粋狂いな人々・弐式

スーパーロボット大戦・涅槃U

スーパールート 第参話 『敵を知らず、己も知らず』 中編


第参話 『敵を知らず、己も知らず』 中編


 診断が終了した。結果はバジュラからのV型感染はないと言うことだった。コクウは取りあえず安堵し、病室を出る。直ぐに退院するための手続きを取ることになるのだが、コクウが病室から出てくるのを待ちわびている人物がいた。キャサリン・グラス。大統領令嬢その人が待っていた。
コクウ「わざわざ大統領令嬢をお待たせするとは、失礼いたしました」
 皮肉をたっぷり込めてコクウはぺこりと頭を下げる。この皮肉にキャシーの眉間がピクピク動くがコクウが怒る様子を見て楽しむと言う悪趣味な性格をしていることをキャシーは知っていた。
キャシー「あなたを尋問に来ました。コクウ・ブラック。調書を取らせて頂きます」
 と言うキャシーにコクウは先ほどとはまったく違う理路整然とその言葉に答える。
コクウ「フロンティア政府とニルヴァーナとの間での停泊条件にそんな項目はありませんでした。こちらがそちらに尋問される必要はないと考えます」
キャシー「・・・・・・・・・その通りね」
 その通りだった。戦闘記録は提出されているし、敵データの引渡しも終了している。よって、コクウが尋問を受ける必要性はないのだ。それは向こうも理解しているはずだった。
コクウ「尋問なんて言うから拒否られるんだよ。これから予定もあるが、古い友人からの質問としてなら受けてやるよ?」
キャシー「・・・・・・・・・友人。もう友人じゃないかもしれないわよ? オズマとは・・・・・・・・・終わってるもの」
コクウ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうかい。あの甲斐性なしが。・・・・・・・・・まぁいいよ。悪いことを言った侘びだ。キャシー、あんたのことだ。俺がバジュラに対して何か感じてないか、それを無理しても聞きたかったんだろ?」
キャシー「お見通しって訳ね」
コクウ「お前は昔っからわかり易いからな」
キャシー「そういう物言い、何も変わっていないわね」
コクウ「悪かったな。答えてやるって言ってるんだ。さっさと聞けよ」
 診察室の横にある小会議室に2人が入っていく。あらかじめキャシーが許可を取っていたのだろう。対面して2人が座る。
キャシー「バジュラ、あれの正体を私たちフロンティア政府はまだ理解していないわ。兵器なのか生物なのか、それともそれ以外の何かなのか。癪だけどもあなたは非常に優れた兵士よ。私がS.M.S.にスカウトしたほどにね。そんなあなたの意見が知りたいの。人よりもそういう感覚的なものに優れたあなたに」
コクウ「ったく、古い話を持ち出しやがって。・・・・・・・・・単刀直入に言えば、あれは生物だ。兵器じゃない。断言できる」
キャシー「! 何故そう思うの?」
コクウ「非常に微弱だが意思がある。奴らは守るために戦っていた。逆説的だが、もしも兵器ならV型感染症だっけか? こんなまどろっこしい方法にはならないだろ? 接触した奴は全部死ぬ。そうでないと兵器としてはおかしい。掛かるかどうかもわからない細菌を兵器に持たせるか? それが生物である証拠みたいなものだ」
キャシー「けど、あなたは今断言すると言ったわ。それでは断言にならないんじゃない?」
コクウ「まぁな。・・・・・・・・・生態的に俺たちは奴らを把握していない。だがら、説明が難しいんだが到達点のような目的が感じられた。えらい微弱だったが」
キャシー「目的?」
コクウ「説明が難しいんだよ。感覚的で。・・・・・・・・・ああーー、奴らの意思や目的っていうものは伝染するのかもしれないな。そのくらい薄いんだ。しかし、間違いなくある」
キャシー「説明になってないわ。バジュラは一体何が目的なの?」
コクウ「知らねーよ。俺は感覚的なものを大事にはするがエスパーじゃない。・・・・・・・・・これ以上の明言は無理だ。だが、奴らがニルヴァーナを襲いはしたがあくまで牽制的な意味合いが強い攻め方だった。その点は刈り取りとは違う。明らかにマクロスに焦点を当てている。なら、フロンティアに何かあるんじゃないのか? 奴らの目的が」
キャシー「・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかったわ」
コクウ「悪いな。参考にならなくて」
キャシー「それほど期待していたわけじゃないわ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・それよりも、もう一度考えてくれない? 新統合軍じゃなくても良いわ。S.M.S.でも構わない。フロンティアで働くつもりはない? それなりの地位は用意するわ」
コクウ「・・・・・・・・・悪い」
キャシー「そう。・・・・・・・・・これで終了します。ご協力感謝します。コクウ・ブラックさん」
 キャシーが礼儀正しく敬礼をする。このキャサリン・グラスという女性は決して悪人ではない。大統領令嬢という狭間で不器用にあがいているのだ。それをコクウは知っていた。自分の進むべき道に漠然とした迷いがある。それをコクウは敏感に感じ取っていた。会議室から出て行こうとするキャシーをコクウは呼び止める。
コクウ「キャシー」
キャシー「? 何?」
コクウ「世の中には馬鹿が多すぎる。オズマも大馬鹿だ」
キャシー「何を言うの?」
コクウ「だけども、奴の友人としてこれだけは言うぞ。・・・・・・・・・奴はお前を大切に思っていた。馬鹿なりにな。あいつは不器用だから口に出来ずにお前に甘えていただけだ」
キャシー「! なんのつもり!?」
 ここでコクウは口をつぐむ。これ以上は衝突になると判断したからだ。
コクウ「別に。・・・・・・・・・呼び止めて悪かったな」
 そして、キャシーは多少ご立腹で会議室を後にする。その後姿をコクウは見つめながら一言だけ呟いた。
コクウ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・この不器用共め」


