六歩目
「実戦での使い方」(ちょっと上級編)



ここまで読んで来ても、なんで点数計算ができることが、
麻雀が強くなることにつながるのか、いまひとつピンとこないかもしれない。

点数計算ができることで得られるものは、点棒だけじゃない。
実はもっと大事なことがある。
それは「毎局、目標が明確に設定できる」ということ。

「25,000点持ちの30,000点返し、順位ウマが10,20」とかいうような
現在主流になってる精算方法だと、最終的に持ってる点数なんて大して意味がない。
一番大事なのは順位。

だから、いつでも自分が目指すべき相手(とりあえず一つ上位の人)を見定め、
あがるべき点数が何点かを把握しておくことが、とても重要になってくる。
特に最終局(オーラス)では。


この時、自分が親ならとにかく連荘(レンチャン)すればいいんだし、
点差の計算自体もそれほど難しくはない。
問題は子の時。
基本的にはその一局しかないわけで、いいかげんなあがりはできない。

先ず、ロンあがりするなら、誰からいくらあがるべきかを考えておく。
目標の相手以外からあがれば、もらう点数分しか差は縮まらないけれど、
目標の相手から出あがると、相手の払う分も考えれば実質的には倍の効果がある。
例えば、子の「リーチ・ピンフ・ドラ1」(30符3飜)だと3900点だけど、
払った相手とは3900×2=7800点、ほとんど満貫分の差を縮めることができる。
さらに連荘の積み棒があれば、一本につき300×2=600点縮まる。
もちろん、逆転するなら直接ロンするのが一番効果的。
(これを、通称「出場所最高(デバサイ)」という)

次に、ツモあがりする場合。
得られる点差は「自分のもらう点数+相手の払う点数」だから、
目標の相手が親か子かで、縮められる点差もちがってくる。
相手が子の時:親の払い+子の払い×3
相手が親の時:親の払い×2+子の払い×2(=だいたい親のロンあがりの点数)
・・・となる。

これをあらかじめ計算したのが次の表。
(ただし、7700,11600の切り上げがあると微妙に変わるから注意)

子のツモあがりで得られる点差
相手1飜2飜3飜4飜5飜
20符---190034006500満貫
---220040007800満貫
30符1400250050009900満貫
16003000600011800満貫
40符190034006500満貫
220040007800満貫
50符200040008000満貫
240048009600満貫
注)連荘の積み棒1本につき400点追加

満貫以上
相手満貫跳満倍満3倍満役満
1000015000200003000040000
1200018000240003600048000

これも覚えとくにこしたことはないんだけど、
その都度計算しても大した手間じゃない。
(私もその都度計算してることが多い)

経験的に一番大事なのは20符4飜=40符3飜(1300,2600)と30符3飜(1000,2000)。
前者は相手が子なら6500点,親なら7800点、
後者は相手が子なら5000点,親なら6000点をまくれる。
「逆転の一手」が必要となったとき、実は満貫なんか必要なくて、
このあたりで足りることが多い。

特に5000点前後の差で争っているときは、
連荘積み棒、リーチの千点棒までちゃんと考慮して、
しっかりと計算しておいたほうがいい。
まくりたい相手がリーチをかけてきた時、(自分があがれば)それだけで
2000点縮むことになるんだから、むしろ歓迎することだったりすることも、
逆に、僅差で争っているときは無闇にリーチをしない方がいいことも分かってくる。
そうすると、無駄な役をつくる必要が無くなり、自然とあがりやすくなってくる。

大負けしてても、役満を目指すとなるとあんまり現実的ではないけど、
ハネ満くらいなら何とかなる場合が多い。
自分が子でも直接のロンあがりなら24000点まで逆転できるし、
ツモあがりでも相手が子なら15000点、親なら18000点までいける。
こう考えると、最後まで前向きに打ち続けられるでしょ。

こんな具合に、点数計算ができるようになれば、
自分が今どうするべきかについて、明確な目標が得られるわけです。
そうすると、あがり自体も無意味なものが減っていき、
結果として勝率も上がっていきます。


点数計算ができる人のゲームの進め方はこんな感じ。

(1) 配牌をとりながら、他家との点数差を考え、今、何点必要かを判断する。
(2) 配牌を見て、最終形を予測し、その結果何点動くか考える。
(3) 手の動きを見ながら、予想を修正していく。
(4) 2シャンテンくらいでほぼ手の形は決まるので、点数を正確に計算する。
  このとき、どのようにあがると(ロンかツモか)何点動くかまで計算する。
  (計算するといっても、暗記してるのを思い浮かべるだけなんだけど。)
(5) 点の高さ、あがり易さ、他家の動きなどを総合的に考慮して、
  行くべきか退くべきかを判断する。
(6) 特にリーチしたときは、カンがない限り手はかわらないので、点数計算しておく。
(7) たとえリーチしていても、場合によっては見逃すことも考える。
  (ロンを見逃すのは有りとしても、ツモを見逃すと痛い目に遭うことが多い。
   ただし、完先ルールだとこれはチョンボになることが多いからできない)
(8) 手配を倒した時に、点数だけ申告すればいい。役は言わなくても見りゃわかる。
  リーチだと裏ドラ見ないとわからんってこともあるけど、
  「何枚裏ドラのればいくら」ってとこまでは計算しておく。
  (あがってから、「まくれたかな?」じゃダメ。
   分かってて言うイヤミなやつはいるけどね。)


ここまできっちり消化吸収できたら、そろそろ中級も卒業。
東風荘ならR2000も夢じゃないです。



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