二輪車のユーザー車検@2006

2005年も初雪が降ってから、400ccの単車を手に入れた。
ヤマハのXT400Eという、オフロードタイプのツーリングモデルで、ヤマハがつけた愛称はなぜかガ○○ムのあのヒトの本名と同じ、「アルティシア」という。だからウチでは「セイラさん」と呼ばれてしまうのだ。

XT400Eは、ヨーロッパでそれなりに人気があったヨーロッパ向けの600ccモデル「XT600E」の車体そのまま、400ccで免許が限定されており、XT600Eに乗るには当時「限定解除」と呼ばれていた超難関の免許が必要だった日本国内向けに、SRX400というロードモデルのOHC4バルブ単気筒エンジンを載せたモデルだそうで、デザインやカラーリングもどことなく大陸っぽい雰囲気があるような気がしなくもない。ちなみに、兄弟モデルであるXT600Eは、公式にはキャスバルと呼ばれてはいないらしい。ははは。

車検証によれば1993年初度登録だが、車台番号から調べた年式は1991年で、長期在庫だったことがありありと想像できる。
売れなかったのは確かのようで、1991年に発売されたものの売れ行きはさっぱりで、1992年に早くも梃入れのマイナーチェンジがなされたが、その後も売れ行きは伸びず、いつしかフェードアウトしていたときいている。そして、私が手に入れた1991モデルは、まさに1991の一年間しか生産されることがなかったモデルなのだ。車検証の型式は4DWだが、ヤマハのモデルナンバーは1991のみ4DW1で、1992モデルからは4DW2になっている。

オフロードバイクは、荒く使われることや、細かい改造がされがちなことから、車検の必要な251cc以上のサイズは、昔から基本的に人気がないといわれている。また、排気量が大きくなればそれだけ重く、パワーも大きくなるわけで、振り回すのにはそれなりの体力やテクニックがいるような先入観がライダー側にあったり、エンジンの高さがあるので最低地上高を確保するにはどうしてもシートが高くなってしまったりで、とにかくこのクラスのオフバイクは人気がなかったのだ。確かに、120kgそこそこでシートは高いが沈み込みも大きくて足着きがいい250ccクラスのオフバイクに比べれば、満タンで170kgもあって、シートや車体の幅もあるため足つきが悪くなる400ccは、地面の悪いところでは扱いづらそうに感じられる。170kgは最近の軽い四気筒ロードモデルよりもよほど重かったりするので、オフ車ならではの重心の高さもあって、コケたときには苦労する人もいることだろう。
とはいえ、私は身長体重ともかなり大きく、脚も長いので足着きはまったく問題にならないし、170kg程度では起こすのに苦になるような重さでもない(キャラバンに一人で積み込むのはちょっと難儀したけど)。なによりヨーロッパ向けのXT600Eと同じ車体なので、ライディングポジションが大きく、オフロードバイク独特の、ステップに立った姿勢から真っ直ぐ座ったようなポジションとあいまって、腰が楽なのだ。腰に爆弾を抱える身としては、これは助かる。見た目にもエンジンの重量感があるので、私が乗ってもサーカスの熊のように見えないというのも貴重なのだ。

用途的には単身赴任先の札幌からの帰省用がメインで、長距離を楽に走れて燃費もそこそこよく、たまにはオフロード遊びも、家族とのタンデムもできる、というXT400Eは、まさに私にはうってつけだったのだ。実際、ワンタンクで札幌から自宅のある砂原まで、峠を二つはさんでいるにもかかわらず、余裕で来れてしまう。さすがに13リッターのタンクでは往復は無理だが、長距離の燃費は25km/lをコンスタントに超えて、ときには30km/lに迫っているのだから、400ccとしては悪いほうではなかろう。フラットな出力特性でトルクフルなエンジンは、体格と腕力だけが頼りのヘタッピオヤヂライダーでも扱いやすく、二ケツも実に楽チンなのだ。

