橋の上の靴

ご注意


登場人物

性別不詳、薄い生地のひらひらした服、団扇。
男1
ジョガー、ランニング、短パン、
女1
出てこないから存在しない。
親1
たぶん男、セーターとかトレーナーとか。親馬鹿。
子1
自分は優れた素質を持っていると思っている。
酔っぱらい
くたびれたスーツ。ゆるんだネクタイ。鼻眼鏡
親2
たぶん女、ハリセン。子どものしつけに困っている。
子2
たぶん男、何でも口に出さないといけないと思っている。
不良1
リーダーっぽい
不良2
いじめられてるっぽい
不良3
普通っぽい
男2
出番が少ない。
女2
女1がいないのに2である。
ゴミ拾いのおっさん
籠を背負って、つかむやつを持っている。この人のおかげで街は今日もきれいである。

一幕一場

橋の上、靴が一足並んで置かれている。その上に手紙。
風、うちわを持ってやってくる。うちわで靴の上の手紙をとばす。
男1、通りかかる。靴を見つける。ひらめく。靴を取って中を覗く。自分の靴を脱いで中を見る。喜ぶ。靴を履き替える。飛び跳ねてみる。具合がいいらしい。腿上げを始める。嬉しそうな顔。そのまま腿上げで去る。と思いきや後ろ向きに戻ってきて止まる。自分が履いていた靴をそろえて再び腿上げで去る。
親1、子1、通りかかる。子1、靴を見つけ指さして言う

子1「靴の忘れ物だ!」

親1「違うよ、アレはね自殺した人のだよ」

子1「自殺ってなーに?」

親1「この橋から飛び降りるんだよ。」

子1「バンジージャンプ?」

親1「違うよ、なんでそんなこと知ってんだい。」

子1「テレビで見たモン。でもさ。なんで、靴脱いでいくの?」

親1「何か残したかったんだろうね。」

子1「なんで靴なの?図工の授業で作ったやつを残せばいいじゃん。」

親1「はっはっは。この子は。」

親子去る。
酔っぱらい通りかかる。宴会の帰りらしい。鼻眼鏡をかかけている。靴につまづいて派手に転ぶ。

酔っぱらい「畜生、誰でい、こんな所にトリップワイヤー張ったのは。今時こんな大都会でブービートラップもねえもんだよ全く。ん?あら、ブービートラップじゃないの。あらそう。そりゃどうも失礼しました。やっぱあれでスか、この世の中に嫌気がさして。違う。あらそう。そんじゃ金とか女とか、あーそうでスか。そぉりはたいへんでしたねえ。まま、いっぱいやってくださいよ。あに?酒飲めないの?ああにいってンだよ。飲めねえなんてあるモンかい。ああそう、そんなにいうんならねえ、じゃあ、あたしが全部飲んじゃいまふよ。」

夢の中で酒を飲んでいる。

酔っぱらい「ぷはーー、いやーこんなうめえもんがあんだから俺は死なねえぞーー。ええーーうっへへへへ。ああー宴もたけなわとなって参りましたぁ。それじゃあここらで一曲。」

一曲歌い始める。

酔っぱらい「あによ。やめろって?おひらき?あああさいでございますか。っそうですか。じゃ、」

鼻眼鏡をはずし、靴の近くに添えて。合掌して千鳥足で去る。 親子2、通りかかる。親の手にはハリセンが握られている。子、靴を見つけて駆け寄る。

子2「あ、くつだー」

親2、ハリセンで子をたたく。

親2「馬鹿。そんな汚い物さわるんじゃありません。」

子2「痛っ」

親2「全くこの子は、何度言っても分からないんだから。」

親2、必死になってたたく。

子2「痛い、痛いよ、なんでたたくんだよ。」

親2「私はお前のためを思って。」

親2、これでもかと言わんばかりにたたく。

子2「もうしないよ。やめてよ。」

親2「口ばっかりそんなこと言って。」

親2、殴り殺さんばかりの勢いでたたく。
子2、泣きながら逃げる。

親2「こら、待ちなさい」

そのまま二人退場。
不良グループ3人通りかかる。

不良1「おい、見ろよ。」

不良2「おお、すげえ。」

不良3「なんでこんな所に落ちてンだ?」

不良2「しらねえよ。」

不良1「とにかく儲けもんだぜ。」

不良3「罠じゃないのか?」

不良2「んな訳ねえだろ。」

不良3「もしかしたらと言う事もある。」

不良1「誰か一人が取りに行くか。」

不良2「よし。じゃあ、これで決めよう。」

不良1「OK。じゃんけんポン」

不良1「いっせーの2。いぇー」

不良3「いっせーの3。やりー。じゃあお前な」

不良2「おれ?」

不良1「そう。」

不良3「いけ。」

不良2「ほんとに?」

不良1「そう。」

不良3「いけ。」

不良2「もう一度やり直さない?」

不良1「やだ。」

不良3「いけ。」

不良2「やっぱやめない?」

不良1「やだ。」

不良3「いけ。」

二人で押し出す。不良2、転がりながら取る。

不良3「やった!」

不良1「ちょっとかけてみようぜ。」

不良1、かける。

不良2「おおおお。かぁっこいいー」

不良3「俺も俺も。」

不良3かける。

不良1「おおおお。なかなか。」

不良2「俺も俺も。」

かけるやいなや

不良3「ああ、駄目だ。」

不良1「最悪だ。」

ぎゃあはっはっはと笑いながら退場。
恋人らしき男と女、ワルツで通りかかる。女2、靴を見て。

女2「ほら、みて。」

男2「え、」

女2「すてきね。」

男2「そうだね。」

熱い抱擁。そのままワルツで回りながら去る。
やがて朝。
ゴミ拾いのオッサン。靴を片付けて去る。

別のを読む入り口へもどる掲示板に感想を書く感想文をメールで送る