●T.K PRESENTS SYNTHESIZED TRANCE vol.2●
渋谷WOMBで行われたトランスのクラブイベント。(2002.8.19)
ちょうど11ヶ月ぶりに、またもや関西の片田舎から渋谷まで、ライブのためだけに一人旅でした。

前回の、SOTEC presents"GABALL Mega Stream Live"レポに書きましたが、ナナの密やかな夢。
ひとつは野猿を最前列で見ることと、握手してもらうこと。
もうひとつは、小室哲哉のショルキーの鍵盤を、肉眼で見ること。

ひとつめはうっかり叶い、そしてもうひとつはやはり未だ叶わず代わり、また小室哲哉の爪を、肉眼で見た。
そして、今回新しい夢が増えることになる。
それは、いつか小室哲哉を触ること、だ。
思いも寄らない夢が出来た。それは、手の届きそうな距離で小室を見たから。


で、ライブです。
vol.1が7月にあったものの平日で行けるわけもなく、すごく行きたかったので「もしも次があったらチケットとってみよう! そしてとれたら行こう!」と思っていたら思惑通り2回目があり、もっと思惑通りそれが週末で、さらに申し込んでみたらあっさりチケットがとれた。
問題点はライブが日曜の夜から、オールナイトで朝まで、ということ。月曜は会社だ。任意で取れる夏休みを適用しようかとも思ったが、もともと月曜は動かせない仕事が入っていたので休むわけにいかない。乗り換え検索サイト・ジョルダンを駆使して新幹線での帰阪時間を調べ、混みあうお盆のラッシュをくぐり抜けるように新幹線の切符を電話予約する。またしても往復のぞみである。無駄が多い。帰りは始発がのぞみなので仕方ないのだが、行きはもうのぞみしか空席がなかったのでこれまた仕方がない。
こうして2度目の東京一人旅は、夜行バスで往復した前回とは比較にならないくらい豪華に敢行された。


ジョルダンのお導きに従って新横浜で新幹線を降りたナナは、東急東横線で一路渋谷へ向かう。新幹線他すべての移動のあいだ中をお供してくれたMDは何故かラグ全曲集と野猿撤収ライブ曲順のディスク。「ラブラブなカップルフリフリでチュー」を聞きながら歌詞の意味について真剣に考え込んでしまい、何故か胸にしみて泣いてしまったりしていた(笑)。どこへ何しに行くつもりだナナ、と一人ツッコミ。途中、自由が丘でちょっと黄昏ながら(ちょっと思い入れのある土地だったため)表参道に買い物に行く。こう書くと都会を満喫しているようだが、タレントショップに行っただけでとんぼ返りである。それからライブ会場を探す徒歩の旅に出る。渋谷にあるのは分かっていたのだけど、詳しい地図が用意できなかったので、どの駅が最寄りかもよく分からなかったのだ。そして……食事タイムも挟みながら、3時間も探した(笑)。その間に声をかけてきた人の数約10名。手相の勉強中の人が95%(笑)。さんざんに迷って、ついに観念してコンビニで東京23区の地図を買い、ようやく会場を発見したのは、渋谷・道玄坂の端っこの裏側、ラブホ街ど真ん中(笑)。ナナ、朝まで大丈夫かな(なにが)。

