お釈迦さまの入滅後、約500余年間は
“仏像”というものがありませんでした。

その代り 人びとは菩提樹をもって
樹下にお釈迦さまのおわしますことを瞳にうかべたり
また お釈迦さまの説法地と伝えられるところに
石にお釈迦さまの足跡を刻み
その足跡を通してお釈迦さまを偲びながら
ひたすらお釈迦さまの教えに帰依し感銘を新たにしていました。

これが佛足跡の始まりと伝えられています。

当時の人びとは
尊いお釈迦さまの姿は
我々俗人と同じ人間の姿に象どってはならないとでも思ったのです。
あくまでも象徴的に表現したのです。

その結果が佛足跡への信仰となったのです。

 我国最古の仏足跡は、
752年建立の奈良、薬師寺の仏足跡です。
薬師寺の『佛足跡歌碑』には
万葉人の仏足跡に対する心からの信仰と礼拝が
歌を通じていかに深かったかがうかがわれます。

 

   

当時の佛足跡断石





佛足跡模様を復元

 
さて 大行寺の仏足跡は
安政三年信暁学頭により建碑されましたが
残念なことに 元治元年の兵火に遭い断石のみ残されました。

しかし この現状を悲しむ多くの方々のご浄財により
昭和62年12月、実に123年ぶりに復元され、
今日に至っています。



日本の仏足跡研究の第一人者
早稲田大学加藤諄名誉教授によれば
日本の仏足跡の模様は、

(1)貞極系 (2)大行寺系(酉阿系)
(3)良定・東雲山水系 (4)薬師寺系
 と、

4系統に分類され、
当寺の仏足跡模様は
日本を代表する一つであると述べられておられます。


                  

大行寺系(酉阿系) 貞極系 良定・東雲山水系 薬師寺系

     
         瑞祥七相


お釈迦さまの足裏の真ん中に『千幅輪相』という指紋があります。
その周辺にも美しい指紋があり
これらを合わせて『瑞祥七相』といい
これを型に表現したものが佛足跡の模様です。