二輪車のユーザー車検@2008
2年に一度の、XT400Eの車検整備。
ウチのジープをはじめとする乗り物掲示板「VOJ Lover's BBS」- 掲示板といいつつ、最近は過疎化で私の覚え書きと化している感もあるけど - まあその掲示板で、今回の車検について「とくに変わったことがなかったので、本編のネタにはならないな。」などと書いていたのだが、考えたらけっこういろいろ変わったことがあったので、ちょっと本編にまとめることにした。
「VOJ Lover's BBS」からの引用を再編集している部分が多々あることはご了解いただきたい。覚え書きがあって助かったぜ。
2006/06/06に、私としては初めての二輪車のユーザー車検に合格した。
オドメータは27,034km。車検の有効期間は2年間。その間の故障とか行った整備とか、記録してあるだけ列記すると、
- 2006/09/17 シートを「アンコ盛り」。市販の椅子用スポンジクッションとレザー、それに表皮を固定するためのタッカーというホチキスのお化けをホムセンで購入し、トライしてみた。全体に3cmくらい嵩上げしてみた。シート側面はオリジナルを延長する形にしたため、座面部の幅は狭くなった。とはいえ、最近のオフロードバイクのシートよりは広い程度。
- 2006/10/06 アンコ盛りの形状がいまいち気に入らなかったので、修正。パッセンジャー側のアンコを少し削って座面の前傾を緩和するとともに座面ラインが荷台に滑らかにつながるようにして、ライダー側は側面を盛って、座面幅をノーマルより広く確保した。ノーマル以上にフカフカのシートになったが、座面が完全フラットでなく、馬の鞍のようなカマボコ気味になった。結局、シートは約3cm高くなり、尻の落ち着くシートの最低部はノーマルより少し後ろに下がった。これで股関節の角度が楽になり、腰がさらに楽になった。
ただし、シートが厚くなったので、グリップバンドは取り付けられなくなった。でもそれは、タンデム用のグリップハンドルが装備されているから問題ない。さらに、もともと足着きがよくないほうの車体だったのが、メットやらブーツやらプロテクター類をフル装備で実に190cm・100kg近くなる私に合わせてリアサスを締め上げていたところに、シートまで厚くなったために、並の体格では立ちゴケ必至という恐ろしいシロモノになった。シートの高さはモトクロッサーみたいな驚くほどのもんではないが、シート幅があるので見た目以上に足つきが悪いのだ。
- 2006/10/20 燃料コックからガソリンにじみ発生のため、コック内のOリングシール交換。部品代\126。オド31,535km。
- 12月から冬眠。
- 2007/03/20〜2007/03/24 冬眠解除。オド32,518km。
同時に、コマがいくつか固着気味だったドライブチェーンを交換。
125cc以下の小型バイクと違って、チェーンの接続はクリップでなく、リンクの軸をかしめるようになっている。かしめる、とは、軸や鋲などの頭をつぶして広げ、抜けないように固定する方法だ。バイク屋に頼むのが簡単だが、今後のこともあるので専用工具を購入し、トライ。まあ技術的には難しいこともないので、無事完成。後輪空転したときの音がぐっと静かになった。函館のバイク屋に在庫してたEKの520-116Lを買って、6コマカットして使用。\6,230-。
さらに、冬にオークションで入手していた、絶版のキックスターターキットを取り付け。
作業は、右のクランクケースを開けて、クラッチを外すなど、結構大掛かりになる。
このキックスタータは、自動デコンプ装備で、すなわち、キックアームに連動したカムで片方の排気ロッカーアームを押し下げて、シリンダの圧縮を抜き(=decompression)、キックを軽くするシステムになっている。なので、単気筒400にしては、キックはまあまあ楽なほうだろう。昔々の単車では手動デコンプもあったし、デコンプなしのもざらにあった。そんなのでキックしたときに早期着火して逆発(ケッチン、などともいうね)くらった日には、踵や足首の骨を折ってしまうこともあったという。
余談だが、かなり昔のディーゼルトラックなどにも手動のデコンプが付いていて、セルを回すときに最初圧縮を抜いて勢いをつけ、デコンプを戻して始動していた。デコンプを引くと圧縮点火が成立しなくなって停止するので、停めるときはキーを切ってからデコンプを引いて停めていた。ちなみに古いJ54でエンジンを停止するための通称「デコンプ」は、燃料を手動でカットオフするためのノブなので、圧縮にはまったく無関係。あれは断じてデコンプなどではないので気をつけよう。