実は、朝の5時にライブが終わった時点で新幹線にはギリギリだと判明していた。故に帰りがものすごく心配だった。なんせ翌日は月曜、関西で仕事が普通にあるのだ。開場を何とか見つけたがライブ開始までにこれまた3時間あったので、最寄り駅までの道だの、駅まで朝イチにタクシーをライブハウスまで呼ぶにはどうするべきか、など、iモード・携帯電話を駆使して調べまくり下準備しまくった。暇を持て余し、ようやく10時、開場。
ライブハウスである。今まで行ったライブハウスの中でも、1,2を争うくらい狭い。整理番号や入場待ちの列がなかったため、既にタイミング良く入れた人たちの壁がステージ前に4列分ほど出来ている。その後ろにナナは位置を陣取った。
ステージではトップバッターのDJさんがパフォーマンスをもう始めている。スクリーンが3重にかかっていて、そこでは映像が素敵に切り替わる。2階ブースからVJ(ビジュアルジョッキー)さんが映像をコントロールしているのだ。GABALLでもVJ原田さんに感動したナナだが、やはり音楽と映像が合わさるのは良い。
エンドレスで流れ続けるトランスミュージック。緩やかにカラダを揺らす。強弱のつく音に合わせて、ナナのダンスも多少変化する。それが楽しい。が、1時間もすれば飽きてきた。小室哲哉が来るのはいつなんだ! だがしかしひたすら踊る。
そのうち、ようやく周りが見えてきた。ナナの前にそびえ立つ4重の人壁は、小室待ちの客なのだ。そびえ立つ壁達はそれぞれにglobeだの桂子だののTシャツやはっぴを来て、本当にただそびえ立つだけでちっとも踊らない。動かない。ステージのパフォーマンスにも、スクリーンの映像にも、流れ続けるトランスミュージックにも興味を示さないのだ。
ナナのいるあたりから後ろは踊る人たちが増え始めて、一番後ろではスペースを広くとって派手に踊る人や、壁に持たれてゆっくりアルコールを飲む人なんかがいる。トランスライブや、クラブイベントに慣れた人たちなのだろう。どうやら、こういったクラブではステージを見ることが目的ではなく、音に浸って踊り明かすことが重要なようだ。一番前でステージを見たい、という思いはあまりないようだし、前に出るのは興味があるDJの時だけで、自分がそのDJでノッてることをアピールする気持ちからのようだ。そして飽きたり、疲れたり、DJが変わったりすると後ろに戻る、というものらしい。何人かの踊りまくりの人たちが、ナナの前の壁を突破しようとする。が、壁はそんなことをまるで考えていない。とにかく少しでも前で、いつか出てくる小室を見るためポジションを守ることが大事なのだ。
「だめー全然前に行けなーい」と戻ってくる人たち。それを後ろで眺めて踊り続けるナナ。うーん、疲れた…。
その辺で、以前にコムが出演した同様のライヴでは、コムが1時とか2時とかに出演していたことを思い出す。それまで休憩して体力を温存すべきではなかろうか。すでに足はめちゃくちゃ痛い。どこかで座ることにしよう、と判断してさらっと後ろに下がった。入ったときにもらったドリンクチケットをウーロン茶に引き替え、2階に行っても良いことに気付いて上がってみる。
2階はガラス張りで、1階のフロアが見下ろせる。イスやテーブル、ソファがあってくつろげる空間らしい。が、座れるところは満員なので、どこかが空くまでVJブースの後ろでスイッチングを見ていることにした。ブースといってもちょっとケージで囲んだだけのイスとテーブルが3組あって、そこに3台のノートパソコンが。DELL製品らしいのでwinかな。20代半ばの男の人二人と、20歳くらいの女の子の3人が動かしてました。その男の子達がとても素敵で、思わす声をかけそうになるナナ(笑)。ひとりは可愛くていたずらっぽい少年風味、もうひとりは知的なモード系眼鏡青年だったのだ(笑)。が、さすがに逆ナンだろこれじゃ!(笑)クラブで逆なん相手はVJってそれはいくらなんでもまずすぎるだろう!!(笑)自分的葛藤をして遊んでいるうちに席が空いたので、座ってフロアを眺めることに。
上から見てもステージ前に詰めた4重の壁はあまり動かない。それに比べて踊りまくっている後ろ半分。だめだ…あれじゃ寒すぎる。どう考えても、この場にそぐわないのは、空気を読まないダメ小室ファンだ!!
郷に入っては郷に従え、クラブに行けばクラブらしく踊れ。それがナナの信念だ。あー、これじゃもともと本当にトランスが好きで踊りに来た人たちにとって、コムロとコムロファンは邪魔な存在になってしまう。悲しい…。

しばらく、テーブルに突っ伏して仮眠していた。あれだけ音の絶えないうるさい空間でよくうたた寝したものだ。
にわかに2階の人々がざわついた。がば、と起きあがる。時計を見るとまだ12時台だ。コムか?! コムにしては早くないか?!とステージを見下ろすと、ちょうどDJが入れ替わったところのようだった。しかし小室ではない。
「あれ、マークパンサーだよー」隣にいた人たちが言う。えっ、マーク?!
「今日は***の誕生日ー! オメデトー!!」いきなりマークが言った。おめでとー、とフロアの人たちが二階を振り返って見上げる。何、誰の誕生日? 誰かいるの? スタッフとか?(笑)よくわからん。しかしマークが出てきたということは、小室登場の時間も近いのだろうか。まだ12時半だが、ナナはフロアに戻ることにした。

人の隙間をぬって、出来るだけ前に行く。マークが見たいと言うよりも小室への備えである。そして備えるだけでは寒いので踊る。マーク登場でさっきまでよりはノリの良くなったが、相変わらずさむーい小室オタクたちに、もっとノリが良くなるように、と頑張ってナナは踊る。もう足が痛いけど踊る。マークが何言ってるのか良くわかんないし、でかい男の人が大勢前に詰めているので何にも見えないが、でも踊る。1時間ほどのパフォーマンスでマークは終わり、次は小室か!?と思ったら「トモー!」と隣にいたお兄さんがコールをする。あら、TOMOさんて人が次はDJですか。チケットを見るとDRAGON(GABALL)の次にお名前がある。有名な方なのかな?と思っていたら、確かに今までに人たちよりもパフォーマンスが素敵だった。ノれる! もう足が痛くて仕方ないけどノリノリだ! なかなか楽しくて、足が痛いけど踊りまくってフィニッシュを迎える。いえー!

