今回の合宿の目標は、まず一つに記紀万葉の故地に臨み、卒論で扱う各自の作品への愛着を醸成するところにあった。『古事記』や『風土記』『日本霊異記』そして万葉の歌々を作り、編み、読んだ人々が生活した山が、河が、風がそこにある。今は一面の田圃あるいは近代建築の林立を見ようとも、まぎれもない記紀万葉の空間がそこにある。われわれの環境と作品の環境とは切断されてはいない。現地に立つことで両者の間をリンクさせられたか。各自、取り溜めた写真などを見ながら自問してほしい。あらてめて作品に臨んだとき、平城の、明日香の景色が眼前に浮かべば幸いである。
目標の二つ目は卒業論文の中間発表であったが、これは皆順調であったので安心した。横道邪道の安直にそれることなく迂遠な王道を倦まず弛まず歩み続ける姿勢は崩さないでもらいたい。惜しむらくは、各自がテーマを深めてゆく中に、発表にあたっての相互理解が困難になったのか、発表に対する質疑が低調であったことである(もちろん、疲れもあっただろうけどね)。だが、これからますます作業を進めてゆく中で、上代文学全般への理解を広げ、論理構成を身につけることで、再びかつてのように発言がにぎやかになってゆくことだろうと信じている。おそらくは記紀万葉の故地に臨み、またさまざまな人と出会う中で、勉強不足を感じたであろうから。不足分は補うように。
目標の三つ目はゼミの親睦を深めることにあったが、この点は満点以上を与えたい。もとより協調性と実行力において底力を発揮するメンバーであることは承知していたが、今回のいくつかのアクシデントに直面してのチームワークについては、個人個人の的確な自発的職務分担、発言と行動、指導力の発揮については見事であった。急展開する場面場面の中で、交代で適格者が指導者の位置につき一丸となって対処してゆく姿は美しかった。集団指導体制を敷く0A六條院の面目躍如である。この呼吸を大切にしてもらいたい。
なお、欠席者にメッセージ。以上のように合宿には数々の目標があるんだから遠慮はいらない。もっと甘えていい。次は君の歌声を聞かせておくれ。10日の2限は通学時間的に無理としても秋セメがはじまったら、そのままでいいから来いよ〜。
最後に、愛車にまたがり脚力にものいわせ明日香を縦横無尽に駆けてみんなのために尽くしてくれた六條院お庭番の彼には、特別に
盛り上げ大賞
を謹呈したい。今回の旅では、最後まで活力を与え続けてくれた。ありがとう。次のイベントでの活躍を期待している。ついでにシッキーにも
カラオケキング
の称をさずけましょう。
そして…
銭長、生活向上委員会、企画開発部ほか、全員に金メダル。
Special Thanks to
万葉古代学研究所主任 松田信彦先生
万葉文化館の案内に加え、ゼミ生への特別指導、帰り道の案内まで賜りました。感謝申し上げます。
9月1日夜 | 横浜(本郷車庫)発奈良行夜行バスに三々五々集合。 | |
9月2日 快晴。 気温35度以上 |
午前中:平城京外京探索 午 後 :平城宮・西ノ京探索(炎天のため中止) 夜 :中間発表会(シッキー・マサコ・スーサン・カズト) |
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9月3日 快晴 気温35度以上 |
午前中:藤原宮サイクリング 午 後 :中間発表会(フジコ・エミ・イケチョン・サティ・ヤマキ・ウミ) 夜 :懇親会 |
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9月4日 晴 気温35度以上 |
午前中:飛鳥京探索・万葉文化館見学 午 後 :奈良国立博物館見学 夜 :打ち上げ |
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9月5日早朝 | 奈良発横浜行夜行バスにて流れ解散。 |
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詳細は合宿アルバム(ダイジェスト)にて
六條院之民、遊於故京之時、惟光作歌一首并短歌 青丹よし 奈良の宮 飛ぶ鳥の 明日香の里に 来しわれ等 六條の民 炎天の 日に照らされて 灼熱の 野辺を行けども それが手を あひたづさへ やさしさを あひかたらひ かずかずの 苦しみをさへ もろともに こえ行きしかば 人の道の 行きの長手 行く道の 末のはしばし いかやうに 山高くとも いかさまに 川広くとも 越ゆること 難くはあらじと 信じてゆかむ 時ともにすれば 反 歌 この道の 行きの長手に 行くすべを 学びてぞある 六條の民 |
日溜君和歌一首 旅行かむ 荒波高き 憂き世行け かなはぬ潮に 今は漕ぎ出でな |