「ふぁ〜っ、疲れましたね」
二人でも持ちきれないほどの大量の買い物袋。
腕が千切れてしまうかもしれないほど重いそれらを部屋の中心に置くと、エイリークはんっ、と背伸びをした。
「流石に・・・買いすぎてしまいましたね。」
「でも買い物なんて滅多にいけないですし・・・」

久々のゼトの休日。
働きすぎだと耳が痛くなるほどエフラムに言われ、しぶしぶ取った休みだった。
このことをエイリークに言ったところ、久々に二人で町に出ようということになった。
結婚してからも忙しさはかわることが無くて、ゼトとエイリークは二人の時間というものを中々取れないでいた。
「ゼト、この食器はどこにしまいましょう?」
「あぁ、台所の棚に空きスペースがあったはずですからそこに。」
「こちらの部屋着は?」
「それは寝室にあるクローゼットにしまうので置いておいてください。」
次々に袋から出てくる物たちを一つずつしまっていく。
なんとも大変な作業で、残り1袋までくるとゼトもエイリークもくたくたになっていた。
「疲れ・・・ました」
「エイリーク、もう一袋だけですから・・」
「そうですね、もうひと頑張り、ですねっ」
お互い目を合わせにっこり笑うと、二人は最後の一袋に手をかけた。
がさがさと漁ると本が数冊、仕事に使う道具、そして・・・・・
「?エイリーク、これは・・・?」
「あっ」
ゼトの手には綺麗な小瓶。
細長く、緩やかなカーブが描かれているガラス製の瓶で、蓋には細やかなバラが刻まれていた。
中に入っている液体と思われるものはうっすらと黄緑色に染まっている。
「あの・・・それは、えっと・・・」
「?」
「ごめんなさい、勝手に買ってしまいました・・・っ!」
体を倒し、深々と詫びるエイリークを見て、ゼトは目を丸くした。
「え、エイリーク?!」
「あの、その、お店の人に勧められてしまいまして・・最初はまったく興味は無かったんですが・・・とてもいい匂いで・・・それで・・」
匂い?
ゼトは手の中の小瓶をまじまじと見ると始めてそれが香水なんだと気付いた。
「別に構いませんよ、これくらい」
笑いながら小瓶をエイリークの手に渡すと、エイリークは上目遣いでゼトの顔を見上げた。
「ありがとうございます・・・・あの、付けてみても良いですか?」
「えぇ、どうぞ」
ぱっと笑顔になったエイリークを見て、ゼトもくすりと笑みを溢す。
よほどその香水が気にっているのだろう。エイリークはご機嫌で首元に一吹き、吹きかけた。
途端、華やかでもキツすぎない、爽やかな甘い香りが部屋に漂った。
「ゼト、ありがとうございます」
ぎゅっと身体を抱きしめてくるエイリークに、ゼトも手を回した。
身体を密接させるたび、香りが近くなる。
エイリークからキスを強請ると、香りは余計に近くなる。
甘い香りを一杯に感じながら、唇を割る。
「ふ・・・んっ、ぁ・・・」
「エイリーク」
ちゅっと唇に軽くキスをすると、次は頬、顎、そして首元に唇を移動させた。
エイリークの甘い香りがゆっくりと、理性を蝕んでいく。
「あ・・・ゼト・・・・」
エイリークは自分の首元に顔を埋めているゼトの頭を無意識のうちだろう、きゅっと軽く押さえつけた。
ゼトは答えるように唇を強く吸うと、赤い花弁が残った。
「ほんとに、いい匂いですね」
「ぁっ、ゼトっ?!」
執拗に首を攻めてくるゼトに、エイリークはゼトの肩をぎゅっと掴んだ。
「ゼト、そんな・・・あぁっ」
気が付けば服が中途半端に肌蹴ており、可憐な胸の飾りを弄られていた。
立ったままで、足ががくがくと震えているが、ゼトにこれでもかというくらい引き寄せられ、空いた方の手でがっちりと支えられているため倒れることはなさそうだった。
「エイリーク・・・どうします?」
「ぁ・・・っ、はい?」
「寝室に行きますか?」
ゼトの言葉に真っ赤になったエイリークだったが、恥ずかしそうにしながらも小さく首を縦に振った。




