Movie Review 1999
◇Movie Index

キラーコンドーム('96ドイツ)-Feb 12.1999
[STORY]
ニューヨークのとあるホテルでペニスをかみ切られる事件が続発し娼婦や女子高生が逮捕される。事件を調べるためにホテルに訪れたゲイのマカロニ刑事(ウド・ザメール)はそこで知り合った男娼ビリーとともに部屋に入るが、ホテルに備え付けのコンドームが突然マカロニを襲ってきた。
監督マルティン・ヴァルツ(?)
−◇−◇−◇−
キラーコンドームかわいい〜(キャメロン・ディアスと同じ扱いかよっ)尺取虫みたいに動いたりするところがとっても可愛いし「キュッキュッ」と鳴き声まで発するのだ〜。このデザインを担当したのが『エイリアン』を担当したH・R・ギーガーで「ホントかよ〜?」と疑いたくなるけど、襲い掛かってくる時の歯並びやベトベトしたところはエイリアンを彷彿させなくもない(笑)フィギュアほしい!とちょっと思ったけど残念ながら売り切れ<そう思うと余計欲しくなるね(笑)

舞台はNYで登場人物もアメリカ人じゃなきゃいけないのにドイツ人が堂々とドイツ語を喋る。マカロニはシチリア出身らしいけどやっぱりドイツ語、アメリカ大統領候補もドイツ語で声高にアメリカについて演説(爆笑)思わず設定がアメリカということを忘れてしまう。でも何でアメリカ?!(笑)ドイツじゃダメなのか?

またオープニングタイトルが出るシーンも、マカロニとビリーのエレベーターでのラブシーンも、クライマックスに登場する地下のセットも、昔どこかで見たことあるようなそんな懐かしい作りになっている。マカロニも昔の刑事ドラマや映画で登場するようなキャラクターで、トレンチコートにタバコを燻らせつつ「故郷のシチリアは・・・」などとシチリアの風景とともに彼のセリフがかぶさってくる。それも妙におかしい。ただし彼のモノローグが多すぎるのでテンポがあんまり良くないのと、真面目にやりすぎてて大笑いはできない。ほかのキャラクターもマカロニの相棒は面白いところが1つもないし、マカロニを愛する醜いドラッグクイーンも最初は笑えたけど真剣になりすぎてて怖い。せっかく設定やキャラクターやストーリーは面白いのにそこがちょっと残念。これでは素直に「バカ映画だね〜」と言えない。そういう要素たっぷりなのに。ドイツ人だから?(笑)めっちゃ愉快なドイツ人というのも気味悪いけどね。

レイトだしあの映画館なのにほぼ満席だったから驚いた。やっぱ「タモリ倶楽部」のおかげなんだろーか(笑)
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ボクらはいつも恋してる!金枝玉葉2('96香港)-Feb 12.1999
[STORY]
前作『君さえいれば/金枝玉葉』の続編。ウィン(アニタ・ユン)は自分が本当は女だということをサム(レスリー・チャン)に告白し、晴れて2人は恋人同士となったが、同居1日目からお互いの気持ちがすれ違う。そんな時、2人の部屋の下の階にフォン(アニタ・ムイ)が引越してきた。
監督ピーター・チャン(『ラブソング』)
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パート1を見たからパート2も見よう、というのは当然の考えだと思うけど、パート1以上の作品ではないはず、というのも見る前から当然のように私は考えてしまう。先入観を持ったらいけないとは思うけど毎回ホントにそうなんだもん。で、今回もそうでした(笑)この作品に限ったことではないけれど、パート1を見た観客はパート2も見に来るだろう!という考えがあるからだろうか、作りに甘えが出てるような気がしてならない。パート1ほどの真剣さが伝わってこない。もう途中で見る気が失せてしまった。

