ツツハナアルキ科でも特徴的なミツオハナアルキを飼ってみましょう
ミツオハナアルキは皆さんも御存じのように、固着性の生物で鼻で逆さにたったまま生活しています。 鼻の分泌物によって柱状の鞍ができるので、鞍毎移動することもできますが、彼らはあまり自分の住処が変わるのを好みません。 繁殖期の雄は鞍を部分的に溶かして鞍を離れて雌と交尾しますが、交尾を終えた後に元の鞍に戻ることからもおわかりでしょう。 無理に移動させようとすると毒牙の生えた尾を振り回して攻撃してくることさえあります。
もっとも、長い間共に生活して心が通じ合っている場合は移動も不可能ではありません。実際にミツオハナアルキの引っ越しに成功した例もあります。 しかしながらこれはかなり特殊な例で、仮に成功したとしても新しい場所に慣れるまでにかなりのストレスを感じるようです。できればずっと位置を動かさないまま同じ場所で飼育してあげましょう。
固着性の動物ですから成獣をもらってくることはできません。どこかから幼獣をもらってくることになります。
ツツハナアルキの仲間は尾に毒を流し込む爪を持っていますが、通常ペットショップで売っている幼獣は手術して毒腺を摘出してありますから心配はいりません。 友人からもらうときなどは早いうち(固着生活を始めないうちに)に獣医さんに頼んで毒腺を摘出してもらいましょう。
ミツオハナアルキの食性はよく知られているように、肉食です。 尾の先端部分から花の蜜のようなにおいの粘液を分泌して、虫をおびき寄せます。 このことは食事について全く手がかからないということを意味しています。
ミツオハナアルキの食事時には網戸をせずに窓を開け放しておくのが一番です。 夜寝るときにはミツオハナアルキの真上に明かりを残しておいてください。 明かりにつられてたくさんの虫が集まりますので、夜が明けるまでにはミツオハナアルキは十分量の食事をとることができます。
好き嫌いはこれといってないようでガ・ハチ・バッタ・チョウなど何でも食べます。
彼らのふるさとであるハイアイアイ群島には冬がありません。 日本のように四季のある地域で冬の寒さをどう乗り切るかが彼らと長くつきあう秘訣になります。
もちろん前述のように、夜中に窓を開け放しておくなどということは御法度です。 留守にするときもエアコンのタイマーなどを利用して、冷やさないようにしてあげましょう。
さて、冬には虫も少なくなり、窓も閉め切ったままにしてしまうため、必然的にミツオハナアルキは虫を得ることができなくなってしまいます。それではいったいどうしたらいいのでしょうか?
答えは意外と近くに有るようです。ご自宅の冷蔵庫を開けてみてください。そして鼻行類がほ乳類であることを思い出して下さい。
もう分かりましたね。牛乳です。牛乳は人間も飲みますし、犬や猫にも与えます。勿論ミツオハナアルキにも。ただし、ミツオハナアルキはその生活様式から、お皿に入った牛乳を飲むことはできません。赤ちゃん用のほ乳瓶を用意してあげましょう。
実際の所、おなかが空いていればある程度何でも食べます。成功した例ではドッグフード、キャットフードなどの合成食品が代表的です。 なかなか食べないときはしっぽに張り付けてやることで食べる場合があります。ぜひ試してみて下さい。