柄にもなく、焦っていた。







「わ・・・っ!」

勢い良く手を引き、無理矢理布団の上へと組み敷く。
安易に捕らえることができたのが少し意外で沖田はへェと目を丸くした。
半場強制的に屯所の自室へと引きずり込まれた神楽は、困惑した表情を浮かべていた。

「どうしたアル?突然・・・」

「突然なんかじゃねぇよ」

そう言って、いきなり唇を塞ぐと、神楽は目を大きく見開いた。




告白したのは自分から。
彼女はにっこりと笑って答えてくれた。
抱擁も、口付けも迫れば抵抗も無しに受け入れてくれる。
だが、今まで自分から好きといってくれたことも、口付けを強請ってくれたことも無かった。
本当に彼女は自分のことが好きなのだろうか?
女々しい考えだとは分かっているが、求めてもらえないというのは不安になるものだ。

そんな時、見知らぬ男と仲良く微笑みながら並んで歩いているのを見れば頭に血も上るわけで。











「ぅあ・・・」

長い長い口付けの後、名残惜しげに唇を離すと、神楽はハァと熱い息を吐いた。
口の端からだらしなく流れた唾液が艶かしい。

「神楽・・・」

「そう・・・ご、何、焦ってるネ・・・」

胸を上下させ呼吸を整える神楽を跨ぎ、沖田は少しずつ身体を傾けた。

「・・・・お前、本当に俺のこと好きなわけ?」

「ふぇ?」

突然の問いに神楽は目を丸くする。
構わず沖田は横に手をつき、神楽の顔に影を落とした。

「さっき一緒に歩いてた野郎、誰でィ」

「あ、あれは・・・っ」

ぷいっと眉を下げ視線をそらす神楽に、沖田は目を細めた。

「言えないって?」

「・・・」

こくん、と小さく頷いたのを見て、沖田ははぁとため息をついた。
と、そのまま神楽の上から身を引いた。
そのまま沖田は神楽に背を向けあぐらをかくと、再びはぁぁと深い溜息をついた。

「そ、そーご・・・?」

神楽は起き上がり、不安そうに沖田に声をかけた。

「お前、あいつのことが好きなんかィ?」

「へっ?」

予想もしなかった沖田の問いに、神楽は間抜けな声を上げた。

「ど、どうしたアルか・・・いつものそーごらしく無いアルヨ」

「いつもの俺ってどんなんでィ」

ギロリと沖田が鋭い目で振り向くと、神楽もびくりと肩を震わせた。

「神楽、好きだ」

「そー、ご」

「愛してる」

「・・・・」

「だから、テメーを独り占めしてぇだけでさァ」

言うや否や沖田は再び神楽の手を引き、今度は自分の膝の上へ向かい合うように座らせ、唇を奪った。
逃げる神楽の舌を捕らえ、強く吸い上げ、絡める。
息をすることも許されず、酸欠状態に陥った神楽は沖田の胸をドンドンと拳で叩いた。
やっと解放された頃には、神楽はうっすらと大きな瞳に涙を溜めていた。

「そ、ご・・・」

「お願いだから、俺だけのものにさせろィ・・・」

熱が篭った瞳で見つめると、神楽は最初大いに戸惑っていた。
が、それはあくまで最初だけの話で、何度か啄ばむように唇を寄せると、少しずつだが表情を和らげていった。

「総悟は、」

「ん?」

耳に唇を寄せていると、神楽は沖田の首に腕を回してきた。

「総悟は、その・・・・あたしとえっちしたら、安心するアル・・カ?」

「・・・え?」

「そしたら、もうそんな悲しそうな顔、しないアルカ?」

覗き込むと、そこには至って真面目な神楽の顔があって、沖田はぷっと吹き出してしまった。

「な、何で笑うネ!」

かぁっと耳まで真っ赤にしながら神楽が抗議の声を上げると、うん、と沖田はその身体を力いっぱい抱きしめた。

「・・・・・優しく、するヨロシ」

「へーへー」



再度先程の布団に神楽を横たえ、その上に覆い被さる。
伸し掛かる甘美な重みに神楽はきゅっと目を閉じた。
それに気付いた沖田はふっと微笑むとその瞳に唇を寄せた。
神楽の動きに伴ってしゃらんと音を立てる髪飾りをはずし、枕もとに置くと、お団子をほどき、広がった桃色の髪に手を差し込む。
髪を梳きながら額から目、鼻、頬、耳、口、首、と口付けを落とすと神楽はくすぐったそうに身を捩った。