前作よりは笑える部分がちりばめられてはいる。特に前作でブレイクした小春ちゃん(チャン・シウチョン)はレズの女の子に恋をして様々な努力をする、と出番が多いし可愛らしい。仮装パーティシーンではウディ・アレンとウーピー・ゴールドバーグのマスクをした彼らが喋ったり、オバQの着ぐるみでエリック・ツァンが出てきたり、というのも面白いけどそんな部分部分で笑いを取ってどうするんだ。前作の微妙な三角関係に「キュン」・・・とまではいかなかったけど(笑)こっちまでちょっと少女チックな幻想に囚われたあの気持ちを、この作品のどこにぶつければ良かったんでしょーか(泣)

それにしても女性客が多い!と思ったらレディースデーだったんか<前売り買ってさらに損した気分(泣)
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セントラル・ステーション('98ブラジル)-Feb 7.1999オススメ★
[STORY]
リオのセントラルステーションで字が書けない人のために手紙を代筆をしている元教師のドーラ(フェルナンダ・モンテネグロ)はある日、母子の代筆をするが、その母親が交通事故で死んでしまい、1人残された少年ジョズエは駅で寝泊まりしはじめる。見兼ねたドーラはジョズエを家に連れて帰るが、これが少年と老女の旅の始まりだった。
監督ヴァルテル・サレス(ドキュメンタリー出身)
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ブラジル映画は初めて。公開2日目とはいえ、それほど混んでないだろうと思っていたら満席でびっくりした。おまけに外国人率高かったなぁ。だいたい見る前にはあらすじをちょびっと仕入れてから見るんだけど、今回はとりあえず場所が恵比寿なのとブラジル映画って見たことないから、というそれだけの理由で行ったのだった(笑)

見始めてまず、代筆屋ってなに?忙しい人のために手紙書いてあげる仕事?・・・なんて今から思うと恥ずかしい疑問が浮かんでしまった。日本では今、文字の読み書きができる人ばかりだけれど、ブラジルではまだまだそういう人が少ないんだね。だから教師をしていたドーラのような人でないと読み書きできないし、代筆屋という仕事も仕事としてちゃんと成り立っているのだ。それは地方に行けば行くほどそうで、これが後々のストーリーにも重要になってくる。

また治安が悪くて怖い。店の物を盗んだ男が用心棒みたいな男に殺されちゃうし、電車に人々が乗るシーンがまた凄い。空の電車が入ってきてドアが開く前に、窓から人が飛び乗って座席を確保しちゃうんだもん。逞しいっつーかマネできませんなぁ。またブラジルの駅の風景、町の風景、荒野の風景、それぞれ独特で色鮮やかで、ハリウッド映画にもこういうシーンは出てくるけれどどこが違っていてとても新鮮だった。

いろんなことに驚いていると、ドーラとジョズエが出会うシーンがはじまる。このドーラが最初はけっこうヤなオバチャンだ。代筆はするけど手紙のほとんどは投函せずに家の箪笥に仕舞い込んでるし、嘘つきでジョズエを怪しい奴らに売ってしまおうとまでする。ジョズエだって小生意気で頑固なガキで何度その頬っぺたを平手打ちしたくなったことか(むかむか)こんな2人だから何度も衝突するんだけど、その分、強い絆で結ばれていく。ヤなオバチャンだったドーラが優しく可愛く変わっていくさまが特に素晴らしい。ジョズエもオーディションで選ばれたほぼ素人と思えない素直な演技で、本当にドーラに心を開いているように見えた。泣くことはなかったけれど、最後はジーンと胸が熱くなった。
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Queen Victoria 至上の恋('97イギリス)-Feb 7.1999
[STORY]
1864年イギリス。3年前に夫アルバート公を亡くしたヴィクトリア女王(ジュディ・デンチ)はまだ喪に服していて公務から遠ざかっていた。そこでアルバート公が信頼を寄せていた従僕ブラウン(ビリー・コリノー)を呼び寄せた。規則や身分をわきまえずに女王に接するブラウンに、女王は次第に心を開いていったが・・・。
監督ジョン・マッデン(『哀愁のメモワール』)
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予告だけでウルウルした映画だったけど、本編ではさらに泣いた。これぞまさしく純愛!至上の恋とはこういうもんだー!と言いたいところだけど、実はちょっと違う。原題は『Mrs.BROWN』実際2人は結婚したわけではなく、彼らの間柄を邪推して女王を指した陰口でなのである。また王室や議会などを風刺した場面ともいえるシーンがところどころ出てくるし、ラストも思わず「うぅむ」と唸るような感じ。だからこんなロマンチックすぎる邦題をつける配給会社ってやっぱりどうもなぁ、と毎回何かにつけて思う次第であります。

