帰国日

 いよいよ日本へ帰る日だ。何だかいろいろなことが有りすぎて1カ月もこちらに来ているようだ。
 ツェルマット発13時30分の電車に乗る予定なので、チェックアウトを済ませ荷物を預かってもらってからエーデルワイス小屋方面にハイキングに行く。ここでラッキーだったのは巣穴から出てきたマームットに遇えたこと。
 街に戻り、教会の脇のベンチでマッターホルンの見納めをし、若くして逝ったクライマーの共同墓地を見たり、山岳博物館(入場料10SHF)を見学したりした。
 13時30分、ブリック行きの列車に乗る。車窓からの山岳風景も素晴らしい。来るときは夜中でわからなかったので余計新鮮だ。列車の旅もなかなかいいもんだな。
 ブリックで列車を乗り換え、チューリッヒ空港まで行く。チューリッヒからインチョン経由新潟まで13時間のロングフライトが始まった。

終わりに

 マッターホルンは憧れの山だった。
 ただ、岩登りが連続するため、果たして登ることができるかどうか不安だった。
 ようやく機会がやってきて、今年こそは挑戦したいと思って準備を進めていたが、天候ばかりはどうにもならなかった。
 遠い日本から、限られた日数で挑戦するには、体力以外に天候という大きなハードルをクリアーしなければならないのだ。
 最近は異常気象か、現地の人でさえ先の予測がつかないとのこと。
 昨年の同じ時期は晴れが続きコンデションは良かったが、8月は悪天候が続いたそうだ。
 今年はその逆なのだろうか?
 でも、私が帰国した数日後、ツェルマットの街にも雪が積もり、あのゴルナーグラードは一面の銀世界、真冬の様相になったと聞いた。山どころかハイキングさえままならない状態になったわけだ。

 やはり、あの時の決断は正解だったと納得した。
 山は逃げない。またいつか機会があったら挑戦してみようと思う。
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