と、ふと、フロアの空気が変わった。
ぎゅっと、密度の濃い空気になる。

来たんだ。

そう、小室哲哉が、ついに現れた。

と思ったと同時に、めちゃくちゃに押された。全身が前に押し出される。あと3人ほど前にいたはずなのに、いつの間にか最前列の柵の前にいた。ステージまであと1メートルの。

コム!

小室さん!
てっちゃーん!!
目の前にいる!

コムはこのすごい歓声と人並みに応えて少しだけ手をあげる。ペットボトルのミネラルウォータを飲み、シンセサイザーに囲まれたど真ん中のブースに立つ。鍵盤を押さえる。アナログシンセなのか、何度もスイッチをひねり、キーを叩き、音の調節をする。それでさえ、私たちを煽るように調子をつける。あぁ、踊りたい。アナタの音で踊りたい!
だけどその間、ナナは人の渦で戦っていた。最前列の柵は可動式で、柵のさらに前で会場スタッフさんが体を張って背中で柵を押さえていた。最初はその人達が邪魔でしかも汗だくなので非常に触れたくなかったのだけど、だんだんそんなことは構っている余裕がなくなってくる。押されて苦しいのだ。それでも小室に片手は振るナナ。曲を回し始めたコムに合わせて、ガンガンと頭を振ってノる。手を振ったり激しく踊ったりしたくても、まったく身動きが出来ない。頭部だけでも踊ってる気分で、ヘドバンよろしく、とにかく振る。振ると言っても結局目はてっちゃんを見てるあたりが所詮はただの小室マニアだ。

