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体験学習(正式にはラボラトリー方式による体験学習という)は体験から学ぶ学習方法で、
通常グループワークで行なわれます。
体験学習は次の4つのステップを順次経ることで学習が行われるもので、これを「体験学習
の循環過程」と呼びます。


ステップ1 経験する  まず体験から始まる。

ステップ2 指摘する  ステップ1で起こっていたことを学習のねらいに絞って取り上げる。

ステップ3 分析する  ステップ2で出した事柄の理由や背景を探り考察する。

ステップ4 仮説化する  ステップ3から分かったことで、次の経験の場面で試みる
                   ことを取り上げ行動計画を作る。


体験学習の循環過程を図で表すと次のようになります。

    


体験学習の循環過程とふりかえりの重要性 
一般的に私たちは何か体験すると、その結果を重要視するために結果から仮説化を導き
その理由(分析)を求めるようにしています。例えば結果がうまくいかなかった場合、それは
「私はもともとこのようなことは苦手なのだ」とか、「やはり進め方に問題があった。私が考え
ていた方法なら時間内に出来たと思う」という仮説を引っ張り出したり、理由を考えたりします。
結果がうまくいった場合も、「リーダーシップが十分に発揮されたからだ」とか「情報の組み合
わせに十分時間をかけたからだ」というような話に入りやすいことになります。
循環過程の流れが図のように逆になるのです。

    

循環過程の流れが逆になると新しい気づきや発見は生まれにくいものになります。
学習は「体験」で起きた事柄を学習のねらいに絞ってみんなで(時には個人で)丹念に出し
合い(指摘)、そのうえでそれぞれの事柄の理由や原因あるいはその背景を考える(分析)
ことで深まっていきます。
また同じ体験をしたといってもグループのメンバー一人一人の感じ方や気づきは違うものです。
この違いの明確化につとめることで学びは更に深まり、自分自身やグループにとっての新しい
発見が生まれます。
このように「経験」は「指摘」、「分析」、「仮説化」の流れで学習となります。
実際の体験学習の場面ではExercise(実習)の「経験」が終わってからの「指摘」、「分析」、
「仮説化」を「ふりかえり」という時間で行います。
したがって「ふりかえり」をいかに充実させるかが大切になります。
「ふりかえり」のないExercise(実習)「経験」はゲームであり学習とは程遠いものです。また
短時間での「ふりかえり」はメンバーにとって未消化で終わってしまいます。「ふりかえり」が
活発になればなるほど時間はどんどんなくなっていきます。研修の計画段階では、事前に設定
されている「ふりかえり」の時間よりも長めに用意しておくことが大切です。


ファシリテーターの役割とプロセス
体験学習を担当する研修担当者をファシリテーターと呼びます。
ファシリテーターとは学習者の学びを促進したり、深めたり、援助する人(役割)のことです。
その姿勢や態度は開放的、受容的また共感的で人間に対する信頼が根拠になります。
実際の研修場面でのファシリテーターは、実習中のグループメンバーの観察が重要です。
この観察とは課題達成のための話題や発言に関するもの(コンテント)よりも、グループや
個人の中で起こっている事柄(プロセス) 例えば-課題達成や合意形成に向けたグループ
ワークに十分に参加できていないメンバーの取り扱いはどのようになっているのか、少数
意見の取り扱いはどのようになっているのか、グループでとられている意思決定と話し合い
とのギャップ(全員これでOKのようですね。と言って2,3人で決めている。)、メンバーの感情
はグループでどのように取り扱われているか、などなど- であるプロセスを観察することが
重要です。なぜならば「コンテント」は見えているもの、表面的なものであるのに対して
「プロセス」はよく見ていないと見えないものであり、いわばグループの本音といえるもので
あるからです。
現実の社会でもこの「プロセス」をどのように扱うかにより参加者の動機づけは大きく変わり、
後々の実行段階での結果に影響してきます。
ファシリテーターは「ふりかえり」での「指摘」と「分析」が特に重要になります。学習のねらい
に絞って、観察した事柄を使いながらメンバーと共に起きていたことを拾い上げ、メンバー自身
が主体的にそれぞれの理由や原因を探るようにファシリテーションしていくことになります。
また忘れてはいけないのは、「プロセス」は刻々と変化しています。
ファシリテーターは「ふりかえり」で実習中で起きていたことを取り上げるのですが、同時に今、
その場での「プロセス」にも敏感であることが大切です。「ふりかえり」中の話とその場での
「プロセス」のギャップに十分に留意し、ギャップがあれば取り上げていくことが大切です。
私たちは「プロセス」に関わることを通して参加の意欲を沸かし動機づき、結果に責任を持つの
です。組織における風土改革もまた「プロセス」を通してこそ実現可能になるのです。