私は強く望む。

 A380型機は大型で、一階に490人以上の乗客を収容できるため、トレイの回収にも時間がかかる。食事を終えた乗客は、トレイが長時間回収されないと嫌がるので、早急に回収しなければならない。その大変さと来たら、インド便やエジプト便と変わらないか、もっとひどいこともある。あるとき若い中国人乗務員が、床に置かれたトレイを回収しようと「お客様、トレイを拾っていただけませんか」と頼んだ。するとその女性客は「あんたが拾えばいいでしょ!?」と言い返した。後で彼女はカンカンに怒って「私が配膳の時に床に置いたとでもいうの!?」と吐き捨てた。非常口付近は広くなっているが、そこに食べ終わったトレイが10個以上積んであった。パキスタン便ではそんなことはなかったと誓って言える。私がカートを押しながら回収していると、目を閉じて無反応の客がいる。私がそのままにして通過すると、客は目覚めて外国人の同僚にトレイを渡す。あるおばさんは、私がまだ三四列しか進んでいないのに早くもわめき立てた。「早く、早く下げてってば。こんな風にトレイが置かれたままじゃ寝られないでしょ!」配膳から収納までの間、厨房は大わらわになる。最初に子どもに食事を持って行ってやった母親が、食べ終わったトレイをふたつ持って厨房にやって来て「早く寝たいんだけど、どこに置けばいいの?」と聞く。副乗務長は、今は多忙だから待つように言う。おばさんは厨房にトレイを置く場所がないのを見て、厨房の床に投げ捨てた。

 食後は大勢が化粧室の前に並ぶ。まず化粧室について述べれば、液体にはすべて色がついていて水には見えない。飛行機が揺れてシートベルト着用のサインが出ると、私たちは英語と中国語で、着席して化粧室の使用を控えるようアナウンスした。しかし三回繰り返しても、誰も席に戻らなかった。同僚たちは笑いながら“let your Chinese sit down”と私の背骨をつついて来た。

 こういう時はひたすら待つしかない。私はいつも、パキスタン便の恐怖の化粧室とアラブ諸国便の乗客の粗暴な態度と盛りだくさんのトレイをバカにしている。あの日、外国人の同僚に“your Chinese”と言われたとき、とても悲しかった。

 このフライトは極端だったが、例外というわけでもない。多くの客がイヤホンをしたまま話そうとして、ビクトリアのような無表情で話し、テレビ画面を見つめたままいらないと手を振る。野蛮人やおばさんだけでなく、留学生やビジネスマンもいる。自社の便で帰国した時、ロンドンの大学に留学中の中国人女子留学生と乗り合わせた。とても礼儀正しく、英語も悪くなかった。しかしトレイを返す時、彼女は画面を見つめたまま食器を山のように重ねて乗務員に渡した。その時私は、東欧人乗務員の心中に、憤怒が草原を駆ける奔馬のように渦巻いているのを感じた。かつて私が留学したいと言ったとき、同僚の一人は中国人留学生の素養は最悪だと言っていた。私は気分が悪かった。しかしこのとき、彼女の持論が偏見や嫉妬から発したものでないのを私は悟った。

 どのフライトにもこんな女性客がいる。イヤホンをしたまま本や書類を読み、乗務員が近づくとイヤホンを外して待機し、乗務員を見ずに一言excuse meと言い、微笑んで乗務員が話すのに備える。こんな客には高貴さのオーラを感じる。あるフライトではトレイを床に置く乗客がひとりだけいたが、それは赤ん坊を抱いた母親だった。私が収納のため通りかかると、彼女はすぐに隣に座っていた八九歳の娘に言いつけてトレイを拾って渡させた。そして「赤ん坊に授乳しなければならないから」と謝った。

 飛行機の空間が狭いため、カートの回収棚はトレイを収納するギリギリの高さしかない。トレイを収納するには食器を平らに整頓して入れねばならず、山のように重ねて返されると頭にくる。インド便ではほとんどの客がトレイに食器を高く積み上げて返してくるので、乗務員は発狂しそうになる。ヨーロッパ便ではトレイを整頓して返してくる客が多い。日本便では、整頓されていないトレイはほとんど見られない。

 私が生きている間に、中国も日本のように秩序を守り礼儀正しく世界から賞賛される国になってほしいと、私はいつも言っている。同僚は無理だと言っている。

 強国への道はまだまだ遠い。

 最後に小さな出来事をひとつ。乗務員が自社便に客として乗るときは、同僚にチョコレートを贈ることになっている。ドバイから北京に帰国する際、私もチョコレートを買った。国内便に乗り継ぐことになるので、その便の乗務員にもチョコレートを贈ろうかと考えた。しかし国内便の乗務員はいつも態度が悪く、チョコレートを贈っても突き返されるのではないかと心配した。結局、贈ることにした。ほとんどの娘は仰天し、お礼の言葉もおぼつかないほどだった。チョコレートを呆然と見つめて涙ぐむ娘までいた。

 たとえ食器を高く積み上げてトレイを返して来て、無表情に歩き回る乗客がいても、私たちは国内便の乗務員より幸運だ。トレイに乗せた紙タオルに「ありがとう」と書いて寄こす乗客だっているのだ。私たちは国内便の乗務員より笑顔が多いが、彼女たちの笑顔はすでに使い果たされてしまっている。



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