Movie Review 1999
◇Movie Index

ワン・ナイト・スタンド('98アメリカ)-Jan 27.1999
[STORY]
ロスでCMディレクターとして活躍しているマックス(ウェズリー・スナイプス)は、NYでHIVポジティブの親友チャーリー(ロバート・ダウニーJr)に5年ぶりに会った。そして偶然出会った人妻カレン(ナスターシャ・キンスキー)と一夜を共にしてしまう。1年後、入院したチャーリーを訪ねたマックスは、カレンがチャーリーの兄ヴァーノン(カイル・マクラクラン)の妻であると知る。
監督&脚本マイク・フィギス(『リービング・ラスベガス』)
−◇−◇−◇−
うんとネタバレしてないけど見る予定の方は読まないほうがいいかも。

NYで出会った男と女の恋、そして死にゆく友──なーんて映画と思いきや(というか途中までは確かにそうなんだけど)最後は何ていうか、いやはや・・・。今にも消えてしまいそうなはかなげなオープニングタイトルから想像できないようなラストがあなたを待っている!って大袈裟だけど脱力します。

死を連想させるオープニングから、生へと、人間の持つ強かさや豪胆さを表現しているのだろう。と、マジメぶって書いてるけどホント言うと客席が失笑するような話だったのよこれが。『リービング〜』のような映画を想像してたせいかその落差がどうにも(笑)

まぁいろんな意味であらゆるものを対比させている映画ではあった。NYの夜、暗くてボソボソ喋るカレンとの会話と官能的なベットシーン。LAでは、ひたすら喋りまくるマックスの妻ミミとの獣じみたそれとの比較。そして上に書いたように生と死とを。音楽までガラリと違えていて笑える。

出演者もちょっと個性的かもしれない。ロバート・D・JrはHIVもヤク中も病気もお似合いなのでそれは妥当だとして、きちんと演技しているスナイプスとか(普段はアクション系だからね)久しぶりにキンスキーとマクラクランを見た。フィギス監督本人もホテルマン役で出演しちゃってるし。そんでもって『リービング〜』の時以上にどーでもいいような役でジュリアン・サンズが出演してて涙を誘う。おまけにパーティーシーンで着ていたファッションがさらに脱力なのであった。おしまい。
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kino('98日本)-Jan 17.1999
[EXPLANATION]
TVCM「スコーン」「バザールでござ〜る」PSソフト「I.Q」でおなじみのCMプランナー佐藤雅彦脚本・監督の短編映画集。撮影はルーマニア、出演者もルーマニア人。タイトルの『kino』とはルーマニア語で映画のこと。『オセロ』『ホテルドミニクの謎』『小さな反抗期』『おばあさんの天気予報』『Point』『大人の領域、子供の領域』の5話構成。
−◇−◇−◇−
佐藤さんのCMは大好きなので見に行った。いつも思うのは、こんな飄々とした・・・というよりボーッとしてつまんなそうに喋る人がどーしてこんな面白いCMを考えつくんだろう?ということ。そんでもってこの短編集にも感心させられた。たぶん普通の監督(ずっとTVドラマや映画に携わってきた人)なら思い付かないだろう、また思い付いたとしてもそれは映画監督としてやろうと思わないだろうアイデアと映像を、なんの気負いもなく素直にやってるところが好きだ。

そして長編でなく短編なのもいい。CM出身だからといっていきなり長編やることない。今まで15秒に賭けてきたんだからそれでいいと思う。それに全部合わせても52分というのもいいじゃないか。こんな短編を2時間近く見せられたらやっぱり嫌になってたかも。「ああ、もうちょっと見たかったな」というこの程度がちょうどいい。

だからといって1編1編がブチブチ切れちゃうような話ではなく、ちゃんと流れとして完成されている。その中で唯一異質だと思われるのが『Point』という、ルーマニアの風景も人々も登場しない映像だ。確かにせっかく今まで「ああ、いい話だな」と思ってきたのに、いきなりこんなものを見せられて「なんだよ〜」とは思ったけれど、逆にちょっとホッとしたような。「うん。これが佐藤さんだ」と安心した。

佐藤さんらしいといえば『オセロ』だろう。妙な間とマジメなおかしみは「ドンタコス」に通じるものがある。でも私の1番は『ホテルドミニクの謎』これはいい!大好き。言いたいけど言っちゃうとつまらないので言わない(笑)でも私もあのホテルに行ったらやっちゃうかもしれない。というよりあそこに泊まりたい!
ほかの話もほんわかしてていいなぁ〜とは思うけど、私としてはもう少しヒネリや毒やオチが効いてる話にしてほしかった。ちょっと自己満足入ってるしね。
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スネーク・アイズ('98アメリカ)-Jan 1.1999
[STORY]
カジノホテルが併設されているスタジアムで、ボクシングの試合中に国防長官が殺された。試合を観戦していた刑事サントロ(ニコラス・ケイジ)は長官の護衛をしていた友人ダン(ゲイリー・シニーズ)に協力して捜査を進めるが・・・。
監督ブライアン・デ・パルマ(『ミッション・インポッシブル』)
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意図してかどうか知らないけど3本目も刑事モノ。3本ともに違ったタイプの映画だったのでそれなりに楽しめたけど、この映画に関して言えば1時間39分という短さにもかかわらず長く感じたし、だんだんタルくなっちゃう映画だった。完徹で3本目ということもあって集中力も欠如してたけどね。だからウリの1つであるエンドクレジット後の謎に関しても答えが出せず。あとでチラシを見るとちゃんとそれについての説明があるじゃないか。せめてこれさえ前もって読んでおけば・・・と後悔している。でも公開されてももう1回見ようとは思わないので、ビデオが出たらチェックしてみるつもり。