でも女王とブラウンの、中年の2人のプラトニックな恋にはホント泣かされた。女王と従僕でなかったら結婚して欲しい、いや、身分が違ったって結婚して欲しいと心底思った。それを邪魔する奴等には心底頭にきたけどね。ちっちゃくて太ってて頑固なオバサンという感じの女王がだんだん可愛く見えてくるから不思議だ。女王がブラウンの前で素直に笑ったり泣いたりできるのは、ブラウンが彼女を女王としてではなく1人の女性として扱うから。孤独で心から信頼できる者がいない(肉親でさえ)中で初めて感じることばかりだっただろう。威厳を保ちつつも初々しさを表現できる、こんな凄い人に言っては失礼な言葉だと思うけどやっぱりうまいです。アメリカのアカデミー賞は逃したけど(あれはアメリカ人にあげるもんだからな)本国のアカデミー賞では見事に受賞した。言っちゃなんだけどヘレン・ハントよりも・・・ごにょごにょ。

美しいイギリスの風景とお城とお部屋と調度品と、そして衣装だけでも見ていて楽しい。特に女王の水泳シーンはみものだ。水泳用の馬車が水辺までやってきて、ドアが開くと服を着てご丁寧に帽子まで被った女王が出てきてそのまま水の中にザブン!どう見たってブラウスにスカートなんだけど、こんな水着着て泳いでたのかー!とびっくりした。
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天使が見た夢('98フランス)-Feb 6.1999
[STORY]
友達を頼りに町にやってきたイザ(エロディ・ブシェーズ)は当てが外れてしまい、宿もお金もない。だが工場で出会ったマリー(ナターシャ・レニエ)の家に転がり込み、2人は気ままに暮らすようになる。しかしマリーが金持ちのクリス(グレゴワール・コラン)と付き合うようになって2人の関係がぎくしゃくしはじめる。
監督エリック・ゾンカ(長編第1作)
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上のあらすじを見ると「男の子をめぐって女2人が親友からライバルへ?!」と思うかもしれなけど違います。もともとこのクリスって子はマリーをただのつまみ食い程度にしか扱ってなくて、それがイザには見ていてよく分かっているし、マリー自身だってそれが痛いほど分かっている。イザはマリーが心配だからさんざ注意するんだけど、それでもクリスに会うのをやめないしイザに八つ当たりしてしまうのだ。

このイザがいい子なんだよ〜(オバサン口調だなぁ)最初は「あなたの家に泊めて」とか「タダでコンサート会場に入れてくれ」とか図々しいにも程があるぜ!おまけに顔のパーツが全部大きくて歯茎むき出しで笑うとヤダなぁなんて思ってたわけだ。だけどマリーの家というのが実は交通事故に遭って危篤中の母娘の家で、マリーはそこで留守を預かる身だったのだ。イザはその家の娘の日記を見つけて、そこに新たに日記をつけ、ヒマがあれば娘を見舞うようになる。娘は恋をしていたし死ぬには若すぎる。同じ女の子として彼女を助けたいと思うイザの気持ちがひしひしと伝わってくる。彼女が事故に遭うまで書き付けていた日記も、イザが書き足した日記も甘酸っぱくてなんともみずみずしい。だから映画館ではオリジナル日記帳が売られてる。確かにこの映画見ると日記が書きたくなるね。

イザのそのでっかい目からだんだん目が離せなくなって、彼女をとても好きになりました。ホント、私も友達になりたい(喫煙さえしなきゃぁな<タバコ吸うシーンばっかしでムカムカした)こんないい子に辛く当たるなんてマリーはまったく!だけど彼女の複雑な心境もよく分かるのです。
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