ともかくこれで、セルが回らなくても、点火系統を生かす程度のバッテリー電力が残っていれば、なんとか始動できる可能性ができたわけだ。このようなシステムの冗長性を、フェールセーフと呼んでいるが、中でもこのキックスターターのような場合は、バックアップという手法になる。
この作業でケース開けたので、オイルも交換。
あとはブレーキ系統を整備。パッドはまだまだ大丈夫。ブレーキダストをきれいにして、スライドピンをグリスアップ、キャリパーのピストンにシリコンオイルをくれて、パッド裏にも鳴き止めのシリコングリス。とどめにブレーキ液を総入替して、完了。車輪の空転具合とブレーキの作動をチェックして、タイヤの空気圧を調整してから、本年初のテストラン。キモチいい。
- 2007/04/20 再びの札幌単身赴任で、赴任先にバイクを搬送。
出勤のためエンジンかけようとしたがウンもスンもない。一ヶ月前にキックキットを取り付けて試走もしているのだが、かからない。セルは回るのに初爆がこない。こないったらこない。
急ぐのでばたばたと単車を片づけて軽トラで出勤したが、帰ってからちょっと見てみたら、どうもプラグに火が飛ばないようだ。じっくり見る時間がなくて何ともなのだが、フルトラの点火系統のどこかが突然死したのかもしれない。
悪いことは重なるもので、その日帰るときはすでに単車のトラブルで頭がいっぱいだったせいか、軽トラのスモールランプが点いているのに気づかず、寝る前に天気はどうかな、と窓を開けてスモール点けっぱを発見、なんとかランプは点いていたものの、セルを回す力は残っていなかったとさ。
- 2007/04/23 仕事の後、仕事場から借りたテスターで診てみたら、配線などには不具合がなく、コイルの抵抗値も正常範囲。だが、プラグには火が飛ばず、プラグキャップをコードから外してプラグコードの芯線ダイレクトだとかすかに火花が飛んだり飛ばなかったり。
どうやらイグナイタユニットかイグニッションコイル〜プラグコードの不具合らしい。安物のテスターでわかるのはここまで。
運良くというか、ネットで中古部品が見つかったので、とりあえずはそれを入手して、最終的に不具合を確定しつつ、復活するしかない。コイルなら新品でも数千円だが、イグナイタは数万円にもなるので、不確定の段階で発注するのは勇気が要る。
さすがに、見てくれはまあまあ新しそうでも車齢16年の老体、消耗品の点火系統なら、不具合が出ても不思議はない。私のバイクにも使われているフルトラ点火はメンテナンスフリーに近いが、フルトラってくらいで心臓部が物理的に弱い半導体だから、ダウンするときは突然だ。ジープでもアストロンをフルトラ化したからって安心できないのだ。
- 2007/04/28 中古部品のイグニッションコイルとイグナイタが届いたので、仕事から帰って早速修理。
もしコイルが悪くてイグナイタが死んでいたりすると、イグナイタを交換したとたんにまた壊すおそれがある。イグナイタは新品は高いし中古はめったにない(売れなかった「希少種」なもんで)ので、まずはコイルを交換。コイルなら万一イグナイタが悪くてコイルを壊していても新品で数千円。
で、プラグを外してキャップに差して、エンジンにアースさせて火花チェック。セルを回すとビチビチ火花が飛ぶ。ビンゴ。
結果的にはイグナイタは悪くなかったわけだが、まあスペアが確保できたということでよしとしよう。
- 2007/05/15 ハンドルを交換。オド33,040km。
2006年の春、札幌の宿舎の駐車場にバイク置いて仕事に行き、帰ってみたらバイクが寝てた。強風で、駐車中にスタンドのない右側に転倒していたのだ。ショック。
カバーかけてあったのでそんなにダメージはひどくなくて、ハンドルのアクセルグリップの芯が割れて端がボロボロになったのと、可倒式のステップの下面がこすれた程度。新品だったカバーは、ステップとグリップエンドが当たった個所に穴があいてしまった。札幌北部の春は強風の日が多いのだが、建物に当たって巻き込んだ風が、バイクのカバーにはらみながらバイクを右に押すように作用していたのだろう。