それはさておき、手に入れた単車は、2006年の6月で車検が切れるものだった。
二輪車は、道路運送車両法では、排気量250ccを超えると「小型二輪自動車」となって、2年毎に車検を受けなければならなくなる。126cc〜250ccは「軽二輪自動車」で検査対象外となっている。また、125cc以下は「原動機付き自転車」となり、二輪自動車とは別の乗り物という扱いになる。
なお、免許の区分では、かつて限定解除とか大型と呼ばれていた401cc以上が大型二輪、かつて中型限定とか中免と呼ばれていた51cc〜400ccが普通二輪となり(ただし51cc〜125ccは普通二輪の小型限定で運転可)、50cc以下が原付となる。
で、私のことなので当然ユーザー車検を考えるわけだが、車検対象の二輪車は初めてなのだった。

二輪の車検は2年毎だが、要求される点検は12ヶ月点検だ。四輪との構造上の決定的な違いから、点検項目は少ないし、内容も異なる。しかし、構造が分かっていればなんということはなく、原則的には四輪と同じで、走行の安全に関わる個所を中心に点検、調整を行う。
二輪もいろいろだろうが、XT400Eのようなオフロードタイプの場合、カウリングのようなカバーがほとんどないので、ほとんどあらゆる個所に簡単にアクセスできる。フルカウルのスポーツモデルやスクーターはそのへん少し大変なのかもしれない。XT400Eは、サイドカバーと、タンクとシートを外せば何もかも丸見えになる。
XT400Eは、オフロードモデルは概してそうなのだが、サイドスタンドのみでセンタースタンドを持たない。なので、メンテナンスは何がしかの台に載せて行わなければならない。ビール箱なんてのがよく使われているし、専用のメンテナンススタンドなるものも売られているが、私はクルマの整備に使うウマを両ステップの基部にかませて使った。サイドスタンドを立てると車体は左に傾くので、まずは右のステップの下にスタンドをかませて、ステップを支点に力任せに車体を起こし、左ステップの下にウマを入れる、というやり方で載せることができるのだ。が、腰に堪えるし危険なので、クルマ用のジャッキで車体を持ち上げてからウマをかませるのが安全でスマートだ。ステップはXT400Eでは車体の重心よりも後ろにあるので、ウマに乗せると後輪が浮く。前輪を浮かせるときは、後ろの荷台にジープのタイヤでも載せてやればいい。
あとはすべて丸見えなので話は簡単で、必要な整備点検を行うだけだ。あえてジープとの違いをいえば、ガソリンエンジンであること、しかもOHCのドライサンプで、2バレルの特殊なキャブレターが付いているのだ。
OHCはエンジンの給排気バルブを動かすカムシャフトがシリンダーヘッドにある「オーバーヘッド・カムシャフト」だ。ちなみにこの5Y7エンジンでは、給排気ともバルブは2つずつある、4バルブだ。バルブクリアランスのチェックは単気筒ながら4本、しかもアクセスはヘッドカバーの小さなプラグを外した小さな穴からなので、ちょっと面倒だった。カムシャフトはチェーンで駆動されていてテンション自動調整なので、タイミングベルトがらみの心配はない。
ドライサンプというのは、エンジンオイルのタンクがクランクケースの下に一体になっているジープなどと異なり、別体のオイルタンクを持ち、そのタンクからオイルをポンプで吸い込み、潤滑後のオイルもサンプからスカベンジ(戻し)ポンプで再びタンクに戻す、というシステムだ。クランクケース底の「オイルサンプ」にオイルが満たされていないという意味で「ドライサンプ」と呼ばれる(本当に文字どおりのドライなわけではないけど)。なお、ジープのようにオイルサンプがタンクになっているのは「ウェットサンプ」という。そのうえ、ヤマハの単気筒ドライサンプはどれもそうなっているようだが、オイルタンクはフレームのダウンチューブがタンクを兼ねている、という凝った構造になっている。フレームを太くしてタンクを兼ねれば、別にタンクを設ける必要がないので軽量化、エンジンを少しは小さくできるので空気抵抗の減少、また、フレームを太くするので剛性の向上、さらにはエンジン前面のチューブがタンクになるのでオイルの冷却効果も期待できる、というようなことなのだろう。
燃料系統はキャブレターを使っているが、2バルブのヘッドに2バレルのキャブを組み合わせている。このキャブは、一次側がアクセルグリップによる強制開閉、すなわち、開き側と閉じ側の両方にアクセルワイヤーを使ってスロットルバルブを開閉するようになっており、二次側が、一次側の吸気負圧で作動するCVキャブになっているのだ。低負荷ではほぼ一次側のみが作動し、二次側はアイドル状態のため、のんびり走っている分には実に燃費がいい。アクセルを大きく開くと二次側も作動して、それなりに気持ちよくパワーが出るが、燃費も落ちる。強制開閉は、閉じ側がスプリングのみだと、スロットルを開いた位置からグリップを戻してもバルブが戻らなくなる「貼り付き」が発生するのを防止している。
さらには、ジープと違って前後ともディスクブレーキ、駆動は後輪のみの1WDでファイナルはチェーン、サスは前後ともテレスコピックのコイルスプリングでしかもリアはマルチリンク、等々といったところだ。