「神楽・・」

しつこい位に唇を寄せながら、手はそっと神楽の身体へと伸びる。
服の上から身体のラインをなぞる。
慣れない異国の服に戸惑いながら前を寛げると、これまた見慣れぬ真っ白な肌と可愛らしい薄桃色の下着が目に飛び込んできた。
そのまま何かに急かされるように上半身の服を剥ぎ取り、下着の上から手を置くと、ゆっくりと柔らかな胸を揉みしだく。

「ふぅ・・んっ」

びくりと身体を震わせ、神楽はぎゅっと沖田の隊服を握った。
神楽の反応に気を良くしたのか、沖田は滅多に見せない柔らかな表情でその胸に口付けを落とした。
そのまま背に手を回し、ホックを外すと、神楽はやっ!と腕を胸に回した。

「・・・・手、どけろィ」

「ばっ!は、恥ずかしいネ!!」

「あ゛ぁ゛っ?」

今更なんなんだと睨むと、神楽も負けじと沖田を睨んだ。

「恥ずかしいのは恥ずかしいアル」

「そう言われてもコレじゃ先に進めねぇんでさァ」

「じゃ、じゃあお前も脱ぐヨロシ!」

神楽の言葉に沖田はパチパチと瞬きをした。

「へぇ・・・俺の裸が見たいって?」

「そ、そんな事言ってない・・・けど、私だけ脱ぐのは、なんかずるいアル」

真っ赤になりながら顔を背ける神楽に沖田は笑みを溢し、身体を起こした。
途端着込んでいた隊服をばさりと脱ぎ捨て、スカーフ、ベスト、シャツと次々に放り投げる。

「コレで宜しいですかねィ、お姫さま」

「じ、女王ネ!」

服の上からじゃ分からない、いつもの沖田からは想像もできない、細身だが適度に筋肉のついた整った身体。
初めて見る沖田の身体に、神楽はじいっと口を開いたまま見つめていた。

「何見惚れてんでィ、スケベ」

「なっ・・・」

文句を言う前に唇をふさがれ、再び深く舌を絡められる。
器用な舌の動きに一体何処で覚えてきたんだと頭をよぎったが、次の瞬間にはその巧みな動きに全てを忘れさせられる。
その間にも沖田は神楽腕を押さえつけ、直接その肌の柔らかさを楽しんだ。
腹から指を這わせ、その膨らみを拳の中に納める。
中心の赤く熟れた突起に触れると、次第に形を確立していく。
ピンとたったそれをしつこいくらい指で弄ってやると、神楽の口からはふぅと熱い吐息が漏れる。

「気持ちイイ?」

「ばっ、何言って・・・!」

「ん?じゃあコレは?」

「ふぇ?」

コレ、と言われても何のことか分からない神楽はふと視線を自分の胸元に向けると、そこには今にも胸の突起を口に含もうとする沖田の姿があった。

「わ、わ、わ!な、何する気ネ!!」

「何って、こう」

「ぅ、ひゃ・・・ぁっ!」

言うと同時に実行に移す沖田。
ねっとりとした感覚と、ちゅぅっと響く卑猥な水音。
視覚的刺激から逃げ出したくて、神楽はぎゅっと目を瞑るが、そうすると今度は目を開いているとき以上に感覚がダイレクトに伝わって、結果背中にはぞくぞくとした感覚が走る。

沖田は神楽の足を割り、その間に身を滑り込ませる。
同時に沖田はチャイナ服のスリットから手を忍ばせると、太腿を撫で、それからゆっくりと上へ上へと這わせた。

誰も触れたことの無い、陰部に下着の上から指を這わす。
神楽はびくりと身体を強張らせた。
不安げな神楽の表情を見つつも、沖田はその服と下着を一気に取り去った。

「そ・・・ご・・・っ、こわ、い」

「ん、ほら・・・舐めろィ」

そう言うと沖田は自分の指を神楽の口へと含ませる。
神楽が頬を上気させながら必死に沖田の指に舌を絡ませている間、沖田は神楽が安心するようにと全身に唇を落としていった。

「も、そろそろいいかィ?」

「ん・・・」

つ・・・と口と指の間に唾液が一本糸を引いた。
構わず指をその溝に突き立てる。
くちくちと浅く指を差し抜きすると「うぁ」と神楽は密かに声を漏らした。

「な、なんか変アル・・・っ」

「もっと変になれ」

沖田はにぃっと口の端をあげると、中指を根元まで埋め込んだ。

「あ・・・ぅ」

初めての異物感に神楽は眉間に皺を寄せ、唇を噛んだ。
埋め込んだまま指を折り曲げ神楽の中を蹂躙する。
次第に溢れてきた愛液に、沖田は機嫌よく神楽の耳元に口を寄せた。

