広尾

第1巻、第一章〜キミといたあの夏と、最終巻、第五章〜そしてキミと出会う夏のモデルが、この広尾線です。
あとがきにそう書いてありましたね。つまり、坂物語りの核心の部分です。

広尾線は北海道の帯広市と、広尾郡広尾町を結ぶ路線でした。
路線の駅は下の通りです。

帯広−依田−北愛国−愛国−大正−幸福−中札内−更別−上更別−忠類−十勝東和−大樹−石坂− 豊似−野塚−新生−広尾(営業キロ 84.0km)

歴史は、まず昭和4年(1929年)11月に帯広−中札内が開通。
続いて昭和5年(1930年)10月に中札内−大樹が開通。
そして、昭和7年(1932年)11月5日に広尾まで全線が開通したそうです。
この路線の目的は十勝南部の開発振興と農産物の輸送が主な目的だったようです。
ただ、沿線人口の減少に伴って輸送量も減少して赤字路線に。
愛国と幸福間の乗車券が人気を呼んで、全国に知られた路線だったようですが、 昭和62年(1987年)2月2日に廃止されてしまいました。
広尾から日高本線の様似まで路線を延ばす計画もあったそうですが、遂に実現されず終い、というわけです。

廃止が1987年2月なので、この路線が坂物語りの思い出にでてくる路線だと気付かなかった人もいらっしゃるのではないでしょうか?
そう言う私もその一人ですが…。(苦笑)

作品中に出てくる「鉢尾」は、あとがきに書いてあるとおり創作、架空のものだそうです。
敢えていうなら広尾がそれに当たるのかもしれません。広尾駅の駅舎は今も現存しているようです。
ただ、放置列車と錆びた線路は現存しているかというと、もうないようです。
というのは、4,5年ほど前まではあったそうなんですが、今は撤去されて、ホームも埋められて駐車場になっているとのこと。
広尾駅は鉄道記念館となっています。
ちなみに、地形図をみると、広尾駅の北1kmの辺りに広尾線が通っていたと思われる路盤跡(盛土部と切取部)が確認できます。
さすがに草むらや林と化しているでしょうが。(苦笑)

次に蛍ですが、広尾町で蛍を見ることはできるようです。
ただ、小説のように一度にたくさん出てくる、というのはどうやらなさそうです。
なお、ホタルの種類はヘイケボタルのようです。
詳しい出現場所については調べている最中ですが、中野塚という場所で見られたと聞きました。
ただ、旧広尾駅(現鉄道記念館)から北に10km近く離れているので見に行くのは少し難しいかも?
管理人が目星をつけている川を上げますと、豊似川か、その支流である二線川ではないかと思います。
見に行かれる場合は、広尾で宿を取る必要と、ある程度の機動力(車か自転車など)が必要となります。

広尾の坂についてはネットでの情報が少なく、難儀していますので、手元にある地形図で紹介します。
まず、広尾の地形について触れたいと思います。
広尾の場所は、十勝平野の端っこにあって、西側には日高山脈がそびえます。
広尾の中心地は日高山脈から流れる広尾川の流域にあります。
で、町には十勝港があります。昔はフェリーもあったそうですが、今は運行されていません。

管理人が地形図をみて面白いと思ったのが、十勝港近くの地形です。
20m前後の緩い崖のようになっています。どうしてこういう地形なのかはわかりませんが…。
なお、その崖の部分には坂が2,3あるようです。

続いて旧広尾駅からみて南側に小高い山があります。
丸山という山で標高117m。公園にもなっているようです。その公園に行く道は当然坂になっています。
最後に、広尾で一番目玉と思うのが、大丸山という山です。標高は271m。
そこは森林公園になっていて、展望台もあり、そこからは広尾町の街と太平洋が一望できるそうです。
冬にはライトアップされてきれいなんだそうですが、冬の北海道は行きたくないでしょう。(笑)
大丸山へ上る道も坂ですが、そんなにきつくはないと思われます。少なくとも菊水山よりは…。(坂を訪ねる旅・神戸参照)

廃止の時期について、情報により2月1日だったり2日だったりします。
これは「1日をもって廃止されたもの」で、廃止の基準を最後に運行した日か、もう運行されなくなった日か、という違いのようです。
ここでは後者の方としています。参考にした「JR全線全駅」にはそう書いてあったので。

広尾に行くには、小説にあるようにレンタカーを使っていくのが一つ。
2人以上のグループで行くときや、広尾以外に複数の場所に行く予定のある場合に便利です。
広尾線の廃線跡はまだ一部残っているようなのでそこを巡るのも一興ですね。
ただ、広尾だけに行かれる場合、数カ所だけ寄り道をする場合、免許を持っていない方などは、バスがあります。
帯広から広尾まで片道1830円、所要時間は2時間10分程かかります。本数は1日12往復あります。
ただ、タクシーは小説の通り、止めた方がいいと思います。
帯広から広尾まで片道80km以上ありますので、よほど所持金に自信があるとき以外は止めた方がいいです。



戻る