単車ならではの留意点として、ヘッドランプのセッティングがあげられるだろう。
ライダーの重量や乗車位置に大きくピッチ姿勢が影響されるという単車の特性と、そのためにサスペンションスプリングが調整可能になっているという単車の構造から、ライダーが違えばヘッドランプの向きに影響が出るのが珍しくないのだ。
XT400Eでは、リアサスのスプリングが調整可能になっている。スプリングを最も緩めた状態では、とくに私のようなフル装備で90kgを超える重いライダーが乗ると、リアの沈み込みが大きくて姿勢が前上がりになるし、ライトはかなり上を向く。なので、まずは自分が乗って前後サスの沈み込みが同じくらいになるように(好みにもよるので一概にはいえないが)スプリングを締め上げ、しかる後に乗車状態でヘッドランプ照射方向を調整するのだ。調整にはテスターがないので、仕事場の倉庫の壁を利用した。倉庫の床がコンクリのパネルになっていて、パネルの継ぎ目がきれいに壁に直角になっているのだ。床の継ぎ目に乗せて壁ぎりぎりに単車を寄せて、乗車状態でハイビームにして壁を照らし、最も明るいホットスポットを壁にテープを貼ってマークする。この時点で床の継ぎ目の延長上から左右にホットスポットがずれていたら、調整しておく。次に、同じ床の継ぎ目に合わせて壁からライトが5mほど離れる位置に単車を停め、同じ乗車状態でホットスポットのずれを見る。あとは、継ぎ目の延長上真正面の、最初にマークした位置の気持ち下あたりにホットスポットが来るように光軸を調整するのだ。最初にライトがよほどアサッテのほうを向いていない限り、それほど調整に苦労することはない。今回はだいぶ調整が必要だったが、これは前回の調整が悪かったというよりも、今回私に合わせて車体を調整した結果の補正だろう。とにかくきちんと乗車状態で調整を行うのが重要だ。

さて、検査は例によって函館の陸運支局で受けたのだが、函館には二輪用のテスターがないので、ヘッドランプと前輪ブレーキだけ四輪用のテスターで検査する。後輪ブレーキはコースの外で発進してリアロックさせて検査し、スピードメーターはノーチェックだった。車台番号などの一致や灯火類などの外観検査は当然行われ、その際全幅の測定が行われた。XT400Eはハンドルのグリップエンド間ではなく、ブレーキとクラッチのレバーガードの両端間が全幅となっているので、当初グリップエンド間を測って「車検証と違うな」と言っていた担当検査員に説明し、ガードで測ってもらってパスした。
検査はあっさり一発パスで、ヘッドランプも問題なかった。
例によって新しい車検証とステッカーをもらって検査完了。ステッカーは、二輪の場合ナンバープレートに貼り付けるようになっているのがクルマと違うかな。
なあんだ、二輪も何とかなるじゃないか。再来年もこれでOKだな。


二輪は初めてなので車検の費用を記録しておこう。2年に一度の費用だ。

自賠責   \20,150-(24ヶ月)

重量税    \5,000-

受検手数料 \1,400-

申請用紙代    \40-


計\26,590-

・・・だった。さすがに安い!月にすれば\1,100-ちょっとだ! 任意保険(7等級)や軽自動車税と合わせても月に\3,500-そこそこ。小遣いで十分維持できるな。部品代とか燃料費はかかるにしても・・・。


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