 検査後の日程としてはコクウはニルヴァーナ員と合流。夜はランカの強い奨めでリーリと一緒にリー家で夕食をいただくことになっていた。コクウにとってはなつかしの我が家みたいなものだろう。晩の食事よりも若干速くリー兄妹の家に参じて、玄関から中に入り、なぜか突然コクウが料理を作る羽目になったりとか、コクウとオズマが非常に些細なことで口論になったりとか、まぁ充実した時間だったろう。
 次の日はコクウはニルヴァーナのクルーを連れての案内。その次の日が停泊期限なため、コクウは1人でフロンティア内を散策していた。恐らく見納めになるだろうと黄昏ながらの散策だったのだが。軽やかだった足取りが突然ピタリと止まる。
コクウ「! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・血生臭い」
 コクウはとっさに小走りで眺めの良い場所に移動。だんだんと血臭がひどくなる。そして、風上の方向へと目を凝らす。その方向にいた。
人間を食い殺している何か。・・・・・・・・・見たことはない。体積的には人の二倍程度の明らかに見たことのない生物が。だが、直感的に理解できた。それがバジュラではないかと言うことに。すぐにコクウは手元の通信機でオズマに連絡を入れる。
コクウ「オズマ、出ろ! オズマ!!」
 コクウは滅多にあわてない。滅多に声を荒げたりはしない。そんなコクウの怒鳴り声だけでオズマは何かしらの重大さには気づいたのだろう。
オズマ『どうした?』
コクウ「フロンティア内に小型のバジュラが侵入しているぞ! 人を食い殺している!」
オズマ『!! 何だって!?』
コクウ「場所は美星学園近くだ。緊急配備を急がせろ! それと、ニルヴァーナに伝言頼めるか?」
オズマ『言え』
コクウ「至急フロンティアからニルヴァーナを切り離せと伝えてくれ」
 この言葉の意味をオズマだからこそ敏感に感じ取っていた。
オズマ『・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかった。で、お前はどうするんだ?』
コクウ「学校があるんだぞ!! 生徒を探して出来る限り避難させる!」
オズマ『止せ!! 直ぐに軍が動き出す』
コクウ「言ってる場合か!!」
 言ったら聞かないのは双方同じだ。ならば、近い場所にいるコクウのほうが有利だった。コクウは通信を切って高台の柵を飛び越えた。
 武器は簡単に手に入った。戦っていた兵士が使っていたアサルトガンが簡単に手に入った。コクウ自身、それは使ったことがないはずだった。触るのも初めてのはずだった。だが、使えた。体が覚えていた。これ以外の形容はない。チェンバーを確認して安全装置をチェック。死体からマガジンを取ってパンツに捻りこんだ。

