新緑の八十里越え縦走  登山月日 2006.06.11

 コースタイム 新潟5:00−吉ケ平6:50−椿尾根8:00−番屋乗越9:12ー火薬跡10:00−ブナ沢10:35−空堀小屋跡11:05−空堀11:23ー殿様清水12:00−鞍掛峠12:36−小松横手13:13−田代平(林道)13:43〜14:15−木の根峠14:38-松ケ崎15:13−大麻平17:00ー途中入浴ー磐越道ー新潟21:00
 
 吉ケ平から福島県只見町へ通じる『八十里越え』は、天明の大飢饉を契機に、越後の塩、米などの生活物資を会津地方に輸送したり、農民の日光参詣や江戸へ至る重要な生活道路だった。また、戊辰戦争で河合継之助を軍事総督とする長岡藩は新政府軍によって落とされ、この八十里越えから会津へ敗走したといわれている歴史の道でもある。
 今回は会のAさんの計画で縦走した。4回目の縦走だが、今年は例年になく残雪が多く、また、一昨年の中越地震や7.13水害の影響でルートはズタズタになっていて見失う場面が何回もあり、その分、時間もかかった。

 朝5時、新潟市を出発して登山口の吉ケ平へ向かう。(集落を抜けるとすぐにゲートがあり、安全のため一般車は入れない)吉ケ平には廃屋になった校舎があり、以前はそこまで車が入れたが、手前で先の災害で道路がごっそり無くなっており(今、仮の道路を作っているようだ)20分位歩いた。校舎は廃墟同然になり、グラウンドだったと思われる所もすっかり草に覆われ昔を偲ぶべくもない。
 校舎の前で写真を撮り、いよいよ八十里越えに向けて出発だ。橋を渡り少し先へ行くと、雨生池方面へ行く道と別れ右折する。“馬場跡”と石標がある。そしてそのすぐ先に“詞場”という所もあった。
 辺りは鬱蒼とした杉林のなだらかな道を行くと、所々夏草が繁茂し、踏み跡に覆い被さりそうな道になり、それを漕ぎ分けて進むと椿尾根となる。刈り払いなどしていない所が自然のままの感じでまた良い。ただあるのは石の道標だけだ。草むらには太いワラビがにょきにょき出ていて、時々摘み取りながら先へ行くと岩がごつごつした急登となる。
 急なトラバースの道は崩れて道などなく、滑落しないよう一歩一歩慎重に進まなければならない所が随所にあった。私達の前に地元の人が歩いているので助かる。杉の木の根元には小さな祠があり「山の神」と看板がある。9時10分、標高八九五メートルの番屋乗越に到着する。
 
番屋峠の先には豊富な雪渓がある。雪解けで斜面の足場が不安定な所や残雪でルートが判りづらい所もあり、初めての者同士で来た時には、ルートファインデングがかなり難しくなろう。
 大岩の脇を通った時、“火薬跡”と刻まれた石標があった。昔、鉱山か何かがあってそれを切り出した跡らしい。岩に無数の穴があいていた。
 しばらく行くと見事なブナ林へと変わる。昔の人はどういう思いでこの峠道を行き交ったのだろうか。新緑の眩いばかりのトンネルは縦走中のハイライトと言うべき場所だ。でも、近年稀に見る豪雪でルートは全部雪で隠されている。
 1つ目の沢を渡り、緩く残雪を登って急下降すると大きな沢に出る。雪解けで増水していたので慎重に渡渉した。渡った所に「ブナ沢」の杭があった。 
 空掘で左から大谷ダムからの道と合流し、桜の窟を通り過ぎ、雪渓の上を渡り突き当たると、殿様清水に到着した。ここまで来る間何箇所も沢があり、水には不自由しない。ここからヘアピンカーブで先へ進むと、豊富な残雪のトラバースとなる。ルートは判りにくい。
 雪解けの斜面には美味しそうなウドやウルイが豊富にある。
 12時35分、標高九五一.八メートルの鞍掛峠に到着した。道は殆ど斜面のトラバースである。そう大きなアップダウンはないが、全行程二五キロ(八里が八十里に思えるほど遠いというということらしい)で、生半可なことでは歩き通せるものではない。
 小松横手に来ると前方には秀麗な浅草岳が姿を現す。右に見えているのは黒姫だ。
 ここから田代平までは、水平な道となるのだが、所々急斜面のデブリに覆われ通過するのに苦労する。30分で入広瀬からの林道終点に到着した。まだ一面豊富な残雪に覆われていて驚いた。
 時間がオーバーしているので、ここで短く昼食を取り先へ急ぐ。

 会津側に入ると一段と残雪が多くなる。地元の人の足跡があるので何とか歩けるが何もなければ、ルートは非常に見つけ難い。
 八十里峠着14時35分。ここが会津と越後の県境だ。ここは木の根峠とも言われ、ここから明治の始めころまで使用されていたという「古道」その後使用された「中道」、そして明治27年頃から現在歩いている「新道」に分かれる。「古道」「中道」は、もうすっかり藪に覆われ廃道となり辿ることはできない。
 その先も残雪が多く、また、ぬかるみに足を捕られながら苦労する。今年は本当に雪が多い。地元の人の苦労が偲ばれる。このルートを熟知していなければ、日帰りではとても歩き通せないだろう

 次第に足も疲れてきたが、シラネアオイが励ましてくれた。
 松ケ崎の小さな祠は見晴らしの良い所にあった。15時10分着。ここで大休止。
 そこからの水平道はいつまでたっても下降せず、着きそうでなかなか着かず、大麻平までが本当に長かった。2箇所道が崩壊していて巻き道ができていた。左下にようやく道路が見え始め、道幅が次第に広くなり、17時、急下降でひょっこり建設中の車道に出た。
※ このルートは、地震と水害でかなりやられ、不鮮明で危険な箇所が随所にあります。また、携帯は圏外で通じません。GPSも受信しない所があります。無線も山間のため通じにくいのでご注意下さい。

地震で林道は崩壊 いたるところ崖崩れ
吉ケ平山荘 詞場
椿尾根 道も消えている
番屋乗越 火薬跡
見事なブナ林 空堀小屋跡
空堀(ここで大谷ダムの道と合流) 桜の窟
残雪が豊富 鞍掛峠
小松横手 小松横手に来ると浅草岳が見えてくる
田代平林道終点(こんなに雪が多いのは初めて)
松ケ崎 大麻平下山口
キクザキイチゲ サンカヨウ スミレサイシン
ヤマエンゴサク ニリンソウ オオバキスミレ
登山道に咲いていた花(この他にシラネアオイ・オオイワカガミ・ヒメサユリ・ホウチャクソウ・チゴユリなどがありました)
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