「あぁっ、や、それは・・・・あああぁっ!!!」
ゼトは器用に割れ目に舌を這わせていた。
絶えることなく溢れてくる愛液を綺麗に絡めとリ飲み下すと、エイリークは顔を真っ赤にしてゼトの髪を掻き毟った。
「そ、そんなことしないで下さい・・・っ!」
「どうしてです?とても、美味しいですよ?」
そう言うとゼトは今だエイリークの愛液の味が残る舌を強引にエイリークの口内へねじ込んだ。
エイリークは必死に拒否したものの、しばらくするとおずおずとだが自ら舌を絡めるようになった。
先程つけた首もとの所有印が目に入り、ゼトは再び同じ場所に唇を落とした。
「あ・・・っ」
ぺろりと鬱血した場所を舐め上げると、エイリークは小さく肩をびくりと震わせた。
「まだ・・・香りが残ってますね。」
「え?」
「先程の香水・・・です。」
香水はエイリークが動くたび、ほのかな甘い匂いが漂った。
その香りに刺激され、ゼトはきつくエイリークを抱きしめた。
「あ、ゼ、ゼト苦しいです・・・っ」
「愛してます、エイリーク・・・」
ゼトはゆっくりと手をエイリークの下肢へと下ろすと、エイリークはぎゅっと目を瞑り、ゼトの肩口に顔を沈めた。
ゆっくりと割れ目をなぞると、先ほど舐めていたときに自分の唾液とエイリークの愛液とが混ざった液体が指に纏わりついた。
静かに指を一本差し込むと、エイリークは小さく呻いた。
くちゅくちゅと中をかき回す水音が、淫らに響く。
空いた方の手では小ぶりな胸を弄る。
「あぁん・・・あぁっ」
羞恥に頬を染めながらも、エイリークは声を荒げゼトの肩に噛み付いた。
カプっと可愛らしく噛み付いたエイリークを見て、ゼトは苦笑いを溢した。
「そんな・・可愛らしいことをしないで下さい・・・」
差し込んでいる指の数を増やすと、エイリークは声を上げ腰を引いた。
「ゼト・・・そんな、あっ、掻き回さないで・・・っ」
何度か指を出し抜きすると、先程以上の卑猥な水音が鼓膜を侵す。
「や・・っ、ゼト!!」
「エイリーク・・・いいですか?」
腰にぐいっと熱くて堅いものが押し付けられ、エイリークは顔を真っ赤にしゼトの顔を見つめた。
「あ・・・」
「・・・いい、ですか?」
「・・・・・・・・・・はい」

腹部が熱い。
ゆっくりと体内に入ってくるゼトの大きさに、エイリークは熱っぽい息を吐いた。
初めてではないが、今だ慣れないこの瞬間にエイリークは戸惑っていた。
「あ、熱い・・・・っ」
無意識のうちにきつく握っていた真っ白なシーツ。
ゼトはそんなエイリークの手の上に自らの手を重ねると、優しくキスをした。
同時に香水の甘い香りが鼻を掠め、ゼトは小さく眉を顰めた。
「知ってますか・・・?」
「ぇ、ん・・・何を、ですか?」
「香水というのはその匂いと、つける人のもともとの匂いと上手く混じって、その人に一番似合う香りになるんです。」
「へぇ・・・」
「だから、この匂いは既にエイリークの匂い、です・・・」
「あっ」
軽く突かれ、エイリークは小さく声を上げた。
「いい声ですね・・・」
「ゼトぉ・・・っ」
何時の間にか背に回された手に、ゼトは満足げにエイリークの耳朶を甘噛みした。
徐々に早くなる腰の動きに、エイリークも意識を手放し始めていた。
「あ、あぁっ、んっ、ひゃあぁっ」
「くっ、エイリーク・・・っ」
きゅうきゅうと窮屈なくらい強く締め付けるエイリークの内部に、ゼトは重い息を吐いた。
「ゼト、ゼトッ、あ、も、もうぅ・・」
「―っ、私も・・・」
腰の動きが一層速くなると、エイリークは無我夢中でゼトにしがみ付いた。

次の瞬間、エイリークは最奥で、ゼトの飛沫を受け止めていた。












「それにしても、中々強いですね、その香水。」
シーツを羽織ったのみのエイリークの手の中には先程の香水の小瓶。
香水のつける場所は何も身体に限らず、枕やカーテン、お風呂の水にたらすのも良いと化粧品屋の店員から聞いたため、折角なので枕に一吹きしようと思ったのだ。
「なかなか匂いが落ちません・・・」
「え、そうですか?」
エイリークはくんくんと自分の身体の匂いをかいで見るが、もう慣れてしまったのか何も感じられなかった。
「ほら、まだこんなに・・・」
「あ・・・」
そう言うとゼトはエイリークを引き寄せ、胸元に唇を落とした。
「とても良い匂いです。」







キスについて20のお題 / 07 首








アトガキという名のイイワケ
ぬるいなーとか思ったり・・・。
あれ、みんなもっと激しいのが好きだよね・・・?うん。すみません・・・・。
匂いとかちょっと変態臭いけど、ただエイリークが
良い香りで、欲情するゼトが書きたかっただけ・・・・。
20050516