 女子生徒のまん前にバジュラが迫っていた。小型では根が生えている。恐らく飛ぶだろう。真横からコクウはトリガーを引いた。そこに躊躇いなどはない。弾丸の嵐を受けたことでバジュラの動きがひるんだ。そして、その隙にコクウはその女子生徒とバジュラの間に入るようば位置に立った。だが、そのころにはバジュラは息絶えていたのだが。
 周囲を警戒しながら、女子生徒に向き直ることなく尋ねる。
コクウ「学校にはまだ生徒が残っているのか?」
女子生徒「え・・・・・・・・・あ・・・・・・・・・っと」
 現状を理解できていないのか恐怖のあまりに現状を理解できていない。どちらにしても支障がある。幸運なことに周囲にバジュラの気配はない。コクウはその目の前の女子生徒を腕に抱えるとある程度視界が限定的な場所へとその女子生徒を運んだ。その際に何か言っていたが完全に無視をしてだ。
 走りこみ、その女子生徒を下ろしてから今度は強くたずねる。
コクウ「頼む。答えてくれ。まだ生徒はいるのか?」
 怒鳴ることは怯えさせるからしない。だが、肩を強く握って体を揺らしての質問だ。
女子生徒「え・・・・・・・・・私が・・・・・・・・・多分最後です。もうとっくに下校時間は過ぎてますから」
 その言葉を聴いてコクウは安堵のため息を漏らす。さすがのコクウでもバジュラのいる中の行軍は神経を使う。
コクウ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうか。なら、逃げるぞ。・・・・・・・・・君、名前は?」
ナナセ「ナナセです。松浦ナナセ」
コクウ「俺はコクウ・ブラック。じゃ、ナナセ走れるか?」
ナナセ「はい」
コクウ「この際だ。S.M.S.の施設にお世話になろう。・・・・・・・・・ちょっと待て」
 コクウは端末を使って施設の一覧表からS.M.S.の項目を確認する。安全な場所。最低でも武器がある場所に行かなくてはいけない。しかも、素人をつれての行軍になる。そう考えている最中だった。歌が聞こえる。
『アイモ』
 その歌を聴いてコクウとナナセの言葉がハモる。
コクウ・ナナセ「「ランカ(さん)」」
 異口同音。そして、コクウとナナセは多少の驚きを見せて見詰め合ってしまう。
コクウ「ランカの級友か何かか?」
ナナセ「あ、はい。ランカさんとは仲が良くって。・・・・・・・・・コクウさんも?」
コクウ「ああ。ま、本チャンのではないが兄貴分みたいなもんだ。昔から知ってる。・・・・・・・・・でも、ちょっとやる気が出てきたな。あいつの友人なら守り甲斐がある」
 かくゆうナナセもランカの知り合いと言うことで多少落ち着きを取り戻したようだった。
ナナセ「よ、よろしくお願いします。あの、S.M.S.の人ですか?」
コクウ「違うな。でもまぁ、そんな話は後にしようか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・蟲さん、おいでなすったようだからな。よく聞けナナセ、左の道を進むぞ。バジュラの来た方向から向こうに行くのは自殺行為だ。俺が走れと言ったら全速力で走るんだぞ」
ナナセ「わかりました」
コクウ「よし走るぞ!」
 同行人と共に、コクウはS.M.S.の施設目指して市街地に向かって走り出した。
