電磁ループアンテナ(マグネティック・ループ・アンテナ)の製作

JH1NDM@萩原 洋

電磁ループアンテナは、1/2λダイポールアンテナ等に比べると、大変小さくできるのに短縮型のホイップなどより効率の良いアンテナとして、最近注目を集めています。
しかしまだあまり知られていないため、製作例も少なくメーカー製のものをハムフェアの会場やカタログで見る程度でしょう。
それに商品としてのこのアンテナは、無調整での周波数帯域が狭く自動チューニングが必要で結構な価格になってしまいます。
そこで今回は、安価で手軽に出来る 50MHz帯(なんとか28MHz帯も使える)電磁ループアンテナを作ってみたいと思います。この製作を参考にして、7MHz帯などのアンテナを作ってみるのも面白いと思います。

1.まずは材料集めです。

Φ6o銅パイプ,30×30t2oアルミアングル,3−2圧着端子,小型タッパウエア

   つまみ,  Uボルト金具,1KV50PFバリコン,BNC−J

この他に、バリコン用シャフトカップリング,Φ6oのベークまたはアクリル棒長さ33cm程度,Fケーブルの芯線Φ1.6mm30p程度,M3なべネジ(M3*8真鍮_2個,M3*10_2個,M3*15_2個)M3ナット4個が必要になります。

2.最低必要な工具

ペンチ,プラスドライバー,ドリル(3.5mm6.5mm11mmまたはリーマー),金鋸,はんだ鏝(60W位),バケツ(?工具)など

3.材料加工
材料を加工する場合は、この説明を最後まで読み理解した上で、調達できた材料の寸法を考慮して、穴あけ位置・穴の大きさ・角度など先に決めて失敗の無いよう、また怪我の無いように作業してください。

3−1銅パイプの加工

 銅パイプをバケツのちょうど良い場所で直径27cmのきれいな丸になるように折り曲げ切断します。このとき下の写真のようなパイプカッターがあると便利です。先端を15o程度ペンチで潰して、バリコンの取り付け穴、円の中心にBNCJの取り付け穴(2箇所)を3.5ミリのドリルで穴あけします。

     4箇所穴あけ
バケツにそって折り曲げ,パイプカッター,銅パイプの加工完成

3−2アルミアングルの加工

3030oアルミアングルを60oに切断して、下の写真のようにBNC-Jの取り付け穴(5箇所),Uボルト金具取り付け穴(2箇所),シャフト用穴(1箇所)を開けます。
取り付け穴は、用意したパーツのあわせ加工で

3−3タッパウエアの穴あけ

バリコンの取り付け寸法にあわせて穴あけ

4.組み立て
L型アルミアングルにBNC-Jおよび銅パイプをなべネジ315o2本で同時に取り付けます。このあとUボルト金具も着けておきます。
 
残ったBNC-Jの取り付け穴2個をなべネジ310o2本で固定、うちの一本で圧着端子をつけたFケーブルの芯線ををつけ直径約6cmの円でBNC-Jの芯にはんだ付けします。BNC-Jの芯には予め圧着端子を逆さまにはんだしておきます。   
 
加工したタッパウエアのふたをサンドイッチにして、またバリコンとタッパウエアの間には引き出し線つき圧着端子を挟んで、銅パイプとバリコンを38o真鍮2本のなべネジで取り付けます
  

           引き出し線つき圧着端子
引き出し線つき圧着端子の反対側は、バリコンの電極へはんだ付けします。
バリコンの端子は下の写真の様にステーター側のどちらか一方とローター側(バリコンによっては引き出し端子の位置が違うが、ローターの軸のバネと一体になっています。
また配線の長さは短くなくて良いのですが、ふらふら動いたりローターの回転でショートなどしないように注意して引き回ししてください。

5.完成

バリコンにカップリング、シャフト、ツマミをつけてタッパウエアのカバーをすれば完成です。SWR計があればトランシーバーとの間に入れて受信感度最大点付近で送信(10W以下ですよ)してみてSWR最良点をツマミで調整して下さい。
 50MHz/10W直径27cm電磁ループアンテナ

6.最後に

電磁ループアンテナの資料など調べますと、円周長は1/7λ〜1/3λ程度のものが実用になるようです、今回は一番小さいクラス(円周長約85cm)のものを作りました。
また利得は、1/2λダイポールアンテナに比べると落ちるようですが、帯域が狭いのでそのぶん混信などの雑音も少なく、信号が浮き出るアンテナだといわれています。
このアンテナを作る場合のコツは、メインループの大きさの決定(1/7λ〜1/3λ程度)大きな電流が流れるのでなるべく太くて導電性の良いもの、バリコンはできればバタフライバリコン・真空バリコンなどのように耐圧・電流許容値が大きく最小容量の小さなものがほしいところです。(バリコンによって、配線の場所が変ります)
他の周波数のアンテナを作る場合に、一番難しいところは、インピーダンスマッチングだと思います、今回採用したM結合のマッチングのほかガンママッチなども実用可能ですがアンテナアナライザーがあれば簡単にインピーダンスマッチングが出来て便利です。
送信機とSWRメーターでも可能ですが、カットアンドトライでしか調整できず苦労します。
またビームパターンは、ダイポールなどと同じ8の字パターンですが、電界型のアンテナと違い、円に対して平行に強く発射されます。また地面に対して直角な向きで効率よく使えるアンテナです。