まあ軽傷で済んだ・・・と思っていたのだが、走るとなんかしっくりこない。ひとつは、ハンドル片側にに衝撃荷重かかったので、フォークが少しだけねじれていた。これは定石どおり蹴飛ばして修正。でもまだなんかわずかな違和感が。
でも前の車検の前にグリップは交換して、整備して車検は無事通過。恥ずかしながら、そのままなんとなくひとシーズン乗ってしまっていたわけだ。慣れちゃうし。
で、このほどよーーーーく見てみたところ、右のグリップの角度が微妙に左と違うことに気がついたのだ。転倒の衝撃でハンドルバーがわずかに歪んだらしい。見た目はスマートなオフロード車のようだが、車重170kgは伊達じゃなかった。とりあえず鉄パイプ差し込んで曲げ戻したりしてできるだけ修正してみたものの、違和感は消えず。調べたら新品は\3500くらいでまだ買えるということで、早速発注。
届いた新品と曲がったハンドルを比べてみたら、左はぴったり変形なし、右はバーの端部で新品よりわずか3mmほどだが手前下に曲がっていた。修正前の先シーズン中はもう少し歪んでいたのだろうが、ぱっと見でわかるほどではなかった。このくらいでも違和感を感じるのだから、インターフェースのセッティングというのは大事だな、とあらためて痛感した次第だ。純正で\3,550-だったと思う。
- 2007/06/04 12ヶ月点検。特記事項なし。オド33,203km。
- 2007/06/21 タイヤ交換。
購入時に新品で付いていたのは、ダンロップのD605という、それなりにアグレッシブにみえるブロックパターンの、オンオフ兼用タイヤだった。そのタイヤも、長距離帰省の足として2006年のシーズンと2007年の5,6月で約8,300kmを走り、リアの真ん中あたりのスリップサインが出かかってきて雨の日はちょっと滑るようになってきた。さらに、フロントはブロックの斜め摩耗(ブレーキング摩耗)が目立ってきて音もうるさくなってきたりしていたので、交換することにした。
この手のイボイボタイヤは概して減りが早く、車種と乗りかたによっては3,000kmくらいでもボウズになったりするので、比較的重いXT400Eで8,300kmというのは、かなりもった方だろう。オッサンなのでマッタリ走ってるってのもあるかな。バイクのタイヤは柔らかいのでクルマ用のようには長持ちしないのだ。
で、今度はもっとオンロード寄りの、ミシュランのSiracというタイヤを選んだ。イボイボのブロックパターンでなく、溝が異様に深いオンロードタイヤというか、牧草地やゴルフ場で使うトラクターのタイヤのような外観だ。
ネット上の情報では、なかなか長持ちするうえ、一応ダートも走れて(俺は走んないだろけど)、燃費もよく音も静か、という、ツアラー向きにぴったりのタイヤらしい。
今回は札幌のショップに交換を任せた。タイヤ交換は、自分でやると座っての力仕事で、間違いなく腰にクるのだ。現にその数日前に仕事でタイヤ交換をしたときも腰がひどく痛くなったので、工賃も高いとは思わない。
サイズは、純正指定がF:90/90-21,R:120/90-17のところ、今まで付いていたのはF:3.00-21,R:4.60-17と細身だった。今回は在庫の関係で、F純正サイズ、R:130/80-17となり、今までより大きくなった。これでますます足着きが悪くなるだろうが、私が乗る分には問題ない。リアが太くなって、後姿がなかなかのボリュームになったのはいいかもしれない。多分そのためだろうけど、煽られにくくなったから。
ショップから宿舎まで、短い距離ではあるが、走った感じでは、イボタイヤとは違って確かに静かで滑らかに転がるようだ。オド33,964km。工賃込み前後で\18,050-。
- 2007/07/19 ところが、このタイヤ交換には後日譚があった。
半月ほど経って、チェーンの調整をするために後輪を上げてみると、車輪の回転がやけに重いのだ。どうやらリアのブレーキパッドの片方がパッドスプリングから外れて噛みこんでいたようで、パッドに常時圧力が少しかかった状態になっていた。そのため、パッドもほぼ限界まで一気に磨耗していた。ありゃりゃ。それまではなんともなかったのだから、車輪の脱着のときだろう。やはり自分でできる作業は他人に任せるべきではないのだろうか。腰痛くなんのヤなんだけどなあ。
時間が経っているしクレームも疲れるだけのような気がするので、とりあえずパッドの噛みこみを直し、ネットオークションのストアでパッドを購入した。「ヤマシダ」とかいう、怪しげなブランドのやつだ。モノが届くまで限界のパッドでなんとか我慢して、届き次第交換した。
