毛石山〜青里岳〜五剣谷岳〜木六山環状縦走
(けいしやま・あおりだけ・ごけんやだけ・きろくやま)
標  高 毛石山793.8m、青里岳1215.5m、五剣谷岳1187.7m、銀太郎山1112m、銀次郎山1052m、木六山825.1m
三角点 毛石山・三等三角点、青里岳・雪で確認できず、五剣谷岳・二等三角点、木六山・三等三角点
登山道 毛石山〜青里岳〜五剣谷岳〜銀太郎山まで無
所在地 新潟県中蒲原郡村松町
2万5千図 「室谷」「粟ケ岳」「越後白山」「高石」
登山月日 2005.05.15〜17(単独)
コースタイム 上杉川ー2:30−毛石山ー0:45−861m−2:05−灰ケ岳分岐ー1:20−三方ガリ鞍部ー1:05−1110m−1:20−青里岳ー2:00−五剣谷岳−1:00−銀太郎山ー0:55−銀次郎山ー0:35−七郎平ー1:20−木六山ー1:25(グシノ峰経由)ー登山口
【記 録】  川内の山は千メートル前後の標高しかないが、豪雪、急峻な地形、蜜藪でなかなか人々を寄せ付けない。例年ならゴールデンウィークまでが残雪を利用して登れる限度であるが、今年は遅くまで降雪があったので、毛石山から青里岳経由、木六山まで日没行動も含め単独で日帰り環状縦走をやってみようと無謀な計画を立てる。
 荷物は軽量化に努めた。しかし、途中で何があるか分からないので、ツェルト、シュラフも携行した。
 自宅を午前3時半に出て毛石山登山口に着いたのが4時半、急いで身支度をして出発する。
 雪解けの後からイワウチワやタチツボスミレ、カタクリなどが咲いていて目を楽しませてくれる。天気は曇り、周りの山々は暗雲に覆われているが、私が縦走する環状内だけはっきり見えているという何とも奇妙な具合だ。
 長靴も軽やかに調子良く、あまり汗もかかず毛石山に到着した。これから縦走する峰々がグルっと円を描くように連なって見えた。
 毛石山の先にもかなりしっかりとした踏み跡が続いており、切り立った痩せ尾根の鞍部まで一旦下り、次のピークに登り返す。藪が出ている所は踏み跡があるので歩きやすく、少し行くと今度は広い豊富な残雪のある平らな尾根道になる。なだらかな左斜面の芽吹きのコントラストは非常に素晴らしく、しばらく見入ってしまう。
 標高851mあたりは二重尾根のようになっていて、その間の豊富な残雪の上を進んだ。
 標高907mの登りは痩せ尾根で雪はなく、足元の斜面はイワウチワの大群落、タムシバも満開、シャクナゲも至るところ賑やかに咲いていた。
 この辺りの尾根にも若干の踏み跡のようなものがあり歩きやすい。しかし、灰ケ岳分岐の1030mピークを過ぎると踏み跡は全く無くなり、特に1016mから三方ガリへ続く尾根は、ツゲやマンサク、それにあのやっかいな松が稜線いっぱいに低く枝を広げており、なかなか前に進めず、思ったより時間がかかってしまった。また、稜線には熊の糞が何箇所もあった。あまり人が入らない場所を熊さんは知っているのだ。
 三方ガリへ下りるのが急斜面で緊張する。慎重にキックステップで下った。突然下からピョンピョンとウサギが走って脇を通り過ぎて行った。
 鞍部から901mを通り次の1110mまでは、尾根が本当に続いているのだろうかと心配になるほど複雑な地形である。藪で前方が見えず苦労した。数年前、粟ガ岳から矢筈岳に縦走した時、ここを通ったはずなのに全く覚えていない。少しでも時間短縮のため、危険を冒して急斜面の雪渓も利用した。こんな所で滑落したら一生発見されないだろうなと思いながら・・・
 1110mからは豊富な残雪が利用でき楽になった。しかし、天候が次第に下り坂になり、青里岳に近づく頃には雨も降り出しガスッてしまい、視界が全くなくなってしまった。夜に崩れるという天候が早まったようである。