 正直予想以上のバジュラの大群だ。一匹見れば十匹いるなどと言う話など目じゃない。通報する必要性などはなかったかもしれないと思えるほどの大群が街の人間を襲っていた。どういう訳か、ランカの歌が流れてから敵の気性が変化したような気がする。ナナセも唖然となって行動をとめたりもするが、コクウはなぜかいつも以上に冷静に頭が回っていた。相手の方向性と確実に敵のいる箇所。見えてなくてもそれが見える感覚。それらを駆使してバジュラをやり過ごしていた。岩陰にナナセを押し込めるように発砲していると別の方向からも発砲音が聞こえて、しきりにそれがこちらに寄ってくる。やってきたのは6人の学生と子供だった。大体が見知った顔だ。
アルト「あ、あんた!」
コクウ「! アルトか! それにランカ!」
ランカ「良かった・・・・・・・・・。コクウさん無事だった」
コクウ「俺がそう簡単に死ぬかよ」
シェリル「ゴキブリ並みの生命力って奴ね」
コクウ「アイドルがその例えは問題になるんじゃないか、シェリル?」
ミシェル「どこから来たんです?」
コクウ「美星学園から」
クラン「美星学園から!? 良くもまぁ無事でいられたものだ。冗談抜きでゴキブリ並みの生命力かも知れんな」
ルカ「あ、あの! 美星学園で女の子を見ませんでしたか!? 眼鏡をかけた。まだ残っていたはずなんです!」
コクウ「? ナナセか?」
ルカ「知っているんですか!?」
コクウ「知っているも何も、俺の後ろに」
 そういってコクウは力を緩める。まるで満員電車に乗っていたかのように疲弊したナナセがコクウの背中から出てきた。ランカが目の前にいても声も出せないくらいに苦しかったのだろう。肩で息をしている。
ルカ「ナナセさん!!」
ナナセ「・・・・・・・・・! みんな! ランカさんも」
ランカ「ナナちゃん! コクウさんに助けて貰ったの?」
ナナセ「はい」
ランカ「ありがとうコクウさん」
コクウ「構わん。助けた生徒がお前の友人だったってだけの話だ」
ルカ「あ、あの!」
コクウ「ん?」
ルカ「ナナセさんを助けて貰ったこともあるんですけど、僕もあなたに助けて貰ったんです。バジュラ母艦の中で。あ、申し送れました。僕はルカ・アンジェローニといいます。本当にありがとうございました」
コクウ「ああ! あのときの! 気にすんな、ただ、貸し1つだ。気が向いたら返してくれればいい」
 どうにもこうにも有無を言わさない凄みがあるコクウだった。そんなコクウは所帯が増えたということで相談に入る。と言っても基本方針に変更はないみたいだが。
コクウ「此処で会ったという事は、目的地は同じか」
 アルトを見てこんな状況下で不敵にもコクウは笑う。その大胆さが頼もしくもあった。
アルト「ああ。S.M.S.の施設に」
コクウ「俺も間借りしようと思っていたところだ。共同戦線ってことで支障ないな?」
クラン「勿論だ。よろしくの頼む」
コクウ「じゃ、急ぐか」
 そう言ってからコクウは周囲を見渡す。蟲が郡をなして飛び回っている。これだけのバジュラを相手に出来るような装備は持ち合わせていない。戦うにしても逃げるにしても相応の装備が必要だった。空を見ればコクウも虚勢を貼っている余裕がないということを思い知らされる。
コクウ「俺が殿をやる。先頭はアルトとミシェルだ。ルカはみんなに張り付いて体張って守ってくれ。残弾には注意しろよ。用意ができれば一気に行くぞ! さぁ! 走れ! 走れ!! 走れ!!!」
 子供たちの引率にコクウは打ってつけだった。


