差し出された“それ”は、薄いピンク色の包装紙に細い赤のリボンが巻きついていた。
「エイリーク様、大変遅くなって申し訳ありませんが・・・結婚おめでとうございます」
「アメリア・・・」
むさ苦しい騎士たちの中で常に笑顔で周りを明るくしている少女は、今もエイリークにとびきりの笑顔を向けていた。







「ゼト、お隣宜しいですか?」
「はい、どうぞ」
夕食を済ませ、侍女を帰せば二人だけの時間の始まりだ。
エイリークはゼトに許可を得てから、ゼトが座っているソファに腰掛けた。
この家は無駄に広い。
そのため二人が並ぶとその家は余計広く感じられた。
エイリークもせっかく広いのだから悠々と使うべきだとは思うが、どんなに広くても二人で並んでいたいと思ってしまう。
そんな自分に苦笑いしつつ、エイリークはゼトの前にティーカップを置いた。
紅茶独特のいい香りがリビングを満たす。
「良い香りですね」
「えぇ、本当に。今日ターナから贈られて来たんです。」
一口口に含むと、どっと一日の疲れが癒されたような気がした。
ゼトはソファに背を預け、ちらりと視線をエイリークへ移すと、エイリークの膝の上に置かれた可愛らしい包みが目に入った。
「エイリーク、それは?」
「あ、そうでした!」
思い出したように声を上げたエイリークは手に持っていたティーカップを机に戻し、替わって膝の上の包みを手にとった。
「今日・・・コレをアメリアから頂いたんです。」
「アメリアから?」
「はい・・・。アメリアと、ユアンと、ロスからだそうです。」
“あの戦い”が終り、アメリアはフランツに付いて来、ルネス騎士団の一員となった。
ユアンはサレフの元で修行、ロスは旅に、と皆ばらばらになってしまったが、それでも年齢が近かったせいもあるのか、三人はいまだ連絡を取り合っているという。
この贈り物も、先日三人で買いに行ったと言っていた。
「結婚祝にと言うことなんでゼトと一緒にあけようと思って・・・」
「そうですか・・・。あのアメリアが・・・彼女は今日も頑張っていましたよ。」
結婚祝といっても二人が結婚して既に月二つ分の時が過ぎようとしていた。
そう考えると、確かに遅い贈り物ではあるのだが、エイリークはアメリアたちの気持ちがただただ嬉しかった。
破けないようにそっと包装を解いていくと、そこから出てきたのは・・・・
「あっ・・・」
「これは・・・」
可愛らしい真っ白なベビー服だった。
それは至って普通の庶民が着るような者で、エイリークが着ていたものと比べてしまえば本当にみすぼらしい物だ。
が、生地の手触りはとても心地よく、シンプルなデザインはとても魅力的だった。
「可愛いですね・・・」
ベビー服を手にとっていたエイリークは顔を真っ赤にした。
ゼトと自分の間に子どもが・・・
夫婦なのだから、それは当たり前のことだとはわかっているが、やはりどこか気恥ずかしい。
「ア、アメリアも気が早いですね・・・」
「そうですか?」
「え?」
ゼトの返事に驚いて、勢いよく振り向いてしまった。
「私はエイリークとの子どもだったらいつできても構いませし、嬉しいですがね」
「!!!!」
先程とは比べ物にならないくらいに顔を赤くしたエイリークを見て、ゼトは柔らかい笑みを浮かべた。
優しくベビー服を取り上げ、それを机の上に置き、あいたエイリークの手に自らの手を重ねた。
「ゼ・・・」
名前を呼ぶ前に唇を奪われ、エイリークは目を見開いた。
「ぁ・・・・ゼト・・・」
「エイリーク・・・・」
二度目のキスは目を瞑り、ただただゼトを受け入れた。