 時刻はまだ2時前だったが、無理をせずビバークすることにした。幸いかろうじて携帯が通じた。
 その夜、天候は大荒れになり、みぞれ混じりの冷たい雨が降り続いた。
 ラジオで天気予報を聞くと、明日は朝のうち雨が残るが曇りとのこと、明日に望みをつないだ。
 雨が浸み込みシュラフが濡れて冷たい。時々ガスを点けて暖めるが、残り少ないので大事にしょう。無線をつけてみる。強い信号も入ってきているので、まずは一安心。寒いけれど、それでも少し寝たように思う。
 翌朝、外を覗くと相変わらずガスって視界が全く無く、霧雨が降っている状態。うっすらと白く雪も降ったようだ。 天気予報を聞くと、曇りで午後には雨は上がるとのこと。
 早く雨が上がってくれないかと気をもみながら待ったが、8時になっても9時になってもその気配はない。しかたなく10時、雨の中パッキングして出発した。こんな見通しが利かない状態で、青里岳から下るのは不安だった。以前の印象では、青里岳は一面残雪に覆われていたが、山頂近くでもかなり雪は解け藪が出ていた。
 藪を漕いでいると、山頂を特定するのも難しかった。新しい鉈目と「ろうまん」と書かれた古い赤布を発見した。
 少し下り気味になり深い藪の平らな尾根が続いていたので、そちらへ進んだ。でもあまりにも藪が深すぎて、それ以上前進できなかった。下手に間違った所に下ったら取り返しのつかないことになる。
 昼前、行動を中止した。また今日もあの冷たいシュラフに潜り込まなければならないかと思うと気が滅入る。何が嫌かと言うと、雨の日のテント泊まりほど嫌なものはない。ましてやツエルトだなんて・・・最悪!
 結局、雨は夕方まで降り止むことなく激しく続き、ガスも晴れることはなかった。明日もこんな天気だったらヤバイなー。
 電池の消耗を防ぐため天気予報の時だけラジオのスイッチを入れて、夜中まで何回も聞いた。夜7時頃になってようやく雨が上がった。でも一晩中強風が吹き荒れた。寒くて寝られなかった。
 翌朝、外を覗くと、昨日までの悪天候がウソのようにすっきりと晴れ渡っていた。
 やはり、青里岳から1116mへ続く尾根に入り込んでいた。間違いやすいと言われている尾根である。見通しが利かないと青里岳から下るのは難しい。
 目指す方向が分かり、青里岳から急斜面を鞍部に向かって下る。鞍部は50cmくらいの幅の痩せ尾根だが早く雪が消えるらしく踏み跡もあり、そんなに恐怖感はなかった。1096mへは、岩登りだ。辺りはアズマシャクナゲが満開になっていた。
 1120mは左側の急斜面の雪渓をトラバースした。あとは五剣谷岳までルンルンで行ける。5度目の山頂。厳しい試練に耐えたご褒美に、今まで見たなかで最高の景色を与えられた。全ての山が鮮明に見えて素晴らしい。
 五剣谷岳はもうメジャーになった。次第に上がる気温に汗を流しながら、銀太郎、銀次郎、木六山と縦走し、3日間帰りを待っていてくれた車に戻った。 
毛石山山頂 毛石山三角点
快適な稜線もある 正面に灰ケ岳がようやく見えてくる
シャクナゲも綺麗 イワウチワの大群落
間近に見る灰ケ岳 ブナの大木も見事
途中にこんな標石(△印は初めて) 三方ガリへ続く尾根
至るところに熊の糞あり 三方ガリから下った鞍部
1110mにて青里岳を背に(セルフで撮影) 1110mから三方ガリを振り返る(雪面は写真よりずっと急)
青里岳からの御来光(左奥は五剣谷岳)
稜線からの矢筈岳 五剣谷岳からの青里岳(右)と矢筈岳(左奥)
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