うつ病を防げ
2010年9月16日(木曜日)
13●認知療法  否定的な考え方を変える


 うつ病が薬で治りにくい、あるいは非常に再発が多いことから、うつ病は考え方の病ではないかという理論が有力になってきた。これは認知療法と呼ばれるが、ここではうつ病は感情の病だとは考えないのだ。風邪をひいて、鼻水が出るのは風邪の原因ではないように、深刻な感情というものがうつ病の原因ではなく結果だとするのである。
 気分が暗く、苦しく、未来に希望が見いだせないのはあなたのゆがめられた考え方の結果だとするのである。
 自己否定的な考え方は、かならずうつ状態を引き起こす。自分は駄目だという気分になるのは、あなたの否定的な考え方がその感情を生んでいるのだ。否定的な考え方、考えのゆがみがうつの根本原因だということを、これまでのうつ病の診断、治療では見逃されてきた。
 こうした考え方を点検する中に、うつ病を治す鍵が含まれていた。あなたが何かの理由でうつ状態になったとき、いつも考え方を点検してみよう。否定的な考え方があなたのうつな気分を生んでいるのだから、この考え方を変えないとうつは治らない。考え方を変えることでうつは治るのである。

 あなたが何かを感じるとき、ある感情は一瞬にして生まれるので、その感情を変えることは不可能と思われるかもしれない。しかし、いま外界で起きていることは、何も意味はないのである。あなたがそれに意味を付けていて、その結果あなたは明るくも暗くもなる。解釈の結果が感情になるのだ。
 あなたの心の思いが感情を生んだのだ。だから面白くない現象も、他の人にとっては楽しいということはある。たとえば野球。もし巨人阪神戦で、巨人が負ければ巨人ファンは面白くなく、気分が暗くなる。しかし、阪神ファンは非常に喜ばしい。野球の結果には意味がなく、それにあなたが意味を付け、その結果が感情だ。
 図に示すように、私たちは周囲の人にどのように思われているかを気にする。これが程度を越すと、悪く思われることをやたらに気にして、不安になり、じっとしていられない。自分に自信がないので、困難にぶつかったとき、対応できない。
 態度とか感情は考え方の結果であり、原因ではない。考え方が態度を生み、つらい感情を生む。だから考え方を変えないかぎり、感情、態度は変えられないのだ。

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