台湾の山  北合歓山3422m、石門山3237m、合歓東峰3421m、合歓尖山3217m、合歓主峰3417m、小奇ライ山

登山月日  2010年4月3日〜4月9日

 台湾は南北約394km、東西約144kmで、島の西部は平野、中央と東部は山地に大別される。
 島を南北に縦走する山脈は、中央山脈、玉山山脈、雪山山脈、阿里山山脈、海岸山脈で島の総面積の約半分を占める。
 台湾の最高峰は玉山(旧日本名、新高山、標高3952m)であり、雪山を始め3000メートルを超える山々が多数連なっている。
 今回一昨年に引き続き、01会のHさんに誘われ仲間7人で出かけた。

4月3日(土)

8時半成田空港に集合し,チェックインを済ませ10時25分ほぼ予定どおり台北へ向け離陸する。
 前日の成田は強風の影響でかなりのフライトが中止になったそうだが,一日遅れで良かった。
 ライターは預け荷物には入れず,一個まで機内持ち込みOKとのことだった。また,100ミリリットルを超える液体はすべてNoである。
 JALはやはり日本人向けの機内食が美味しいし,それに座席にモニターがあって退屈しない。行きは映画「アバダー」をずっと見て行き,帰りは「シャーロックホームズ」を見た。
 風の影響でフライト時間が少しかかり,現地時間12時55分,無事台北に着陸した。
 空港では中華民国の山岳会の重鎮だった周先生と二年前と同じ江さんが出迎えてくれた。専用車に乗り今日の宿,環山の民宿に向う。
 途中の店で休憩し,おでんのように煮た殻付きの玉子頂いて食べた。香辛料がきいてまずまずだった。
 道は次第にダートな山間の道になり,谷底を見ながらつづら折れにぐんぐん高度を上げて結構なスピードで峠を越えると,右眼下に環山の集落が見えてくる。
 今回泊まる民宿は雪山の時にもお世話になったタイアル族の家だ。日本名「小林よし子」と名乗る82歳の女性がオーナーで,日本の大学に留学していたことがあるそうで日本語はぺらぺらだった。82歳とは思えないほど元気で歓迎してくれた。マサラオマスという初めて食べる魚もあり,高級料理店にも劣らない料理の数々だった。でも私達全員,ダートの道に揺られて車酔いしてしまっていた。

機内食 台北市 環山集落 民宿 よし子さんの手料理


4月4日(日)

朝食前に集落の高台にある教会まで行ってみた。村の中には犬が放し飼いにされていて,何だかちょっと怖い。
 7時半に朝食を取り,専用車で出発する。中央山脈と雪山山脈のちょうど中間を通り谷へ下る。よくこの険しい山岳に道路を作ったものと感心させられるが,日本では多分,崖崩れなどで危険ということで通行止めになるような怖い道路だった。
 梨山はショウカイセキの別荘があった所だそうである。トンネルをくぐりタロコ渓谷への分岐にある市場で休憩し,ここで弁当を仕入れ,今日の第一の目標,北合歓山登山口に向う。
少し雲がかかっているが,まずまずの天気だ。しかし風がものすごく強い。他の登山者も登っていた。山の標高は3000mを超えているが,登山口が既に3000mあるので楽である。気温はたぶん15度くらいだと思う。最初ジグザグの岩混じりの斜面を行くと尾根に出てなだらかになる。稜線は風がまともに当って非常に寒い。だらだらとした尾根を行くと反射板があり,その先緩い登りで山頂に到着する。(登山口10時発,山頂11時45分着)
 山頂は見晴らしが良いようだが,風が強くガスって全く見えなくなり長居できず10分いただけで下る。そして,途中の草原の風の当らない所でお弁当タイムとした。
 昼食の後,強風の中,下山途中に雨が降ってきて雨具を着けた。車まで戻り今日の宿「滑雪山荘」へ向かった。
 この山荘は素泊まりで,食事は歩いて10分ほど上に位置する松雪楼で取ることになった。
 部屋は7人1部屋使用で,共同のシャワー(寒くてとっても浴びられない),水洗トイレ(掃除が行き届いていない),布団(汚れた小さなせんべい布団)があるが,快適とは言えないが,まあテントよりはましだ。
 部屋に落ち着いてから時間があったので,江さんとHさんと3人で石門山へ登りに行く。
 車道を10分ほど歩き,登山口から稜線伝いに緩やか登る。風速20m近くはあるかと思う位の強風とガスで展望は全くなく,,ほうほうの体で戻ってきた。
 夕食は松雪楼に食べに行き,明日の奇ライ山に向けてガイドに預ける荷物や装備や食糧の仕分けをやった。