 残弾が心もとなくなってきたころだ。ようやく、S.M.S.の施設に到着した。ルカが施設を開錠させようと四苦八苦している様子だった。それをコクウたちが守っている。後方を任せたクランがやきもきしながらルカにたずねる。
クラン「ルカ! 使用可能な武器は!?」
ルカ「はい! データによれば略式EX-ギアとバルキリー用の兵装が幾つか。ですが、最大の問題があります」
クラン「何だ!」
ルカ「ここの扉! 緊急用のコードが使用付加です。他は正常稼動していますから恐らく認識プログラムの誤作動です」
クラン「何とかしろ!」
ルカ「・・・・・・・・・さすがに用具がなければ」
ランカ「・・・・・・・・・コクウさんなら」
 それを聞いたコクウが撃ち尽くした銃を捨てて後ろに駆けてくる。そして、前置きなしでルカにたずねた。
コクウ「この扉を破ればいいんだな?」
ルカ「はい。ですが、戦艦の外装並みの厚さがあります。バルキリーなら兎も角人間じゃ」
コクウ「内装ならブチ破れるんだけどな」
 それを受けたからと言うわけではないが、コクウはコンコンとその遮蔽板を叩いた。その音を聞いてからコクウが渋い顔をする。
ランカ「ダメですか?」
コクウ「ああ。いくら俺でもこれは無理だ」
シェリル「役に立たない男ね」
 だが、シェリルの小言など今は無視だ。
コクウ「せめて時間稼ぎはしなくちゃダメだ。ここを破壊するくらいの物がある武器庫くらいはないのか?」
 そう言われてルカが直ぐに調べた。
ルカ「ダメです。ここにあるのは刀剣類といった前世代の代物やあっても銃の弾薬がいいところですね」
コクウ「・・・・・・・・・刀剣類? 刀剣類があるのか?」
ルカ「? はい」
コクウ「どこだ?」
ルカ「横の部屋に」
 言われるや否や、コクウはその扉を開く。確かになぜか西東の洋を問わずに刀剣類が並んでいた。コクウはそれを一瞥してから一本を手に取る。それは反りのある片刃の剣、刀だった。それを持って全員に少し下がるように指示を出した。
シェリル「馬鹿らしい。そんな骨董品で何が出来るって言うのよ」
コクウ「さぁな。だが、どうにもこれを取らずにいられなかった。ダメ元だけどもな!!」
 その声にあわせて一閃。隔壁にその刀の徹った跡がくっきりと示されていた。さすがにこれを見せられたはシェリルと言えども黙るしかない。続けざまに二閃、三閃。三角形の跡が出来てしまう。その三角形の真ん中をコクウは乱暴にけった。するとその三角形の遮蔽板が向こう側に落ちて人一人余裕で通れる穴が出来てしまった。
コクウ「人間ってやれば出来るもんだな」
ランカ「コクウさんすっごい!!」
 恐らく、ランカはこういうコクウの行動に慣れているのだろう。驚きはしても黙ったりはしない。この後継を目の当たりにした人間の反応は以下のとおりだ。
ルカ「・・・・・・・・・うそだぁ」
ナナセ「あ、・・・・・・・・・はははははは」
クラン「ゼントラーディでもこの遮蔽版は破れぬと言うのに・・・・・・・・・」
シェリル「・・・・・・・・・概ね人間じゃないわね」
 ナナセの乾いた笑いが響くのだが。それをコクウは完全に無視をしてルカに向き直る。
コクウ「ルカ、この刀、拝借してもいいと思うか?」
ルカ「問題ないと思いますよ。非常事態ですし、登録されているくらいですから」
コクウ「なら持って行くか。有効利用できそうだし」
ルカ「いざとなったらそれでバジュラと戦ってくださいね」
 ルカからこれは洒落のつもりだった。当然ナナセもランカもそう思っていただろう。だが、コクウはその刀を見つめてから
コクウ「・・・・・・・・・おう! 任しとけ」
 と返してしまう。あっさりと答えが返ってきたことに、急にルカは不安になった。
ルカ「え、ええっ!? ちょっとコクウさん!? 冗談ですよ?」
コクウ「へ? 冗談だったのか? 出来ると思うけどなぁ」
 コクウのこの化け物ぶりに誰しもがコクウへの認識を若干改めることになる。




スーパールート 第参話『敵を知らず、己も知らず』 後編へ

スーパーロボット大戦・涅槃U Index