人の塊が、うごめく。

KEIKOだ。

ステージにKEIKOが現れた。
そう、マークのパフォーマンスの最後に「KEIKO誕生日オメデトー!」と、みんなで振り返り3階を仰いで言ったのだ。VJブースのあった2階の真上が、VIPルームなのだろう。金髪のおねーさんが手を挙げて応えるのが、そのときはガラス越しに見えた。
その金髪のKEIKOが、目の前にいる。シンセブースのさらに前、ステージギリギリのヘリに立って。
厚底の黒いロングブーツ。ふわっとしたミニスカート。くしゅっとしたタンクトップ。
それに、赤い花柄の着物をさらりと羽織って。
KEIKOが、小室哲哉の音に合わせて、踊り出す!
小室登場よりもさらに観客はヒートアップする。手足が細く長く、とても綺麗に見えるKEIKOがハイテンションに踊る。踊りまくる。動けない私たちも、揉まれるように踊る。マークも姿を現す。二人ともがシンセのブースより前に来て、両端でそれぞれに観客を煽るように踊る。クラクラする。手を伸ばせば触れられそうな距離にKEIKOがいて、着物を翻して踊っている。むちゃくちゃ可愛い。
白熱した観客は、そのうち暴走したようだ。どこかで誰かが転んで、危険だったようだ。ステージからKEIKOが手をさしのべて(届くわけはないが)心配そうに見守る。そして残りの私たちに「おちついて」というように手のひらを下向けて広げてみせる。
”大丈夫?”人差し指と親指でマルを作ってKEIKOは私たちに聞く。
大丈夫ー! 人で押しつぶされそうになりながら皆、同じマルを作ってみせる。KEIKOと目があった。つぶされそうなちっちゃい私を心配そうに見てくれる。嬉しい。
そこではた、と気付いた。てっちゃん見に来たんだった(笑)。
いかんいかん、KEIKOに見とれてたよ。反省して小室を見る。コムはKEIKOにスパークする会場を微笑ましく見ている。KEIKOが動けば人の塊もそっちに少々動く。みんなの顔が右へ左へとKEIKOを追う。その中でただひとり(気持ちの中では)、ど真ん中の小室哲哉を見つめ続けるナナ。コムを見て頭を振る。コムが顔を少しでも上げれば手を振る。頭をふりながら目をそらさない方式でいたら、目があった。いくらなんでもこの距離なら勘違いじゃないよね?!
満面の笑顔のナナ。
それに笑いかえしてくれて、私の動きにあわせてコムが一緒にリズムを全身でとってくれる。
うわぁん! 感激!
途中、KEIKOはヘッドホンをしたり、てっちゃんと話したりしながらですごくふたりとも楽しそう。いいなぁ(笑)
マークがいなくなり、KEIKOがステージから去り、コムだけのステージになる。みんながコムを追う。音なんか覚えてない。ただ人の圧迫が少し和らいで落ち着いたり、またきつくなったりの繰り返しを、コムを見ながら耐えるだけ。
ペットボトルを取り上げるコムの、爪と血管が見えた。
ちっちゃい私が埋もれそうになりながらノリノリなのがコムには見えたのだろうか。あれからも何度かこちらを見てくれる(ような気がした)。一緒にリズムを取ってくれる。笑ってくれる。もうそれだけで、ここまで来た甲斐があったというもんだ。
KEIKOがまたステージに戻って踊る。観客もヒートアップして、フィニッシュを迎える。
一通りの演奏が終了。マークがまたマイクで「KEIKOおめでとー」。わーおめでとー! KEIKOは「ありがとー!」とぺこっと綺麗にお辞儀をたくさんする。KEIKOは踊っているときから手で”3,0”と出したり、”今日で、さんじゅう”と声は聞こえなくても口を大きく動かしたりしてくれて、とってもハイテンション。
「ここで、KEIKOが誕生日ということでスペシャルゲストが」とマーク。てっちゃんが水を飲みながらゆったりとその様子を後ろで見ている。
現れたのは…「三瓶です」!!!
あの三瓶だった!!(爆笑)これにはKEIKOもてっちゃんも、会場も大爆笑。そして会場は何故か大盛り上がり。会場全体で「三瓶です」をやる(笑)。KEIKOもやる。てっちゃんはやらなかったような(笑)。KEIKOのために、と三瓶はネタをふたつ披露。KEIKO「私のために有り難うございました、誕生日とは、全然関係ない内容で(笑)」。
他にもKEIKOの誕生日ということで駆けつけてくれた人が、とマークが紹介したのは、ロンドンブーツ1号2号の淳! おぉ! ロンミューつながりだ!
淳はあと二人、吉本の若手芸人を連れてきてて、「酔っぱらってまーす!!」(笑)。近くで飲んでて寄っちゃった、みたいな(笑)。何故か「ぶったきむぶったきむ!」コールに沸く会場。音頭をとってくれる淳…何の集会だこりゃ(笑)。
そして最後にすごい人が来てます!とマークがよんだのは何とYOSHIKI!!
うをー!! すっげーーー!!! 会場大興奮。
「ちなみにこの中でギャラがあるのは三瓶だけです(笑)」と淳。KEIKOも淳もYOSHIKIも飛び入りサンなので。マークも自分のパフォーマンス代しかでないですね(笑)。
そんなふうにKEIKOの誕生日を祝って、ラストに1曲! てっちゃんがまたブースに戻ります。globe vs pushでした! KEIKOの声がスピーカから響きます。これ好きー! そしたらKEIKO、マイクを取り上げてかぶせて歌う。感激。
その曲でてっちゃんは終わりでした。ブースの前に初めて出てきてくれて、KEIKOとなにやらお話。そのときの生声が、内容は分からなかったけど、聞こえた!! 肉声だよ!! そして軽く手を振りながらさらっとステージを去る。
うわー、すっごーい、もう終わりなんー?と思っていたら入れ替わりでDRAGONが!
頭の1曲だけ、KEIKOがまたかぶせて歌ってくれる。そして最後にマイクを通さない大きな声で「みんなありがとー!!」と叫んでKEIKOは帰っていった。すげー、かわいかったー。
さぁこの先はDRAGONだ!! このままだとまだまだ狭くて踊れないな、と思って見渡してふと気付いた。周りの客がごっそり入れ替わっている。小室目当てだった人たちが一斉に帰ってるのだ。
えー、もったいないよー! 「世界一のDJをみんなたのしんでってくれ!」ってマークも言ってたのに!
反発からか、そこからたっぷり1時間も踊るナナ。確かに、今まで回してたどの人よりもノリがいい。踊れる。心地よい。楽しい。かなり感動だ! すごいよDRAGON!! DJによってこんっっなに違うんだね!

最前列の戦いを経て、そこからさらに1時間踊った私は、ボロボロになって4時に引き上げる。5時にライブが終了なのだが、4時半に出れば新幹線に余裕ね、というのが当初の思惑だったが、どうしてもあと30分踊る体力がなかった…。ぐったりと引き上げ、オレンジジュースで栄養補給し、コンビニに寄ってからタクシーで渋谷駅まで行く軟弱さ。へろへろだった。渋谷駅で始発を待って乗り、新横浜まで行って新幹線。そのまま2時間半のぞみの旅で、会社直行。睡眠時間2時間以下。その後、クライアントとの会議中に少し寝ていたのは秘密だ。

無茶な旅だったけど、行って良かった。
でももうしない(笑)。
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