スポーツコラムNo.51

期待の持てない日本代表(2010/4/22)


−こんな代表に誰がした−

ワールドカップでベスト4を狙う。サッカー日本代表の岡田監督は無謀とも言える目標を掲げてオシムの後を継いだ。
しかし、今現在日本がベスト4進出出来ると考えている国民はいったいどれだけいるのだろうか。
グループリーグ突破どころか4年前のドイツW杯と同水準の全敗しなければマシと言った認識で全敗の可能性が一番高いと考えている人が最も多いのではないだろうか。

−中村俊輔中心では可能性はさらに小さく−

昨年までは海外組であった中村俊輔を中心にチーム作りを行ってきた。一般国民からすれば中村はスコティッシュプレミアリーグMVPの実績があり、現役では海外で最も成功した選手なのだから中村中心のチーム作りに違和感はなかっただろう。

しかし、サッカーは一人の選手でするものではない。周りの環境が大きくパフォーマンスを左右させる。
その最たる例がバルセロナのメッシとアルゼンチン代表のメッシでとても同じ選手とは思えないほどだ。

中村のプレースタイルが日本代表にプラスになるのか。岡田監督のやろうとしている方向性と中村のプレースタイルが噛み合うのか当初から疑問だった。
監督はFWに小柄で俊敏性のある選手を好み、玉田や大久保を重用し、最近では岡崎をFWの軸としてきた。

中村の持ち味は左足から放たれる精度の高いキックだ。フィジカルは弱く、スピードもなく縦への突破力はない。中村自身に流れからの得点力は期待できず、FWに精度の高いクロスを送ることが流れの中での最大の持ち味だろう。
しかし、ちびっこFWにクロスを送ったところで屈強な各国DFに跳ね返されるのは容易に想像できる。

日本代表にデンマーク代表のベントナーのような高さがあるFWがいるのならば中村を使うのはまだ理に適っている。
しかし、日本のFWに得点力はあまり期待できない。2列目3列目が絡んでゴールをこじ開けていくのが最も可能性が高い。中村はペナルティーエリアで仕掛ける意識が希薄で相手DFとすれば怖くない選手だろう。

そしてフィジカルが弱く、スピードもないことも守備で大きな穴を作ってしまうことになる。中村と同サイドのサイドバックには内田が入ると思われるが、相手監督とすれば日本の右サイドを徹底的に攻めてくるだろう。

本来ならば2列目からの得点を期待してFC東京の石川やCSKAモスクワの本田を軸にしたチーム作りを行っていれば2列目からの得点力が上がり、チームとしてのバランスが良くなってグループリーグ突破の可能性は少なからず上がっただろう(あくまで可能性が上がるだけで確実に突破できる力はない)。

中村俊輔を中心にしたことでチームとして機能せず、アジアレベルの相手にさえ四苦八苦でとても世界に向けて日本のサッカーはこうだと自信を持って送り出せる代表にはならなかった。

−問題は監督だけではない−

岡田監督には多くの国民が不信感を感じるか、代表サッカーそのものに興味を失くしているだろう(サッカーファンの中でもクラブは応援しても代表は興味ないという人も多いだろう)。

南アフリカ後のネクスト岡田になれば希望は持てるかというとそうはならないだろう。
1番の問題は岡田監督よりも日本サッカー協会にある。そもそも監督に問題があると感じていればいつでも監督を解任できるタイミングはあった。

能力の低い監督に対して無能な協会会長が適切な判断が出来ないという最悪なコンビでは当然結果が出るとは思えない。

犬飼基昭日本サッカー協会会長。代表が負けても他人事のようにコメントし、当事者意識が感じられない。
この会長は常識ある人間ならば100%無理だと分かるJリーグの秋-春制(厳密に言えば夏-春制)を何度否定されても諦めず一人騒いでJリーグチェアマンからも全く相手にされていない。これほど明らかに会長職に相応しいだけの力量に欠けているサッカー協会会長は記憶にない。

今の日本サッカーの最大のガンは犬飼会長の存在だ。この会長をいち早く退場させて有能な会長を据えなければならない。組織のトップが無能だと組織そのものをダメにしてしまう典型的な例でJリーグ各クラブも反面教師としなければいけない(親会社からの出向社長は多くの場合クラブを駄目にする)。
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