スポーツコラムNo.53

W杯初戦を終えて(2010/6/15)


−脱中村俊輔が奏功−

スポーツコラムNo.51で中村俊輔中心のチームでは全く期待できないと書いた。頑固な岡田監督では中村中心でW杯に臨むものだと執筆時点(4月)では思っていて全く期待感のない代表で3敗しなければマシだと考えていた。
しかし、誰が見ても中村のパフォーマンスは落ちており、日本の足を引っ張っていることに監督も遅まきながら気付いたことでようやく日本はスタートラインに立てた(そもそもプレースタイルが今の日本には全く合わないので不調でなくとももっと早く中村は外すべきだったのだが)。

昨年は好調だった岡崎もアジアレベルのDFには通用してもフィジカルの強いワールドクラスのDFにはフィジカルが圧倒的に足りず、フィジカルに強い本田を1トップに据えて、ドリブルで勝負できる選手を2列目に配したことでチームとしてのバランスは格段に良くなった。

スポーツコラムNo.65では中村と内田の右サイドでは相手にとって格好の攻め所になると書いたが、両者ともベンチに行ったことにより守備は安定し、個人的にはあまり評価の高くない楢崎に代わって川島が正GKになったことも非常に歓迎だった(弱小チームが格上と勝負に持ち込むにはGKのスーパーセーブが必要不可欠)。数週間前の日本代表とはガラリとメンバーとシステムが変わって個人的にはかなり好みに近づいてカメルーン戦を迎えていた。

−1強3弱のグループE−

日本がグループリーグを突破するには中村俊輔をスタメンから外すこと、そしてカメルーンとデンマークの調子が悪いことが必須だと感じていた。

ワールドカップ前の親善試合を見ると日本の内容も非常に悪いものだったが、カメルーンもデンマークも日本と同等かそれ以上に悪い内容で日本にとってはグループリーグ突破のチャンスの目が多少はあると感じてワールドカップを迎えた。

オランダと戦ったデンマークも日本が戦ったカメルーンもワールドカップに出る国としてはかなりレベルの低いパフォーマンスだった。

日本が強いとは決して思わないが、この2ヵ国のパフォーマンスならば十分勝機はあり、相性の良いカメルーン相手には自国開催以外のワールドカップ初勝利を飾ることが出来た。

カメルーンに勝ったことはアップセット、あるいは番狂わせと報道するところもあるのだろうが、カメルーンの惨状を見れば日本が勝っても全然おかしくなく、番狂わせだとは全く思わなかった。

カメルーンはアーセナルでプレーするアレックス・ソングの欠場が非常に痛かった。監督とウマが合わず、いわば内紛状態らしいが、ソングがいるといないでは全くチームとしてのパフォーマンスが変わる。

アーセナルでのソングは屈強なプレミアリーグの選手をフィジカルで圧倒する体の強さがあり、ソングがアンカーの位置に入られたら非常に厄介だっただろう(ソングは代表ではセンターバックもやっていたようだが)。

−勝負はデンマーク戦−

カメルーン戦で勝ち点3を得たことにより、最終戦のデンマーク戦が非常に大事になると思われる。

オランダ戦は負けも織り込み済みで最少失点差での負けならば全く問題ない。オランダ戦からデンマーク戦まで中4日ということでコンディションを考えてメンバーを落としてデンマーク戦に集中するという戦略を唱える人も出てくるかもしれないが、ここは初戦勝った勢いそのままでオランダに臨む方が良いだろう。

もちろんオランダ戦に引き分け以上ならば大満足の結果だがオランダも2戦で決勝トーナメント行きを決めに来るので引き分けられる確率でさえ10%以下だろう。

やはり勝負はデンマーク戦になる。オランダに負けたとしてもメンタルが落ちることはなりと思われるので戦う集団となって良い試合をしてくれるだろう。
デンマークはエースのベントナーが不調でチームとしてのレベルもヨーロッパ勢の中ではかなり下に位置するように見える。

日本は十分勝機はあり、カメルーン戦のようなパフォーマンスと監督の的確な選手交代が出来れば中立地での初めての決勝トーナメント進出も十分可能だろう。
ファジーノ岡山と日本スポーツ ホーム スポーツコラム目次