もう1つのウリ「13分間ノーカット撮影」についても、確かにあれだけの大きな会場であれだけのエキストラがいて役者がいて、さらにセリフや殴り合いやら試合やらがあって、撮影するのに何度もリハーサルしたりして大変だったと思う。だけどそのノーカット撮影に意味があったんでしょーか?(笑)終わってみて「ああ、あれがノンストップだったところか」と思う程度。同じようにチラシを見返して「え?音楽は坂本龍一だったんだ」と初めて気付く。どんな音楽だったか思い出そうとしてもさっぱり思い出せず。いくら寝てなくたってそれくらい分からないわけがない。つまり印象に残ってなかったということだ。実は音楽よりも歓声や嵐の音のほうが強かった所為もあるだろう。

でも映像はいい。ホテルの部屋を上から映すシーンや、ケイジ中心だったカメラがいきなり別の人物の視点で捉えて撮影されてる箇所なんか面白かった。

今回のケイジは汚職刑事役。妻子もいるけど愛人もいて、麻薬は取り締まるけど自分で着服もしちゃうしょうもない男だ。天使の役や(笑)正義に燃えまくる男よりこっちのほうが好きだし、事件を解決したからといってヒーローにならないところもいい。でも解決しようとせずにそのままきったない男でいて欲しいとも思った(笑)
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交渉人('98アメリカ)-Jan 1.1999オススメ★
[STORY]
シカゴ警察東地区交渉人ローマン(サミュエル・L・ジャクソン)の相棒が殺された。そして自宅からは大金の入金書類が・・・。ハメられたと思ったローマンはビルに立て篭もり、西地区交渉人セイビアン(ケビン・スペイシー)を交渉人として指名する。
監督F・ゲイリー・グレイ(『セット・イット・オフ』)
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2本目は新年明けてから。これは2時間17分の長丁場だったんだけど、飽きなかったし眠気も吹っ飛んだし何しろスペイシーがカッコ良過ぎ!!(萌)チェックのシャツに防弾チョッキがお似合いですぅ〜。家族持ちっつーのが妙にウソ臭く見えるのもいい〜!(ぉ S・L・ジャクソンから比べると出番が少なかったのがちょっと残念だったけど、でもでもステキー!キャー!(はなぢ)

・・・さて。交渉人、ネゴシエーターというのは以前エディ・マーフィーの映画でもあった作品だけど(実は原題は同じだ)犯人と駆け引きをする人のことだ。もちろん警察官ではあるんだけど。そのプロが犯人として警察に挑んでくる。ことごとく警察の裏をかく作戦を取る、これが面白い。

まぁよく考えれば穴はボコボコ空いてる映画ではある。警察の年金盗んだだけで殺人を犯しちゃったりというのが説得力に欠けるし、内務調査官役だったJ・T・ウォルシュ(ご冥福をお祈りします)のポジションというのもいまいち分かり難い。怪しい人物はこれまた5分も立たずに分かっちゃうんだけど、本当に悪い奴だったり単に職務に忠実な人だったり意味ありげな視線を飛ばしまくっててあとで考えるとけっこうそれが笑えたりもする。さらに欲を言えばもっとローマンとセイビアンの戦いが見たかった(途中で他の警察官達の邪魔が入ってこれがけっこうウザい)でもそんなことを考えたのは映画が終わってしばらく経ってからのことで、見ている間にはそんなこと考えもしなかったし、終わった直後もかなり興奮していた(スペイシーがカッコ良すぎた所為もあるですもちろん(笑))

監督もまだ若い人らしいし、その勢いっていうのがこっちにガツッ!ぶつかってくる感じがした。
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ラッシュアワー('98アメリカ)-Jan 1.1999
[STORY]
中国領事の娘が誘拐された。領事は香港の刑事リー(ジャッキー・チェン)を呼び寄せるが、彼に邪魔されたくないFBIはロス警察の刑事カーター(クリス・タッカー)にリーのお守りをさせようとする。しかしリーもカーターもFBIの言うことを聞かず事件に深く係わっていく。
監督ブレット・ラトナー(『ランナウェイ』)
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「カウントダウン映画でお正月」に行ってきた。正確にはこの映画は0時前に見たので98年版に入るんだけど、メンドイので99年とさせていただく。今年公開だしね。

短くて軽くて見やすい映画。それにしてもジャッキーってやっぱスゴイや。全盛期から比べたら身体のキレが良くないみたいだけど、それでもびっくりするようなアクションをやってくれる。動きのテンポが良くて華やかで見栄えがする。これを見ちゃうとハリウッドのアクションがいかに一本調子でニセモノくさいか良く分かる。ズキューンドカーンと壊しまくるだけだからね。

その分、喋りでカバーするのがタッカーだ。妙にカン高い声は思わず画面から目も耳も離せなくなっちゃう。エディ・マーフィーやウィル・スミスなど、調子のいい黒人刑事というのが定番になってるけど、その中でもこの声と喋りは1番目立つ。そんな彼にジャッキーも調子を合わせてすごいいいコンビになっていて、見ていて飽きないし面白い。ストーリーは始まって5分もしないうちに悪役が分かっちゃうような単純なものだし、せっかく時限爆弾が仕掛けられても(←ヘンだなこの表現)それを外す緊張感がないけど、そういうところを見せる映画じゃないからOKだ。だけど予告で面白いところを流し過ぎてて「ダメじゃん!」と思った。もっと出し惜しみしてくれ。エンディングロールでNG集が流れるところがジャッキー映画っぽくて面白い。撮影現場も楽しそう。
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