北合歓山山頂 途中 奇ライ山登山口 石楠花が満開 石門山山頂


4月5日(月)

 6時前起床し,松雪楼へ朝食を取りに行き,出発の準備をするも,暗雲立ち込め天候がどうも思わしくないようだ。
 環山の民宿で,「あの山は何人も人が死んでいる。充分気をつけて行きなさい」と念を押されたこともあり,雨で濡れた岩登りは危険だし,シュラフや食糧を担いでずぶ濡れで長時間歩き,避難小屋にたどり着いてそこで3日間も過ごすことは,若ければ何とかなるが,もうこの歳になると躊躇してしまう。
ガイドとHさんが話し合った結果,この先,天候の回復が見込めないことから,今回は奇ライ山は中止することにした。
 奇ライ山は中止しても,標高3000mに滞在しているので,他にいくらでも行く山はある。
 昼頃までぶらぶら過ごし,雨が小止みになったので,奇ライ山の中腹にある小奇ライ山まで行くことにした。
 登山口からしばらく行くと辺りはちょうどシャクナゲが満開になっていて素晴らしかった。しかしその内,雷鳴が轟き,バケツをひっくり返したような雨が降ってきたので,慌てて引き返した。
 山荘は我々だけだったので,廊下にザイルを張り,濡れた雨具や衣服をかわかした。岩稜登攀のため用意したザイルが物干しロープに早変わりだ。松雪楼に夕食を食べに行き早々に寝た。

奇ライ山は最後まで姿を現さない


4月6日(火)

ガスで視界はまったくなかったが,雨は降っていなかったので合歓山東峰に行くことにする。
 この山は,滑雪山荘の裏に聳える山で,以前はこの辺り一帯,スキー場になっていたとのこと。
 ガイドの江さんの案内で山荘の裏から急な岩混じりの斜面をひたすら登る。足元には一面「玉山箭竹」が生えていて,その保護のため道を外れないよう注意看板があった。
 途中には70年ほど前に建てられたスキーロッジが廃墟同然で残っていた。1時間ほどで手前のピークに着き,少しだけ下って登り返すと山頂だ。強風で体を支えるのがやっとで,周りの景色は全く望めない。
 早々に下り,次にすぐ隣に聳える合歓尖山に行くことにする。尖山というだけあって鋭角に尖がっている山で合歓山荘の裏手から登り始める。
 とにかく急で特に上部はロープの下がった岩場になり,両手も使って登った。山頂からはまったく景色は望めず,風も強かった。下山は反対側だが,まるで垂直に降りるような感じで全部階段が付けられていた。
 どういうことだろう。このままずっと天候の回復が望めないなんて残念だ。
 山荘に戻り,昼食をとってから,このまま山荘でフラブラしていてもつまらないので,大雨で引き返した,小奇ライ山へ行くことにした。江さんをガイドにHさん,H夫妻,私の4人だ。
 シャクナゲロードを緩やかに進むと,一旦手前のピークを巻き,縦走路から外れて小奇ライ山へ向かう。若干の踏み跡はあったが,ほほ藪こぎ状態だった。山頂も特定するのは難しかったが,江さんの案内で無事到着だ。
 しつこいガスはなかなか引く気配がない。後で分かったことだが,この時期,前線が台湾に居座っていたそうだ。
 天候が良くないので1日早く下界へ下ろうということになった。