このパッド、新しいうちはなにしろ効かなかった。ブレーキ踏んでもヌルーッと滑る感じ。ピストンは滑らかに動いているのを確認しているので、パッド自体の問題だろう。使い始めに「焼入れ」してやらないとだめなパッドがあるのは確かなので、こいつもそうかもしれない。で、周りに他のクルマなどのいないとこで、少しリアブレーキ引きずりながら走り、しばらくブレーキ離して冷やし、を繰り返してみる。案の定、段々タッチがよくなってきた。少し使ってディスク面に対するパッドの「アタリ」がついてくると、きちんとリアをスキッドさせれるようになって、一安心。オド35,418km。\1,708-。
- 2007/08/01 バルブラッシュ調整。
- 2007/08/05 ハンドルロックを兼ねたキーボックスがガタガタしてきたので診てみたら、固定スクリューが一本抜けて、残りは緩んでいた。スクリュー取付、固定。硬化していた燃料ホースと、劣化気味だったシートダンパーも交換。オド35,894km。
- 2007/10 チェーンガイドのローラーが劣化崩壊してきたので交換。\609-。日付と距離計記録なし。
- 2007/12/07 この年も冬眠に。洗車して、ガソリン満タン、エンジンは燃料コックOFFにして自然に停止、キャブのフロートチャンバーをドレン。バッテリーは外して充電し、室内保管。ブレーキディスク以外の金属露出部とマフラーに防錆のシリコンオイルをスプレー。等々。
- 2008/04/24 冬眠解除。バッテリー再充電。伸びきって調整しろのなくなっていたクラッチケーブル、いつ交換したのか不明のエアクリーナー、ハンドルへのクランプ部が割れていたキルスイッチボックスを交換。クラッチカムのイニシャル調整、そのためにケースを開けたのでオイルも交換。オド39,183km。
- 2008/05/26 今回の車検整備。オド40,578km。
走行距離は40,000kmを少し超え、単車としては走っているほうかもしれない。ホントかウソか、クルマの100,000kmが単車では30,000kmくらいに相当すると聞いた事がある。車齢では17年になるのだし、まあ、立派な旧車かもしれない。
さて、単車の車検整備は12ヶ月点検だ。四輪だとどちらかといえばつい「乗りっぱなし」になりがちなのに対し、なにしろ単車だから、ちょっとした事が命取りになるので、上記のように、普段から整備は欠かしていない。その甲斐あって、作業は朝から始めて昼には終わってしまった。
点検で判明したのは、フロントのブレーキパッドと、前後ブレーキディスクが、そろそろ限界に近い、ということ。甘めに見ても、パッドはまもなく限界、ディスクも次の車検まではもたないだろう。パッドは春のシーズンインメンテのときからそろそろかとは思っていた。車検終わったら部品手配しなきゃ。
あとは徹底的なクリーニングと、可動部グリスアップ。
午後に自賠責の手続きをして、準備万端。
2007/05/27 車検。
変わったところといえば、前回は後輪ブレーキの検査が「リアをロックさせる」という乱暴な方法だった函館の検査場だが、今回はきちんとテスターで検査するようになっていた。
函館には相変わらず二輪専用ラインはないが、四輪と兼用のラインがあって、前後ブレーキとヘッドランプを検査するようになっていたのだ。
スピードメーターは相変わらず検査なしだったけど。
例によって車検の費用を記録しておこう。バイクは乗用車なので、2年に一度の費用だ。
| 今回 | 前回 |
自賠責 | \13,400-(24ヶ月) | \20,150-(24ヶ月) |
重量税 | \5,000- | \5,000- |
受検手数料 | \1,700- | \1,400- |
申請用紙代 | \40- | \40- |
計 | \20,140- | \26,590- |
・・・だった。受検手数料は\300-上がったが、自賠責が\6,750-も安くなってたのは嬉しい。車検関係の費用は、約\20,000-になった。月にすれば\800-ちょっと。安いものだ。等級が上がる任意保険や軽自動車税を入れても月\2,500そこそこ。前回よりも月に\1,000-かそこら安くなってる! まあ、古い車体だからそれなりに部品なんかの費用と手間はかかるとはいえ、小遣い程度で維持できるのはやはりありがたい。いい趣味だと思うね。