「あ・・・・っ」
首筋をきつく吸われ、肩が小さく跳ねた。
白い肌に映える赤い所有印。
どこか心の奥底にある征服欲が満たされる感じがして、ゼトは再びエイリークの胸元に吸い付いた。
小ぶりな乳房に手を落とすと、エイリークは身体を震わせる。
それと同時に大き目のベットがぎしりと鳴いた。
「エイリーク」
「ゼト・・・ゼトは子どもが欲しいのですか?」
「そうですねぇ・・・」
純白の下着の上から優しく胸を揉むと、エイリークの口からは熱っぽい吐息が漏れる。
「エイリークは・・・欲しくないのですか?」
貴方の子です、可愛い子だと思いますよ。と、ゼトが額にキスを落とすと、エイリークはシーツを掴んでいた手をゼトの首へ回した。
「それは・・・その、ゼトとの子どもでしたらいつかは欲しいと思っています。でも・・・」
「でも?」
「もうしばらくは誰にも邪魔されず、二人でいたいのです」
それが例え自分と愛しい人の子どもであっても。
頬をほんのり朱に染め、瞳を潤ませながら見つめてくるエイリークを見て、ゼトは一瞬動きが止まった。
どうしようもなく、愛しい。
「?!ふぁっ・・ん・・・・・ぁ」
口内を侵される感覚に、エイリークはされるがままに流されていた。
ようやく開放されると、口の端からは飲みきれなかった唾液がだらしなく流れている。
ゼトはそれを指で拭うと、まるで見せ付けるかのように自らの口に含んだ。
そんな卑猥な光景に耐え切れず、エイリークは顔を赤らめ目をそらした。
「ゼト・・・・そのようなことはしないで下さい・・・」
「どうしてですか?」
「は、恥ずかしいです・・・」
夫婦となって幾度となく繰り返した行為だというのに、一向に慣れない様子がまた可愛らしい。
下着を器用に剥ぎ、胸があらわになるとエイリークは堅く目を閉じた。
「あまり強く瞑ってはいけません」
ちゅっと音を立ててキスされたのは唇ではなく胸の小さな突起だった。
「あっ・・・!」
突然の刺激に、エイリークは目を見開いた。
「あ、ぁ、ぁ・・・っ・・」
一方は口で、一方は指先でやわやわと与えられる刺激のため、自分の意志とは関係なく発せられる嬌声が寝室に響いた。
そのうち胸の位置にあった手は下へ下へと進み、細い腰を撫でていた。
「貴方は本当に怖い人です・・・・」
「・・ゼ、ト・・・?」
「歯止めが利かなくなってしまう」
「ぇ、あっ」
手は何時の間にか・・・・
「ふ、ん・・・ぁ、あ、そこは、だ、ダメで・・・」
「何がダメなんですか?」
中指の腹でやんわりと撫でてやると、そこは下着の上からでもはっきりと分かるくらいしっとりと濡れていた。
溜まらず下着を脱がすと、エイリークは身体を震わせた。
蕾はいとも簡単にゼトの指を飲み込む。
「あぁ・・・っ!」
二本、三本と徐々に増やされた指でそこをかき混ぜるようにすると、そこから発せられる水音がゼトを更に煽った。
「エイリーク・・・」
「ゃ・・・・あ、ゼ、ゼト、もう・・・っ」
再び唇を重ね、角度を変えながら深い口付けを交わす。
それと同時に十分に慣らしたそこへ熱い自身をあてがう。
「ゼト・・ゼト・・・っ」
痛みの所為なのか、快感の所為なのか、どちらかは定かではないがエイリークは必死にゼトの背にしがみつき爪を立てた。
「熱、い・・・っ」
ぽろっとエイリークの口から出た言葉にゼトは苦笑いを溢した。
「私もです。もうこのまま、溶けてしまいそうなくらい・・・」
始めはエイリークに気を使ってゆっくりだった動きも、徐々に速さを増していく。
「あ、あ、ぁ・・・ゼ、と・・・っ、んぁっ」
最奥を突く度にエイリークはまるで放さないと言うかのように足をきつく絡めてきた。
「エイリーク・・・っ、そんなに強くされると動けないですよ」
「そ、そんなの知りませ・・あぁっ!」
羞恥を煽るかのようなゼトの言葉にまた身体の熱が上がったような気がした。
「も・・・ぉ、お、かし・・・くなり・・そうで・・・」
「―っ、そんなに締め付けないで下さい。」
私の方が先におかしくなりそうです。と、エイリークを揺さぶると、エイリークは更に身体を密着させてきた。
ゼトが与えてくれる快感に、エイリークは既に何も考えられなくなっていた。
ただ身体の中にあるゼトが熱いという事だけはっきりと分かっていた。
「ぜ、ぜと・・・一緒、に・・・っ!」


頭が真っ白になるって、こういうことなのかもしれない。






「やっぱり、子どもはもう少し先でいいですね」
「ゼト?」
白い布団の下で、ゼトはエイリークを抱きしめていた。
「どうしたのです?先程とは意見がちがくありませんか・・・?」
「えぇ、まぁ・・・エイリークが言っていたことを考えたら確かに、と思いまして」
「私が言ったこと?」
「もうしばらくは誰にも邪魔されず、二人でいたい。といったではありませんか」
あっと小さく声をあげ、エイリークは顔を紅潮させた。
「だ、だって・・・」
「今では私もそう思います。」
「え・・・?」
「私も貴方をこうして誰にも邪魔されず抱きたいし、抱き合っていたい。」
「ぜ、ゼト!!!」
二人でいたいという意味が自分のものと少しずれていることにエイリークは顔を更に紅潮させ、ゼトの胸板をぽかぽかと叩いた。
しかしゼトはお構い無しといった風にエイリークを腕の中に納めると、満足げに笑みを浮かべたのだった。



ベビー服が必要になるのはもう少し先のことのようである。









あなたに20のお題 / 06 BABY







アトガキという名のイイワケ
わっはっはっはー何やってんだ俺ーっ!!!!
BL小説をバイブルにして書きました。(をいをいをいをい
んー、なんてーんですか?
将軍は我慢してた分ヤりたいんです。ヤりまくりたいんです。きっと。
だからもう少し二人きりでいさせてあげようとか思ったんです。
ごめんなさいごめんなさい。
20050409