ファジアーノ岡山関連コラムNo.10

ファジアーノ岡山の挑戦:2009年第3クールを終えて(2)(2009/12/14)


−最下位でも好調な観客動員−

岡山県民はJリーグがおらが街に誕生したことに意義を見出しているのだろうか。
通常ならば負けが込み、最下位となればスタンドは閑古鳥が鳴いても仕方ない。実際同じ昇格組で成績が不振だった栃木SC(第3クールでのホーム成績1勝2分け5敗)は第3クールの平均観客動員は3,800人と年間平均の4,706人よりも大幅に少なかった。

ファジアーノの場合は第3クールのホームでの戦績は1勝1分け6敗と栃木よりもさらに悪い成績だった。
さらに10月7日水曜日に岡山市から車で3時間かかり、当日は台風接近のため暴風警報が出ている鳥取市での試合でリーグ史上最低動員の615人という記録を作ってしまいながらも1試合平均6,704人(鳥取での試合を除けば7,573人)というカズ人気で13,288人入った試合を含む第1クールの動員数(6,787人)と肩を並べる盛況ぶりで鳥取の試合を考えなければ第1クールを遥かに超えるサポーターが詰め掛けたことになる。この1年で負けが非常に多くても着実にスタジアムに足を運ぶ人間を増やしており、他のクラブとは異質の勝利よりも大切なものを感じている人間が多いことの表れかもしれない。

ファジーアノ関連コラムでは再三再四に渡って観客動員の重要性を指摘し、こだわって執筆してきた。
開幕前に個人的に目標に掲げていた1試合平均6,000人をクリアし(クラブの目標は5,000人だった)、1試合平均6,162名もの来場者があった。

開幕前のコラムで触れたようにJ2からJ1に上がると大幅な観客動員増が見込めるが、JFLからJ2に上がってもどうしても成績が芳しくないため昇格効果はほとんど見込めず、2006年の愛媛FCが昇格して以降の昇格組は2008年の熊本の+1,711人(3,568→5,279)が最高だった(詳しい動員推移は別表参照)。

富山と栃木が動員数を落としている中でファジアーノは昨年の3,665人から6,162人と熊本を大きく上回る2,497人のプラスと大健闘した(+68.1%アップ)。
木村社長が掲げていた負け前提のチームながらスタジアムに足を運ばせる戦略が見事にうまく行った結果となった。

しかし、いつまでも負け続けても良いということではないだろう。ホームで今年と同じような成績ならば停滞もしくは前年比マイナスということも十分考えられる。
県民が初めてJリーグの試合を継続して見て非常に低いながらも基準点が出来たと思われる。
今年のホームでの成績は5勝6分け14敗で得点18(1試合平均0.72)、失点35(1試合平均1.4)と成績もさることながら得点が取れなかったことも試合内容に対する観客の満足度を下げる結果となったと見られる(地元紙のアンケートを見る限り)。
来年は最低でもホームで半分の試合は勝ち点を奪い、1試合平均1得点は取って欲しい。やはり点が入るとスタジアムの盛り上がりが段違いになると実感している。

第3クールの動員の好調さの要因のひとつに第2クールホーム最終戦の東京ヴェルディ戦の劇的勝利が大きく貢献している。
平日開催ながら9,436人が詰め掛けた中での大逆転劇は多くいたであろう初めてファジアーノの試合を見た人を虜にするには十分過ぎ、ホームゲームの中では今年一番の試合だった。来年もそれに近い試合が1試合でも2試合でも出来ればまだまだ観客動員数は増やしていける。

そして第3クールで顕著だったのは他クラブでのゴール裏に当たるGATE10(10番ゲート)の声出しサポーターの数がどんどん増えていったことだ。これは間違いなく固定客の増加を意味し、最低ラインの動員数の底上げを意味する。
コアなファン層が増えてもライト層だった人間がコアになっただけで絶対数が増えなければあまり意味はないが、幸い岡山はメディアのバックアップが手厚く(反対に行政、特に岡山市のバックアップが薄い)、露出度があり新たにスタジアムに足を運ばせる条件に恵まれている。

親会社がないクラブだからこそ観客動員は他クラブより重要になり、県民全体から愛されるクラブになることがファジアーノ岡山を上のステージに上げる原動力となる。
第3クール主要スタッツ

勝敗 2勝2分13敗 勝ち点8 18位(最下位)
ホーム 1勝1分6敗 勝ち点4 18位(最下位)
アウェイ 1勝1分7敗 勝ち点4 18位(最下位)
得点 14 16位
失点 34 17位タイ(最下位)
ホーム得点 5 18位(最下位)
ホーム失点 13 12位タイ
アウェイ得点 9 10位タイ
アウェイ失点 21 18位(最下位)
シュート数 159本 9.35本/1試合 16位
シュート数(通算) 478本 9.37本/1試合 18位(最下位)
被シュート数 214本 12.58本/1試合 17位
被シュート数(通算) 627本 12.29本/1試合 15位
シュート決定率 8.80%
シュート決定率(通算) 8.15% 17位
被シュート決定率 15.88%
被シュート決定率(通算) 12.91% 15位
ホームシュート決定率 8.47%
ホームシュート決定率(通算) 8.33% 14位
ホーム被シュート決定率 18.05%
ホーム被シュート決定率(通算) 12.69% 12位
アウェイシュート決定率 9.00%
アウェイシュート決定率(通算) 8.01% 16位
アウェイ被シュート決定率 15.67%
アウェイ被シュート決定率(通算) 13.07% 16位
観客動員数 53,632人 6,704人/1試合
観客動員数(通算) 154,039人 6,162人/1試合 7位
35節 36節 37節 38節 39節 40節 41節 42節 43節
熊本 水戸 福岡 仙台 C大阪 愛媛 札幌 徳島 湘南
ホーム 2○1 2△2 1●3 0●1
アウェイ 2●4 2●4 1○0 1●4 1●3
観客動員 8,677 4,393 11,541 8,367
44節 45節 46節 47節 48節 49節 50節 51節
栃木 横浜FC 東京V 草津 岐阜 鳥栖 甲府 富山
ホーム 0●1 0●2 0●2 0●1
アウェイ 1●2 1●2 0△0 0●2
観客動員 615 5,674 5,833 8,532
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