「濡れてきたぜィ?」

「い、言うな・・・あぁんっ」

増えてきた甘い声に、沖田は指を増やし、再び指での愛撫を施した。

「ゃ・・ぁっ!」

ビクビクと身体を跳ねさせ、反応を返す神楽。
ぎゅうっと抱きついてくる神楽に、沖田は唇を寄せながら秘部の突起をそっと撫でてやる。

「ひゃぁ・・・あんっ」

今までになく高い声が響き、神楽の、沖田の背に回した腕に力が篭る。

「あ、あぁ・・・はぁ・・っ」

少々力を込めてピンと弾いてやると、神楽はびくりと身体を大きく反らせ、沖田の指をきゅうっと締め付けた。

「イった?」

にやりと笑みを向けてやると、神楽は生理的に流れた涙を拭うこともせず、虚ろな瞳ではぁはぁと胸を忙しく上下させた。
真っ白な肌は桜色に色づき、その扇情的な姿は沖田の下半身にずくずくと刺激を与える。

「神楽・・・挿れるぜィ?」

「あ・・・」

ぐいっと下半身を神楽の腰に押し付けると、神楽はびくりとと反応を返した。
表情は怖い、と物語っている。

(だからって、もう止められねぃや・・・)

沖田はちゅっと唇にキスを落とすと、素早く布団を纏わせ、神楽からはその場所が見えないようにとの気遣いを施した。
自身を宛がうと神楽がぎゅっとシーツを握るのが見え、胸を合わせるように身体を倒した。

「爪、立ててもいいから掴まってなせィ」

「う、ん・・・」

神楽の腕を背に回し、しっかりと下半身を固定すると、沖田はゆっくりと腰を進めた。

「い・・・っ」

苦痛に顔を歪める神楽に、沖田はそっと口付けを贈る。
熱い楔は着実に、神楽の中へと呑まれていく。
ギリギリと背に立てられた爪は痛くないとは言えなかったが、容赦ない締め付けに途中何度も達してしまいそうになった。

「い・・・たぁ・・・っ」

「・・・大丈夫、か?」

「・・・っ、夜兎は、コレくらい平気アル・・ッ」

にぃっと明らかに無理をしているのがばればれな神楽の笑みに、沖田は胸が締め付けられるような感覚を覚えた。
同時にダイレクトに感じる神楽の内部の柔らかさと愛液に、今すぐにでも快感を追いかけたい衝動に駆られた。

「神楽、ワリ・・・・も、だめ」

「ふぇ?あっ・・・あぁ!んっ」

始めは浅く・・・だが次第に大きく、激しくなる動きに神楽は腰を引いたが、気付いた沖田はしっかりと腰を引き寄せ、固定した。
神楽の口の端からははしたなく唾液が伝い、涙がポロポロと流れた。
沖田の額にじんわりと浮かんだ汗はぱたりと神楽の身体に降り注ぐ。

腰を動かしながらも神楽の小さな目に指を這わせると、神楽の反応は大きくなる。

「そ・・・ご、そぅごぉっ!」

求められるまま口付けを交わすと、神楽はいつになく積極的に舌を絡めてきた。

「あぁ・・・っ、そぅご、そぉ・・・ご」

「・・・っ、もう、無理・・ぁ、」

そう、神楽が聞いたのは、内壁を擦る沖田の動きが失速する直前だった。






















「昼間の、あの人は依頼人アル」

沖田が隊服を着ていると、布団の中からもそもそと声が聞こえた。

「依頼人?」

振り返ると、そこには毛布に包まったまま布団に転がる神楽がいた。
衣類はまだ身につけていない。

「あの人ストーカーに困ってたネ。しかもそのストーカーってのがそこそこ強い天人の女だったアル。だから私が彼女の振りしてソイツ倒しに行ったネ。」

「なんだそりゃ」

ずるずると身体の力が抜けてその場に突っ伏すと神楽はクスクスと笑みを溢した。

「もう、大丈夫アルか?」

「・・・お前こそ、」

良かったのか?と尋ねる前に、神楽はにっこりと笑ってうんと頷いた。

「総悟が、好きだから」

大丈夫。と答える相手に、沖田は頭を抱えた。

・・・どうも自分はコイツには勝てないらしい、と。















愛を囁こう








アトガキという名のイイワケ
超久々の裏にドギマギしました。
裏小説リクエストで一番多かった沖神の初モノです。
なりきり50の質問設定とのリクエストがあったのでそれで書いて見ました。
焦る沖田に驚く神楽・・・確かそんな設定・・・。
喘ぎ声ってどうするんだっけと真剣に悩んで書いた(馬鹿
20070401