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今夜は、一年の中で最も月が綺麗に見える夜よ。 仲秋の名月をたたえるかのように、空も空気も澄みきって、月が本当に綺麗だわ。 こんな月の明るい夜は、外に出て散歩するのが、子供の頃から大好きなの。明かりなんか何もいらないし、月の光で自分の影が地面に落ちて伸びるのが神秘的で素敵でしょう。 風が吹いて、ささの葉やすすきがさらさらとなって、月光が照らし出す世界は、何が起きたって不思議じゃない。どんな人にだって、不思議な力が宿るのよ。そんな気がしない? ある文献には、月の光は人を狂気におとしいれるなんて書いてあるけれど、こんなにやわらかく澄んだ月の光に、悪い力が宿っているなんて思えないわ。 あたしたちは月の魔女だから、月光はとっても大切な魔力の源。 そりゃ、私たちの使う魔法の中にも、使い方によっては、とっても恐ろしくなる魔法はあるんだけど……。 でも、そんな魔法、使おうだなんて考えたことないのよ。あたしだって、もちろん母さんだって。死んだおばあさんだって、何代も前の魔女だって、みんなみんなそうだったに決まってる。 だから、みんな、あたしたちが魔女だからって、人を呪い殺したりする手伝いをするだなんて思わないでね。 何はともあれ、今夜はお月見よ。 月のうさぎも一生懸命お餅をついて、お月見の準備をしていることだし、ここは一つ月のお菓子を作って、みんなに提供してあげないことには、月の魔女としての名がすたるってもんでしょう。 月のお菓子といえば、日本でも有名なお菓子『月餅《げっぺい》』があるわね。 月餅は元々は中国のお菓子で、旧暦の8月15日に催される月の宴の時、つまり日本でいう十五夜・お月見のことよ、詩歌を詠みながら食されていたものなの。北部では白餡と黒餡しか詰められることはなかったみたいだけど、南部ではハムやナツメヤシの実、干した杏、くるみ、スイカの種なんかも詰められていたみたい。 日本で売っている月餅は、やっぱり黒餡にくるみが入ったものよね。メーカーによって微妙に形や大きさが違ったり、模様や漢字ももさまざまで、見比べるだけでも面白い。 あたしは、和菓子の中でいえば、やっぱり月餅が一番好きかなぁ。気が付くと5個入りのものとか買っているのよね〜。手にとった時の、あのずっしり感がたまらない。つやつやに焼き上げた表面も綺麗だし。固い餡の、あの抑えられた甘さとか、くるみの香ばしさとか、平気で三個位食べれちゃう。 さて、そろそろ月のお菓子の作り方を紹介しなくちゃね。 だけど、月餅は材料をそろえるのも作るのも手間がかかるから、はっきり言って買ってきた方が早いのよ。というわけで、今回は別の月のお菓子を紹介することにするわ。 え? 本当は作り方を知らないんじゃないかって? そそそそそそそ、そんなことないもん! 月餅なんて、何度もタズトに作ってあげてるもん! 本当に手間がかかるのよ。悪いこと言わないから、今回は初心者でも簡単に作れる月のお菓子にしましょう。
上に書いた材料が揃ったら、オーブンを150度にあたためておいてね。 まずはバター(もしくはマーガリン)をブラウンシュガーと混ぜ合わせます。 そこに少しずつ小麦粉を加えて混ぜ合わせ、粉をひいた台の上で良くこねてください。 そこへ、まるごとのヘーゼルナッツを加え、1〜1.5センチの厚さに伸ばします。 もし、三日月型のクッキーの型をもっていれば、それを使って切り抜いてね。クッキー型が無い場合でも、小さなナイフを使って切り出せば、個性的な三日月型ができて素敵なのよ。試してみてね。 切り取ったものの表面に、月のシンボルとか印とかをつけたら、さらに個性的になっていいかも。 それが出来たら、ビスケットをペーキングシートの上に並べて、きつね色になるまで焼いてね。 ね、簡単だったでしょう。 それじゃ、味見を。 うん、あま〜い。焼きたてだから、ふんわりしっとりしていて、おいしいわ。冷めると、今度はさくさく感がでておいしいのよね。 このムーン・ビスケットは、月神降臨儀式の時に、ワインと共に食べるものなの。……って、あれ? いっけな〜い! これって、新月の時に食べるお菓子だったわ! わわわ、どうしよう。もうお月見が始まっちゃうわ……。 ……というわけで、急遽近くのコンビニで月餅を買ってきちゃった。 みなさんは、ビスケットを三日月型にしないで、まんまるく切り取って焼けば、お月見の時に食べれるわよ。 もしお月見の時に間に合わなくても、翌日の十六夜の月も、とっても綺麗だから、その月を見ながら食べるってのもオススメよ。(って、適当な) ご、ごめんなさいっっ あたし、ほら、魔女っていっても、まだ見習だから。えへへ…… あ、ハーブ園にタズトが来てる頃だわ。 旧暦の8月15日は、あたしの誕生日でもあるの。みんな集まって、お月見しながら誕生日を祝ってくれるんだって。だから、もう行かないと。 それじゃ、みんな、またね。 |
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| 2003.9.11 月城キルより |