玉山箭竹 合歓山東峰山頂 合歓尖山の下り 石楠花が満開 合歓尖山 泊まった宿 スキー場跡


4月7日(水)

朝食の後荷物をまとめて,専用車に乗り込む。下へ降りる前に,まず石門山に再度登った。この時だけ僅かに景色が望めたが,それもつかの間,またガスってしまった。
 車に乗り最後の山,合歓山本峰へ向かう。
 この山は道路が山頂まで通じているが,入口にゲートがあって車は入れない。
 車道を延々と歩いて山頂まで行った。
 どの山も3000mを超えていて,展望は良さそうだが,天候には勝てなかった。
 断崖に付けられた道路をつづら折れに標高差2000mをどんどん下る。霧社というところでトイレタイムを取った。
ここは日本統治時代の負の遺産のように感じた。
 ようやく平地に下り,水上植物レストランで昼食を取る。気温は高くとても暑かった。その後「紙教堂」という所に立ち寄り,コーヒーを飲んだ。
 車は「日月譚」という琵琶湖ほどの大きさの湖のほとりを走り見学した。その後,道すがら,昔の玉山の登り口だったという場所に案内してもらった。今は標識だけが残るが,昔はここからトロッコに乗って登山口まで行ってのぼったらしい。現在,一般的に登られているルートはその後出来たらしい。玉山管理事務所に寄って見学した。
 天候により一日早く下山したため,今日泊まるホテルは予定外だった。
 「康橋商旅」という江さん推薦のホテルだが,部屋は全部ダブルベッドのみで,女同志でベットに寝るのも何なので,大きなベットは先輩のSさんに譲り,床で寝袋で寝た。
 夕食は2年前にも行ったことのあるバイキング形式の「火鍋料理」の店だった。江さんの食欲には本当に驚かされる。やはり50kgも荷物を担ぐには半端な食欲ではダメのようだ。

東峰と本峰 本峰山頂にて全員集合 日月譚 旧玉山登山口 公園管理事務所


4月8日(木)

6時起床,ホテルで朝食を取り,8時半出発する。台湾の朝は早い。もう露天の市場は活気づき,果物が所狭しと並べられていた。台中の新幹線の駅まで40分,2年前と同じ場所だ,懐かしい。
 1時間後,周さん,江さんと共に台湾新幹線に乗った。車窓には長閑な景色が広がっていた。
 1時間ほどで台北駅に着いた。新幹線の料金やバスの料金は65歳以上は約半額とのことだ。
 タクシーに乗って六福楼ホテルに向った。時間が早かったのでチェックインには早く,上のレストランで飲茶を楽しむ。飲茶とはお茶を飲みながら少しのつまみで会話を楽しむことだが,ワゴンで運ばれてくる料理が美味しそうで,お茶よりそっちがメインだった。
 ようやくチェックインを済ませ部屋に落ち着く。
 午後は故宮博物館をたっぷりと見学した。 
 今日はセミダブルの大きいほうのベットを使わせていただき,5日振りにようやくまともな寝具でぐっすり寝ることができた。
 シャワーを済ませ,夜は周さんの案内で市場のレストランへ行く。選んだ食材をその場で調理して出してくれる所だ。味は絶品,台湾へ山登りに行って太って帰るのはこのせいだと思う。

ホテル 故宮博物館 超有名な建物 街の中 屋台 日本でもおなじみ


4月9日(金)

6時起床,朝食を済ませ,歩いて10分ほどのところにあるお土産店へ買い物に行った。台湾産のヒスイの数珠を買った。安いものはアフリカ産とのこと。どうも宝石の価値は分からないが,保証書がついたから信用しよう。
 その後、荷物をまとめてバスで台北空港へ向かう。50人乗りのバスが30人乗りにできていてゆったりだ。
 チェックインを済ませ,14時30分,予定通り成田に向け離陸した。
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