ファジアーノ岡山関連コラムNo.9

ファジアーノ岡山の挑戦:2009年第3クールを終えて(1)(2009/12/10)


−西野の怪我で状況が一変−

第2クール最終戦で昇格争いをする上位甲府相手にアウェイで2-0で完勝し、どこが相手でもある程度やれる自信を得たファジアーノ岡山。

第3クール初戦はホームでロアッソ熊本との対戦だった。チームの調子が上がってきたと同時にFW西野が得点を量産し、西野好調さがファジアーノを引っ張っていた。西野は開幕時からヘディングでの競り合いに非常に強く、体を張れる選手だったが、多くのシュートチャンスがありながらなかなかゴールを奪えず、もどかしい思いをしていた。しかし第2クール後半から得点を量産し、第3クールの初戦の熊本戦でも2得点を挙げて6試合5得点とノリノリだった。

しかし好事魔多しとはよく言うもので熊本戦の後半に自爆する形で膝を痛め、全治半年と診断されて今季絶望の大怪我を負ってしまう。

せっかく非常に機能していたチームが西野が抜けることによってチームはバランスを崩してしまう。

4-2-3-1のトップ下システムはそのままにシーズン途中に完全移籍でチームに加入した三木良太を1トップに据えた。

当初の予定では三木を使う時は2トップを組むと見られていたが、西野の戦線離脱のため1トップで三木を使うことになった。
三木は西野よりも背が高い184cmと高さに当初期待されたが、西野のような強さはなく、体をぶつけ合ってのヘディングでの競り合いすら避けているように見えるほどひ弱さを感じざるを得なかった。

それでも手塚監督は三木を我慢して使い続け、多少1トップに慣れて動きが良くなったようにも見受けられたが、第3クール12戦目のホーム東京ヴェルディ戦で三木が負傷してハーフタイムで退いた後に第2クールでは全く使い物にならなかった青木の1トップにする。後半の青木の1トップの方が体を張り、三木1トップに比べるとまだマシな出来だったことで三木の1トップは完全に愚策だったことを証明することになってしまい、4-2-3-1のシステムにこだわり続けたことが失敗だったことを証明してしまった。

−ファジアーノの主力3人−

ファジアーノ岡山に欠かすことが出来ない選手が3人いると筆者は考える。一人は第1クールのコラムで攻撃の中心と賞賛したサイドハーフの妹尾隆介。そして二人目は第2クール後半以降のパフォーマンスのFW西野晃平。3人目は右サイドバックで攻守に安定感を見せる澤口雅彦だ。

この3人が揃った時にはそれなりのパフォーマンスが見込まれ、1人欠けるとチーム力はかなり落ち、2人以上欠けてしまうとどうしようもない状況に陥ってしまう。

西野が第3クール初戦で戦線離脱するとそれまで1試合を除いて皆勤だった澤口も第3クール3戦目の福岡戦で負傷し、4戦目以降欠場することになる。

代役の玉林もそれなりのパフォーマンスを見せてクロスの質では澤口を凌駕するほどの及第点以上の働きはしたものの主力3人のうち2人を欠いてしまってはチームは低空飛行を続け、澤口は終盤3戦に復帰したものの第3クール4戦以降1勝1分け12敗と惨憺たる成績に終わってしまう。

今年から移籍制度が変更され、若い選手でも複数年契約を結んでいないと移籍金を取れない制度に変更された。
地元紙にファジアーノの選手で夏に複数の人間に複数年契約を結んだとの記事が出ていた。間違いなく妹尾と澤口の2人は複数年契約を結んでいるものと思われる。

−1トップへのこだわりが第3クール低迷の一因−

前述したように西野の代役に三木をそのまま1トップに据えたことが低迷したままシーズンを終える大きな要因となった。

ファジアーノは第1クール16節までオーソドックスな4-4-2の布陣で戦うも内容も結果も出ず、保坂をトップ下に据える4-2-3-1に変更すると内容が上向き、その後成績も伴ってきた。

ボランチでの保坂はプレーが軽く、相手に決定的なパスを1試合に1度は出してしまうほど危なっかしく、ボランチとして期待されて加入した割にはパフォーマンスは悪かった。しかし、トップ下での保坂は西野とのコンビネーションが良く、プレーの軽さがトップ下では良い方に向いてうまく機能していた。

ところが西野の怪我により保坂も生きなくなり、監督は川原をトップ下で起用したりとテストしてみるも結果は出なかった。それでも三木と青木(あるいは青木と武田)の2トップにするというような考えはなく、あくまで1トップにこだわり続けて泥沼にはまってしまった。

ファジアーノの1トップは青木1トップの時もそうだったが、あくまで西野がドンと体を張ってくれるから機能するものであり、西野がいなくなればトップで起点が作れずボールを支配できず、押される展開が多くなった。第3クールのシュート数と被シュート数の差は被シュートが55本多く(1試合当たり3.23本相手の方がシュート数が多い)、第2クールの39本からかなり多くなっていることからも劣勢の試合が多かったことを物語っている。

三木の1トップ適性のなさになかなか見切りをつけられなかったことが第3クール17試合で勝ち点が僅か8と散々な成績に終わったことに繋がり、監督の責任が問われても仕方がないと思われる(もちろん西野と澤口の離脱も非常に大きかったが)。
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